深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A great legacy of optical manufacturer gone~Minolta MD Rokkor zoom 35-70mmf3.5~

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さて、今宵のご紹介は予告通り、工房修理品で秘宝館のコレクション入りした、知る人ぞ知る世界的な銘玉?ミノルタMD Rokkor Zoom35-70mmf3.5となります。
このレンズは1980年台初めにミノルタXDでのシャッター速度優先AE、プログラムAEを可能とする専用交換レンズシリーズMDロッコールの常用域ズームとして投入され、XEをR3、XDをR4からR7までのベース機として提供し、更に本格的RFコンパクト機の共同開発も行った関係から、某L社の常用域レンズの座をフランスアンジェニ社から譲り受けたという逸話もある隠れた高性能機です。
では、さっそく、当工房でエレメントのクリーニングと内面反射防止の増強を受けた往年の銘玉の写りを見て参りましょう。
ロケ地は清澄白河周辺、ボディはX-E1、絞り優先AEによる開放撮影です。

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まず一枚目のカットですが、先の撮影地、築地から大江戸線に乗って清澄白河駅に着き、地上に上がると真っ先に目に留まるランドマークは、昭和初期の面影を今だ残す長屋店舗群で、特にこの白く塗られたブティック系の建物は外観のリノベのセンスも大変良いので、通行人を入れて撮ると素晴らしい画となるので、待っていたら、いたいけな女子高生が自転車で通り掛かったので、何枚か撮ったうちの一枚。

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二枚目のカットですが、これも清澄白河の長屋店舗群のうちの一軒で、確か家具兼インテリアショップだったと思うのですが、大きなショーウィンドに白ペンキでカレンダー風のおっされ~な書き込みがあり、その前に虹色系の如何にも軽快そうな自転車がいつも置かれているので、いつも通り、感心するとともに一枚戴いたもの。

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三枚目のカットですが、場所は移って、駅前に続く長い塀の内側、ムショではなくて、かつてのお大尽、岩崎家の庭園だったという清澄庭園に入場料を払って入り、午後の陽光を照り返し、水面を燦然と輝かせる池の周囲で被写体を探していたら、感心なことに父娘で池のカルガモやら、そのおこぼれを虎視眈々と狙うコバンザメの如き巨大鯉どもに餌付けしていたので、ズームの効果を活かし、背後からそっと見守りつつ、いたいけな極小姐がヲヤヂさんに実弾を貰いに振り返った瞬間を捉えたもの。

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四枚目のカットですが、ちょっと前に来た時は修理中で渡橋不能だった、浮島へ続く、木製のセミ太鼓橋の上を国際色豊かなカポーがいそいそと散策なんかしてて、そのお姿が午後の陽光に照らされて、輪郭がすっきりくっきり浮かび上がるが如き情景だったので、これもズームの望遠端を活かし、数枚撮ったうちの一枚。

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五枚目のカットですが、工房主もそのリニュアルされた木製のセミ太鼓橋を渡り、池の中に浮ぶ島へ足を踏み入れてみると、殆どのものが、天頂から西にだいぶ傾きかけた陽光の射線のお陰で、逆光に近い状態で輪郭が浮き立ち、とてもイイ雰囲気を醸し出していたので、眼を細めてスマホンでメールなんか打つ、健気な小姐の美しい横顔をズームの望遠端を駆使して捉えた必殺の一枚。

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六枚目のカットですが、或る意味、これが今回の30年以上前のズームのメンテナンスに成功したことを如実に示す証拠となるのではないかと思いますが、ちょうど、水面に陽光が反射し、眼も開けていられないくらい眩しいアングルで、ウミウが相当図々しくも、手を伸ばせば届きそうな距離で羽繕いなんかしてたので、ほぼ標準域で数枚撮ったうちのベストショット。

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七枚目のカットですが、庭園の池の周りを一周すると、結構同じような独りで散策しながら写真撮る人間が居るもので、中国からの旅行者と思しき、いたいけな小姐が時折立ち止まっては、愛機の某医療用光学機器メーカー製の110サイズ撮像素子の白いミラーレスで風景撮っていたので、これもズームの威力を駆使し、風景の一部として一枚戴いたもの。

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八枚目のカットですが、庭園の南部にはちょっとした植樹と手入れは宜しくないものの、一応、芝生らしい植物が植えられた広場があり、いつもそこそこイイ画が撮れるので、今回も足を運んでみたら、秋は読書、とばかり、芝生に寝転んで、ファッション雑誌なんか読みながらごろごろと戯れる、いたいけな小姐二人組の姿が目に留まったので、その楽しげな様子をズームの望遠端で一枚戴いたもの。

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九枚目のカットですが、庭園ではもう十分に撮ったので、次なるランドマーク、安藤広重の画にも描かれた深川万年橋を目指し、ほどなく橋の袂まで辿り着いたので、陽の射す方向を考え、鋼製橋の硬そうな質感を醸し出すべく、陰影が強くつく、北詰から南東方向に向けて橋梁を撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、芭蕉像のすぐ下の堤防脇の建物前で、これも、江戸時代の染物、陶磁器のモチーフとしては極めてポピュラーな木賊が植わっている擦りガラスのオフィス前にカラフルで現代的な自転車が並べられている対比がいかにも面白いのでいつも撮らせて貰っているカット。

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十一枚目のカットですが、木賊の植わったオフィスのお隣りの家の前で、妙齢の女性が年代モノのベンツを一生懸命磨いていて、その傍らに、如何にもいたずらっ子っぽい雰囲気のまだ若いゴールデンレトリバーが寝そべっていたので、雑談がてら撮らせて戴いたうちの一枚。

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十二枚目のカットですが、帰りは森下から大江戸線に乗るつもりだったので、深川神明宮界隈の道を歩きながら被写体を探していたら、八名川小学校に隣接する災害避難所兼公園で遊び終わって、これから買い物がてら家に戻ろう、という雰囲気の大人と子供の混成軍がこれまた午後の傾き掛けた陽光に照らされ、輪郭がとてもキレイに見えたので、通りざま、木立ち越しに一枚戴いたもの。

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十三枚目のカットですが、森下の駅の近くの大通りから一本入った辺りにある地元民各位向けと思しきカフェバー系のお店の店頭に渋いヴィンテーヂ系バイクが停められ、それがアーリーアメリカンテイストのお店のエクステリア周りと妙にマッチし、何で江戸の下町、深川で米国はアリゾナの√66テイストの店構えなの???とか云う余人の疑問を差し挟ませない堂々とした店構えに感心して一枚戴いたもの。

今回の感想ですが、いやはや、1980年以降の国産のズームは性能イイし、お値段お手頃だし、遊ぶにゃ丁度良いですね・・・
それにしても、この後継機の元になった、国産ズーム・・・早く紹介したいなぁ(笑)

さて、次回は久々に工房製レンズを何か紹介しましょう、何が出るかは乞うご期待!!
  1. 2015/11/23(月) 19:49:19|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

あれ、MD行かれました?

charley944さん
御疲れです。

35-70で手ごろなズームを探していて、この前NMD35-70MACROを確保したばかりなのに、また良い写りのレンズが出ましたねえ。
どうもミノルタのレンズはMC、NMC、MD、NMDと四種類あるので同じ焦点距離でもどれが良いのかさっぱりわからんであります。
1枚目の写真も好きな構図なんですけど、6枚目のカワウは良く撮れましたね。
絞り開放3.5でシャッター速度1/4000でも白飛びが厳しくなりそうなのに良く撮れましたねえ。
しかもカワウの羽の色も見えるような。
これ別にフィルターかましてないですよね。
MDって内面反射防止に優れているのでしょうか。

13枚目の木造の壁とアメリカンバイクの対比も良いなあ。風邪直してこういうの撮りに行きたいですわ。

後継機の基になった国産ズーム。
ありますねえ。あれはあれでお楽しみということで。

来週の更新も楽しみにしております。
  1. 2015/11/24(火) 20:22:55 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:あれ、MD行かれました?

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
そうですね、国産の常用粋ズームはほぼ全部揃ってしまったくらい、在庫がダブついてますねぇ(うわぁ~www)
で、今回、一番難度が高そうなカワウの写真ですが、実はEVFを上手く使えば、それほど難しいものでもなく、撮影条件見たら+0.7EVでISO200の1/2200で問題無く撮れてました。
おそらくAPS-Cサイズにしては画素数が1600万画素という控えめな数なので、一個一個のSPDの面積大きいから、ダイナミックレンジも広いのではないかと思います。
勿論、シネレンズ修理の時のノウハウ活かした内面反射防止策の恩恵も多大ではないかとも思いますが・・・
  1. 2015/11/24(火) 23:44:26 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

ここで紹介されるとヤフオクの落札価格が急上昇。。。

こんにちは。開放絞り同好会ではお世話になっております。
このレンズは私も本年8月にヤフオクで安価に入手しましたが 良い描写をしますね。
割合シャープなのにカリカリにならず 花を撮るのに向いている描写です。
最短撮影距離1mが惜しいところです、寄れたら素晴らしいのに....
  1. 2015/11/25(水) 07:07:54 |
  2. URL |
  3. 猿画堂 #eCUuu8f.
  4. [ 編集]

Re:ここで紹介されるとヤフオクの落札価格が急上昇。。。

猿画堂さん
有難うございます。
いやはや、仲間内では秘かに囁かれていた話しなのですが、ここまであからさまに云われてしまうとは・・・(笑)
或る意味、マッチポンプぢゃないですが、電子湾で目ぼしい高性能レンズを買って改造して紹介したら軒並み上がってしまったので、次なる鉱脈として国産の忘れらさられた常用域ズームの発掘を始めたのですが、それがヤオフクの相場まで逝っちゃうとは。
これもなかなか性能良いのですが、実はこの後釜としてライツ社の屋台骨支えたR系の主力ズームになった国産ズームの描写がシビレますよ、乞うご期待!!
  1. 2015/11/25(水) 23:50:41 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

それってもしかしてシグマの28-70ズームでしょうか?
でもここで回答いただくより 記事を楽しみに待っている方がいいですね。
  1. 2015/11/26(木) 22:44:23 |
  2. URL |
  3. 猿画堂 #eCUuu8f.
  4. [ 編集]

猿画堂 さん
再びのコメ有難うございます。
へへへ、内緒です。
でも出す週の火曜か、水曜には予告編を顔本に出しますのでお楽しみに♪
  1. 2015/11/26(木) 23:07:05 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

このところ、ズームレンズのご紹介が多いと思っていて、なんとなく中古店の店先を見ると、数万円のヤシコン以外はマニュアルズームなんて安いものですね。

国産の古いものなんて、ピントや湾曲やボケやハレーション・ゴーストなんか、クセ玉の見本の様ですが、SK氏のファンタジーめいた作例が面白かったので、試しにニコンの「よんさんはちろく」と、アダプターを購入したついでにお店の中古棚に数本置いてあったクセノタータイプのごく初期型オートニッコール(さすがにプリセット・タイプはありませんでした)のマイクロニッコール55mmf3,5を購入しました。ところが、マイクロ・ニッコールが気に入ってしまい、もう一本マルチコートを購入したのはいいですが、4386は被写体的にマチナカは難題と思い、いまだに持ち出させないままでした。

ミノルタMDも、今回掲載の新型で近接撮影可能品があったので、数千円で購入できたものの、アダプタ―はその倍近くの価格という事もあって購入できず、いまだに撮影は出来ていません。

今回のMDロッコールですが、橋梁や建築物とか車とかの工業製品は、縦線や横線や面的なカーブが規則正しいせいか、とてもシャープに写っているように見えました。半逆光の店先板目や鉄筋棒や固定保持も無く奇妙に危なさそうな錆びたガス瓶など良質な再現だと思いました。
それにたいして、近接は良いですが、中間距離でのスナップは、コントラストが不足するのか背景との分離が弱いような感じがするものの、逆に雰囲気描写はあるので使い勝手次第という気もしました。そのあたりをファンタジーっぽく狙えば、自分的には単焦点と棲み分け出来る気がします。

ということで、とりあえず今のうちに良品でも揃えて、かつては高価で手が出せない様な品物をいまや天上からのおこぼれとして、ささやかな楽しみの具にしたいと思いました。

(性能も良くわからない様なヘンな時期のズームレンズは意外と流失が早い様です。マニュアルという事が、購入を避けている一因だとはいえるでしょうけれど、フイルム時代の末期で数万した製品が、今や数千円の時代ですからね。)

  1. 2015/12/03(木) 11:03:15 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

そうなんです・・・実はお宝発掘とばかり、これまで以上に中古カメラ屋で、ヂャンク棚を含め、国産の常用域ズームの発掘に努めているのですが、そもそも、売れない、値が付かないということで、少なくとも委託販売専門の中古店での評価はボロボロで、預かりたくないアイテムとまで云われました。

その理由のひとつが、もうメーカーではOHを受け付けておらず、複雑な機構のため、浅草も川崎八丁畷も、堀切菖蒲園も物によって、そしてその程度によっては、限定修理扱いでエレメントのクリーニングくらいには応じてくれる場合がある、ということで、受けて貰えても、最低1万円以上の料金は覚悟しなければならないので、そのまま割り切って遊ぶか、或いは、腕に覚えが有る人間以外はとても手が出せないシロモノとなってしまっているのですね。

まぁ、結局は、トータルコストとそのメリット、更にはリセルバリューを考えて買って、更に必要に応じメンテナンスすることを考えなければならないので、安いものを買って、お金掛けて元の性能に近づけて使おう、という手合いはなかなか出てこないのですね、何とならば、ツァイスとライカ以外はお金掛けて、描写性能上がっても、ブランド力無いので、リセルバリューはほぼゼロですから・・・
まぁ、そのうち、簡単なレンズ清掃の方法でも伝授しますので、自己責任でクリーニング&内面反射防止強化して遊んでみて下さい。
  1. 2015/12/06(日) 22:57:42 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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