深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A great challenger from curtain of iron~OKC-8-35-1mod.M~

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さて今宵のご紹介は予告通り、当工房の秘蔵っ子、たびたび撮影結果は登場してきましたが、ご本尊の登場はまだであったことに気がつき、満を持しての登場となります。

まずはレンズの説明ですが、このレンズは旧ソ連のレニングラード光学機器連合(LOMO)が、崩壊前の1991年におそらくは外貨獲得目的の輸出用として、アリフレックス等のシネレンズの交換用レンズブロックとして製造されたものと思われます。

何故、そう推測するのかと云うと、実は或る旧ソ連領内の業者から、いつもは必要な量だけの改造用パーツ等を調達しているのですが、或る時、急に金が要り様なので、特殊なデッドストックのシネレンズブロックを買ってくれないか? というオファーがあり、値段も同スペックの西側中古レンズの5分の1程度だったので買いたい旨返事したら、何本買ってくれるのか?と聞いてきたので、5本でも10本でも、と答えたら、100本以上持っているので、大量に買ってくれたらディスカウントも考える・・・とのやりとりがあったので、当工房で保有する特殊用途のPO59-1のように1本しか見つかっていないものからすれば、比較にならないほど大量生産され、その捌け口としては、輸出向けと考えるのが妥当だからです。

構成は4群6枚のオーセンティックなプラナータイプ、コーティングの色は、T*より寧ろローライのHFTコートの最新のものに似ているように見えます。

ではさっそく実写結果を見て参りましょう。

今年5月のハノイツアーでのストックフォトから蔵出し致します。

カメラはLeica M8、 絞り優先AEでの全コマ開放撮影です。

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まず一枚目のカットですが、今回で二回目の訪問のため、周囲もすっかり見慣れた、ハノイ旧市街中心部、ホアンキエム湖至近の大聖堂裏の路地奥に佇む常宿前の狭い通りにところ狭しと左右から張り出した建物の様子を撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、着いた翌日にハイフォンまでの列車旅行の切符を買いに旧市街中心北部にあるロンビエン駅まで歩いて行く道すがら、ホアンキエム湖北方の職人街の幹線沿いの歩道を物色していたら、店頭の低い椅子に腰掛け、楽しそうにガールズトークに打ち興じるマヌカン3人小姐の楽しそうな姿が目に留まったので、声掛けて撮らせて貰ったもの。

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三枚目のカットですが、同じく職人街を歩いている時、店頭の特売品カゴみたいなコーナーを、とても子供とは思えない鬼気迫った様子で物色しているポニーテールのいたいけな小々姐の後ろ姿が目に留まったので、通りざまの一閃で一枚戴いたもの。

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四枚目のカットですが、幹線道路から職人街の中の比較的細い道路に入って、駅を目指していたら、色々な服装の老若男女がエキゾチックな店舗の前を行き来していて、何枚撮っても飽きないカンジだったのですが、通りの角に建つ、比較的、今風の若者向けのファッションを扱うお店から、無事、お目当ての買い物を終えたのか、恵比須顔で出てくる、いたいけな小々姐二人組の姿が目に留まったので、すかさず一枚戴いたもの。

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五枚目のカットですが、職人街も駅と隣接する市場地区の手前まで来たら、市場で買い物を終えた人々や、午後の行商に向け、市場で仕入れた品物を自転車の荷台に積んで、これから稼ごうという気概に満ちた表情を浮かべて通り過ぎるアヂュモニやら、とても活気に溢れている様子だったので、画的にも面白く、一枚戴いたもの。

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六枚目のカットですが、これも市場近くのエリア、五枚目のアングル前方へ100mかそこら歩いて、前方に特徴ある建物が見えてきた辺りで、ちょうど、菅笠のアヂュモニが前を歩いていたこともあり、如何にも東南アジアの街角という雰囲気を色濃く漂わせた通りの様子を一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、市場エリア入り口付近の雑貨屋兼ドリンクスタンドみたいな半屋台的店舗で、来るか来ないか判らない気紛れな客相手の商売の常でしょうか、白髪頭に背の曲がった爺様が傍らにトラのネコを寝そべらせて、悠々と新聞を広げて記事に見入っている姿が、何故か台湾とか香港の街角の様子にも思え、面白かったので通りざまに一閃、戴いたもの。

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八枚目のカットですが、駅で翌朝の切符を買っての帰り道、再び職人街を通っていたら、南国の風物詩でもある、ドリアンを山のように自転車の後ろの荷台に積んだまま、通り沿いの商店のショーウィンドを呆然と見つめる菅笠のアヂュモニの姿が面白かったので、これも通りざまの一閃で戴いたもの。

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九枚目のカットですが、ホアンキエム湖まで戻る時、来た道と違うルートを通ろうと決めていたので、少々遠回りして、北東方面に回ろうと思い、造花街を通っていたら、とある商店の店先に目にも鮮やかな赤い南国の花が飾ってあったので、これも良く出来た造花だわいな、とか近寄ってみればホンモノの熱帯植物だったのでこの鮮やかな赤い花をモチーフとして通りの雰囲気をバックのボケとして一枚撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、勝手知ったる他人の街、とばかりに地図も見ず、ずんずんと歩いていたら、交差点の信号で立ち止まっている時に、オランダからの旅行者という小姐2名にホアンキエム湖への戻り方を聞かれたので、地図を出して貰い、大まかな現在位置と、湖の方角を教えて上げたら、せっかくだからと彼女達のアイホンで記念撮影の上、モデルさんになって貰ったもの。

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十一枚目のカットですが、やっとホアンキエム湖そばの大聖堂が建つエリアまで戻って来たら、路地の入り口でいたいけな極小姐がお店を経営するオモニのお手伝いか、何らかの植物系食材の皮向きとヘタ取り作業やってて、ひと段落したのか、大きく伸びなんかして深呼吸しているところに通りざまに目が合い、ニッコリと微笑み返ししてくれたので、傍らのオモニに声掛けて一枚撮らせえて貰ったもの。

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十二枚目のカットですが、ホテルへ続く路地の入り口に立つ大聖堂で、この日は洗礼式と思しき行事をやっていたので、その行事に参加するらしい聖歌隊の文字通りいたいけな極小姐に眉目秀麗なフランス人旅行者の小姐が満面の笑顔でしゃがみ込んで色々と話しをしている様子が微笑ましかったので、かなり至近距離まで近寄って数枚撮らせて貰ったうちの一枚。

さぁ、どうでしょう・・・工房主の勤務評定としては、このOKC-8-35-1、なりは小さいですが、少なくともM8のAPS-H、或いは工房主力機のX系列のAPS-Cであれば、周辺まで破綻無く、精緻で端正な画を捉えてくれるので、こういう色彩豊かな土地でしかも機動性が求められるようなシーンではまさに真骨頂を発揮するのではないかと思いました。

さて、来週は秘宝館からこのところマイブームの国産常用域ズームのメンテナンス済のものの実写結果でも行きましょう。乞うご期待!!
  1. 2015/11/29(日) 22:49:32|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

いよいよ登場ですね。

charley944さん
御疲れです。

これ35㎜で開放2.0でしたっけ?
写りがすごい良いですね。
Helios33と比べるとこちらの方が輪郭はソフトでしかしシャープな写りになっている気がしました。

取り回しも軽快ですよね、このサイズなら。
M8ですと53㎜相当でしょうか。
9~10枚目の様な背景だとボケがうるさい気がしなくもないですが、1・4・7・12枚目の様なシーンなら臨場感あふれる写真になっている気がしました。
OKC-8-35-1をインダスターのボディに移植して距離計連動にされたのですね。
これもまたすごい。

さてさて、ここで発表されたからには市場でも価値が出てくるのだろうなあ、きっと。
  1. 2015/11/30(月) 22:56:19 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

数多く8-35-1の作例は見てきましたが、細かい再現性が高くて多様な色再現をしっかりと描写している事にとても高い好感が持てます。なによりもカメラはAPS-Hということで、レンズにとっては若干厳しい条件ですし、konvasマウントの深いフード付きでもないのに、一点も難が無いと言って良い描写には、この強力な能力を持つレンズの潜在的な人気度を表していると思いました。

個体差もあるでしょうけれど、8-35-1がシルバーのリング縁取りタイプになってからはコーティングも変えたせいか、コントラストも強くなってそれまでの地味に成りがちな描写から離脱したようです。70年代の8-35-1もしっとりしていてとても好きな描写ですが、90年代のタイプで見得るメリハリある描写がツボにはまった時は気分は最高といったところです。

今回のベトナムといた熱帯の日差しでも、まったく破綻の無い用い方をされていて、とても見事だと思いました。
  1. 2015/12/01(火) 21:07:46 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

Re:いよいよ登場ですね。

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
カメレス申し訳ありませんでした、実家に帰ってたり色々と立て込んでまして。。。
ご指摘の通り、Helios33とこのOKC-8-35-1はスペック的には同一ですが、味付けが全然違いますね。
こちらは、それほどシャープな印象を与えないかも知れませんが、さすが映画撮影用、11枚目のハデな装束の小々姐のように背景からの浮き上がり感がそそられるものがあると思います。
そうそう、もう一本の個体はまさに換え鏡頭のつもりで、手間隙掛けた、距離計連動マウントユニットのスペア扱いでしたが、まだ安いうちに違うロットの個体でも買ってみようかな・・・
  1. 2015/12/06(日) 22:39:49 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます
カメレス失礼致しました。
一般論で言えば、旧ソ連のシネレンズは状態にもよりますが、古い世代の方が、設計に余裕が有る為か、イメージサークルも大きいですし、解像度、コントラストは劣っても、画面内の画質均質性、合焦部の浮き上がりでは勝っているように思えます。
ただ、唯一の例外が輸出用高性能シネレンズヘッドであるこのOKC-8-35-1で、これは新しいものの方が、全ての評点で優れていると思いました。
しかし、不可思議なのは、寒い国のレンズなのに、このOKC-8-35-1もPO59-1にしても南国でのロケで、その地方の空気感まで絶妙に描写してしまうような印象を受けることです。
  1. 2015/12/06(日) 22:45:35 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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