深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A dramatic optics with fainltly green reflection ~MC W Rokkor Si 28mmf2.5~

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さて今宵のご紹介は予告通り、工房附設秘宝館から、新規にコレクションに加えた玉をアップ致します。
その名も MC W Rokkor Si 28mmf2.5、ぱっと見、望遠レンズのように見えますが、れっきとした広角レンズです。
この大ぶりな外観と怪しげな微かな緑の反射光を湛えるf2.5というこの時代では画期的に明るかった稀代の広角レンズは、SIの記号が示すが如く、7群9枚の構成で1966年から発売されたといいます。
それ以上にこのレンズの特徴として挙げられるべきは、3群4群のエレメントをいわゆる酸化トリウムガラスを採用し、その高屈折率を用いて曲率を緩め、像面湾曲等の収差を抑え込んで開放値のアップを図ったということです。
今回は新宿の山系のお店で、おぃちゃん、何か面白いの無ーい?と聞いたら、へへへ、旦那、イイ娘っこが入りやしたぜ♪というノリで、結構汚れ放題汚れ、絞りの前後も硝材の劣化なのか油染みなのか判らないようなクモリ状の欠陥があったので安かったのですが、土曜日に愉快な仲間達各位と会う予定だったので、金曜日にお得意の夜更かしをして、前後の光学系を八丁畷の業者さん特製クリーニング液を二種類してすっきり綺麗にして、ピンポイントで内面反射を改善し、ヘリコイドにテフチューンを施し土曜の午後に浅草へと出撃したのでした。
では、さっそくその50年ぶりの実力を見て参りましょう。
カメラはX-Pro1、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、営団線浅草駅を出て、雷門周辺で被写体を探していたら、正直、一瞬目を疑いましたが、門前にて、季節外れの浴衣っぽい和装の小姐がその旦那と思しき兄ちゃんと、車夫のセールストークに熱心に耳を傾けていたので音も無く近寄り、背景からその様子を一枚戴いたもの。

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二枚目のカットですが、門の裏側、仲見世の入り口付近では必ず、異人さん達が、門の前の朋輩を撮ったり、或いは自撮りしたり、門単体を撮ったりとまさに門の裏表なく、フル稼働で観光に貢献していますが、その中で素晴らしく色使いのセンズの宜しい韓国人の小姐が真剣なまなざしで朋輩を撮ろうとしていたので、その様子を斜め前から一枚戴いたもの。

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三枚目のカットですが、やはり声掛けをしないとポートレ写真を撮ることが出来ず、わざわざ人混みの凄まじい浅草くんだりまで深川から出てくる意味が無くなっちゃいますから、まずは、お手軽にピン外人の写真撮影小姐ということで、門周辺を撮り終わったところで、声を掛け、同じフジのユーザーだから仲良くしよう♪とか牽強付会にモデルさんになって貰ったもの。

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四枚目のカットですが、いつもの定点観測スポット、美人茶屋「あづま」さん裏手の仲見世西側側道沿いの交差点に建つ扇子屋さん店頭の大和絵団扇を1.2m付近で撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、人混みの凄まじい仲見世の途上で立ち止まって何かしら撮ろうというのはまさに至難の技以外の何物でもなさそうで、仕方なく、万国の人の流れに流されるまま、気が付けば宝蔵門前まで歩いて来ていて、ふと視界が開けたところに、また浴衣と見紛うような淡い明るめの絵柄の留袖の大陸小姐が揚げ煎餅かなんかの順番を並んで待っていたので、その愛くるしい髪飾りとお揃いの着物の図柄を宝蔵門をバックに一枚撮らせて貰ったもの。

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六枚目のカットですが、ロシアから来たと思しき複数名の男女が宝蔵門前の仁王像ハウジング付近に佇み、眺めて「ハラショ!」とか盛り上がりながら交替で写真なんか撮りっこしてたので、気配を消して間合いに入り込み、あたかも一行のフリをして愉しげな様子のひとコマを捉えてみたもの。

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七枚目のカットですが、宝蔵門をくぐって、境内に入ると、ここもまた浅草寺撮影での定点観測スポットであるお御籤売場前で、世界各国からのゲストが果たして、意味が判るのか、ただ単に他の観光客もやってるから何かのLucky Drawingの一種かと思い、恋するフォーチュンクッキーのノリで金払って試してるだけなんぢゃないかとは思うのですが、いつもお御籤抽いては、ラックに結んでいるので、尤もらしくしかめつらで紙と睨めっこしてるところに近づき一枚戴いたもの。

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八枚目のカットですが、次なる撮影スポット、手水場、巨大香炉近傍で被写体を探していたら、何と、いたいけな幼い兄妹が若いラッパー風の親御さん各位がフリートークの没頭しているのをイイことに、火遊びなんかしようとしている素振りだったので、反射的に一枚撮ってみたもの。

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九枚目のカットですが、いつもの倣いで本堂まで来たら、一応、こころばかりの賽銭という名の喜捨を行い、今日も面白い写真を撮って帰れますように☆とか都合良いことなどもお願いして本堂を西側に抜けたら、何と、白人観光客から中国人団体に代わる代わるにカモ状態にされていた振袖小姐二人組が居たので、嵐が去ったあと、肩で息していたにも関わらず、声掛けて一枚撮らして貰おうとしたら、なんとこのお二人も台湾からのゲスト、それでは、とモデルさんになって貰ったあと、彼女達のスマホンとコンパデヂで晴れ姿を撮って上げましたとさ、めでたしめでたし(笑)

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十枚目のカットですが、レンズ修理後のテストパターンとしては結構重宝している、本堂脇の巨大天水桶の一番コントラストの上がる補色関係の濃色どうし、明朱色の文字?と暗深緑の桶本体の組み合わせをスカイツリーを背景に大胆に空も入れて撮ってみたもの。

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十一枚目のカットですが、本堂西エリアから、レンズ交換のため、また一旦、宝蔵門付近のベンチに戻ろうと歩き出したら、ちょうど巨大香炉の東側を通り過ぎようとしたら、英米圏の女性だけのグループがやって来て、香炉の煙で自ら燻製になろうとしたり、我が子を燻製にしようとしたりする、異教徒には到底理解の出来ない修羅場を捉えようと一行のうち数名がカメラを構えたところを撮ろうとしたら、別のメンバーがSo So Sorry!!とか云いながら画面を横切ってしまったので、丁度頃合い良くエキストラ出演して貰ったもの。

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十二枚目のカットですが、手水場付近、本堂東側下のちょっとした広場ではお参りの待ち合わせなどにいつでも誰かしらたむろしているのですが、今回もなかなか雰囲気のある黒尽くめの小姐が人待ち顔で佇んでいて、時折通り過ぎる傍若無人な国籍不明の小集団に押されて、風に揺れるたおやかな柳のような風情だったので、一枚戴いてみたもの。

今回の感想ですが、え、こんな値段でこんな佳きレンズ買えちゃって良いの!?と自問自答したくなるような試写結果では無かったかと思います、ただ、50年経った今、同じ28mmでもf2.0で容積が1/3くらいになっちゃっているので、今後の出番は専ら、近場でのお遊び用で、なかなか遠出へのお供には厳しいかも知れません。

さて、次週は海外遠征で一周お休み、その翌々週から二週、ないし三週連続で海外ロケ編アップ致します、乞うご期待!!
  1. 2016/02/07(日) 22:53:26|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

何ですのん、この化け物レンズ?

charley944さん
お疲れです。
明後日からの旅行の準備中でしょうか。

今回はまた吃驚するようなレンズ出してきましたね。
スペックだけ見ると大したことなさそうなのに、写りがすごくてびっくりですよ。
X-Pro1系列だと換算焦点42㎜附近の画角になるわけですが、メンテしただけあってきれいに映りますね。
しかも立体感がすごい。
これ一本あれば標準域は十分なんじゃなかろうか。

2枚目と11枚目の立体感たるやもう、すごいですわね。
  1. 2016/02/09(火) 21:05:55 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

コンディションも最高と見て良い、わたしも新品時を知らぬ60年代の明るい広角レンズの断面を知らせて戴き、ありがとうございます。

ここで拝見する1960年代頃のこうした筒の長いタイプは、ピントも良いですしボケも癖も少なくまとまって、ガラスも多くを吟味することで必要な性能を達成したかのごとく見受けました。

これが70年代になると、スペック重視のzeissで、ディスタゴン28㎜f2等大口径に引き継がれれるのも不思議なものです。

るこうした長い鏡胴も、古くは1950年代だと国産初期の一眼レフ用広角レンズ鏡胴として、f3.5級28㎜レンズとして多くのメーカーから、今から見れば奇妙に長い望遠レンズ的な風貌を備え発表されて居た様です。そうした歴史の起源、『国産一眼レフ用のロング鏡胴・広角レンズ趣味世界』もあってしかるべきだと思いました。

(60年代当時では、広角を使うとなればライカ用ということでL(M)マウント全盛で、戦場カメラマンさえも望遠は一眼レフ・広角はライカという棲み分けが果たされていました。今日のデジタル時代では、古いレンズタイプの広角レンズにはセンサーへの照射角度が斜め過ぎる事での色変化や画像流れなど、逆に照射が直線的な一眼レフ用の広角レンズがもてはやされる、今日的な理由もあります。)


このミノルタでも、曲率の弱めを用いる事ができる高屈折率ガラスを備えていたそうで、こうした長い筒でも良好な周辺画像を、当時の一眼レフ用レンズ製造メーカーとして備えて居たのでしょう。もっとも、ヤシコン・ディスタゴン21㎜f2.8などは第一面は大きいものの、あれだけ長い筒でも最高度の画質を持っていたということは、内部のリレーレンズ次第という事なのでしょうか。

(それでは944氏のお出掛けに促されながら、ワタシもこれからソリゴルやコミナ方面へと出掛ける準備を…。)

  1. 2016/02/11(木) 15:29:20 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

Re:何ですのん、この化け物レンズ?

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
返事遅くなって申し訳ありませんでした。
今日の11時かっきりに羽田に降り立ちました。

そうですね、広角系には、ことEVF経由での撮影イメージの画像をモニタしていると、目の前の何気ない景色が、ついついシャッター押してしまいたくなる蠱惑的な風景に改変してしまうものがあるのですが、まさにこの巨大28mmもその一種ではないかと思いました。

蛇足ながら、今回のソウル・水原の旅でも実感しましたが、必要に応じ、被写体に寄りさえすれば良いので、旅のお供には、28mm以下の広角で明るめが一本と夜間撮影と中望遠兼用で50mmf1.2クラスの最低二本有れば、十分ではないかと思えました。
  1. 2016/02/14(日) 17:44:09 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

treizieme ordreさん
有難うございます。
返事が遅くなって申し訳ありませんでした。
韓の国で広角と戯れておりましたもので・・・

そうですね、確かに今のデジタル用の高性能レンズろ云われるものは50mm域の標準でさえ、ディスタゴンタイプのレトロフォキュ系の設計になっていますね。

これはご慧眼の通り、テレセントリック性を高めるため、バックフォーカスを意図的に延長し、45°を超える入射角は不得意なCMOSに対し、周辺まで最適な配光特性が得られるよう配慮したものと言われています。

ただ、その代償として、レンズは巨大化してしまうのですね・・・Z社ブランドのOTUSも、Σブランドのアートラインも50mmf1.4は200mmf2.8の望遠レンズ並みに巨大な図体ですし、この28mmf2.5も同じくMC Rokkor100mmf2.5よりも大きく重いですし。

ただ、不遇にもコレクターアイテムではないというだけで、顧みられることなく捨て置かれ、ミラーレスの超能力を借りれば、その本来の性能を発揮しそうな物故レンズはあまたあると思いますので、今後も目に付くごとに発掘、整備してその真価を世に問うていきたいと思います。
  1. 2016/02/14(日) 17:57:04 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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