深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A marverick from U.S.A.~Wollensak Cine-Velostigmat2" f2 mod.M uncoupled~

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さて、今宵のご紹介は、久々の工房作品、しかも、国産のありふれた絶版レンズやらコンパカメの玉を取り出して撮れるようにしましたぜ♪ではなく、偶然、電子湾の夜釣りで釣り上げた、謎の深海魚もかくやあらん珍玉、米国はWollensak社製のCine-Velostigmat2"f2です。
この玉が工房に到着した時、やはり同じくノーコートのKinic1.5"f3.5と同じようにエレメントは、コップの中で氷が解けて味が残っているかいないかギリギリの線のカルピスのような淡い白濁した状態で、直ちに分解し、エレメントの清掃、及び端面のコバ塗り直し、鏡胴内部の反射防止改善策を行いました。
構成は貼り合わせ無しの4群4枚、ただ、とても変わっているのが、f2クラスではまず他に例が無いと思われる、簡易ガウスというかオルソメター型というか、前後の構成が凸、凹、絞り、凹、凸という全くの対称型なのです。
製造、ないし発売の年代は番号帯の資料もなく、ネットで調べても類似品が皆無でしたが、漆黒のエナメル仕上げのノーコートで、硝材が1930年前後に製造されたと思しきCookeのKinicなどと似ていますから、おそらくは戦前の1930年代前半に作られたものではないかと考えます。
では、さっそく、この謎の?異端レンズの実写性能を先週の中目黒でのミニ撮影ツアーの行程を追って見て参りましょう。
カメラはX-Pro1、絞り優先AEでの全コマ開放撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、中目黒の駅を降りて南方面にある「中目黒銀座」なるこじんまりした商店街の入り口付近にある、それこそ、川越や佐原から切り取ってそこに置いたかの如き、古建築の酒屋さんの建物の一番特徴的な、銅の雨樋とそこに繋がったダウンパイプをメインに屋根越しに木枠の二階の窓枠まで背景として撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、同じく中目黒駅近くの商店街の入り口付近、古建築の酒屋さんを背にして通りで被写体を物色していたら、ちょうど、けたたましくベルなんかも鳴らしながら、爆走チャリ一家のお通りだぃ!状態をほぼ置きピンで捉えてみたもの。

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三枚目のカットですが、同行者の方々と商店街を奥に進んで行くと、ほぼ年二回は最低訪問しているはずなのに、結構目新しい発見も有って、被写体には事欠かず、木製で生ハムの腿を象った看板に白い木製の切り抜き文字で屋号、そして奥の店舗前の赤い壁には何処となく欧風の漫画みたいなものが描かれ、全体的になかなか洒脱な雰囲気を醸し出していたので、店先からその佇まいを一枚頂いたもの。

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四枚目のカットですが、同行者の一名から、この近くになかなか雰囲気のイイ神社が在ったはずなので、行ってみませう♪というなかなか建設的なご意見を出して頂いたので、一同はさっそく、建物と建物の間の狭い路地を通り、小ぶりな敷地ながらも地元民各位の篤い信仰心に支えられて境内は植樹もしっかり手入れされ、きれいに掃き清められ、とても清々しい気持ちにさせてくれましたが、神社、仏閣関連の写真は業務でチタン屋根関連を撮るくらいでプライベートではご遠慮申し上げているため、神社の塀というか結界を区切る木製の囲いに立て掛けられた深紅の自転車を撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、神社のすぐ裏手はそこそこの大きさに一通りの遊具も揃っている児童公園になっていて、いたいけな童子達がこの日も無邪気に歓声を上げて滑り台だのブランコだの、親御さん同伴で遊んでいたので、ちょいと失礼とばかり、絶叫しながら降りてくる我が子の勇姿をスマホンで捉えようとする若いヲヤヂさんのちょうど反対側に陣取って一枚頂いたもの。

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六枚目のカットですが、童子達が元気良く遊び回る児童公園をあとにして、また商店街探索に出ようとした時、公園の出入り口付近に紫色色の紫陽花が可憐に咲いていたので、最短距離付近の性能も見たかったため、一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、公園や神社のある裏通りからまた"銀座"と称する商店街へ戻る道すがら目についた、道端に植えられた真っ赤な季節の花の可憐な咲き加減を一枚撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、"銀座"と称する商店街を一行は適度に撮りながらずんずんと進んで行きましたが、或るリサイクルショップ、ないしアウトレット販売店みたいな小店舗の店先に発泡スチロールの箱やら白いプランターの箱を上手に活用した、ナノビオトープみたいなエリアがあり、そのお店の縁者と思しき、いたいけな童子達がぶくぶくと泡が立つ箱の中のめだかたかが泳ぎ回る様子を眺めて人生の無常を感じ取ろうとしている風情だったので、背後から通りがかりざまに一枚頂いたもの。

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九枚目のカットですが、銀座"商店街も真ん中を過ぎた辺りで、なかなか店頭のデスプレイというか、個性的な散らかり具合いが画的には蠱惑的な飲食店が在って、ただ店の佇まいを撮るんぢゃ面白くもないので、誰か適当なエキストラさんが通らないか、暫し置きピン状態で待ち構えていたら、ちょうど、一心不乱に乍らスマホンをして歩いて来た都会のOL風の小姐が店の前に差し掛かったので、僥倖、僥倖とばかりに一枚頂いたもの。

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十枚目のカットですが、同じく"銀座"商店街には色々な人々、老若男女がひっきりなしに行き交いますが、やや時間的には外してますが、愛犬?を横着こいて、自転車で散歩の真似事している、年齢、職業想定不能のヲヂサンのお姿をこれも置きピンで捉えてみたもの。

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十一枚目のカットですが、"銀座"商店街の奥地で、深大寺の門前土産物屋街とか葛飾柴又は帝釈天こと題経寺への参道辺りで良く見掛ける、展示と防湿保管を同時に出来る優れモノの、アルミのネジ蓋が付いた、横置きガラス広口瓶が多量に置かれた店の奥で故郷の老親への贈り物でしょうか、黒づくめのやや歳のいった小姐が真剣な眼差しで伝票を書いていたので、横のガラス窓に己が姿が映っているのにも気づかず、チャンス到来とばかり一枚撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、歩くこと数十分、"銀座"商店街のどんづまり付近まで到達しつつある辺りで、生の向日葵をゴーヂャスに店頭のプランター一杯に植えている、なかなか風情の有る飲食店を発見したので、その黒板にチョーク手書きの看板を背景に至近距離で一枚撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、同商店街どんづまり付近で、まだ昼飯にはだいぶ時間も有るので、一行は思い思いに被写体を探していたのですが、目黒区で流行りなのか、或いはここ中目黒の狭いエリアの生活習慣なのでしょうか?結構、おしゃれというか、差別化を志した自転車そのものや自転車が目に付いたので、或るお店の店頭で色とりどりに並ぶ商品を一枚撮らせて貰ったもの。

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十四枚目のカットですが、商店街のどんづまりもどんづまり、一番端のお店の店頭に、適度に風雪や直射日光に晒され、イイ案配に年を取った雰囲気の木製の丸椅子が置かれていて、これがアナクロにも古レコード店の店構えに妙にマッチしていたので、この椅子をモチーフに店頭周りの佇まいを一枚撮ってみたもの。

今回の感想ですが、こういうフレアっぽいレンズは、やはり難しいですね・・・昨日出かけた潮来あやめ祭りとか、古河のもも祭り、或いは甲府信玄公祭りみたいな、ところどころ、ポートレートを確実に撮れるシチュエーションだと本領発揮するのでは、と思った次第。

さて、来週は、その潮来あやめ祭りから、あやめ娘各位のご協力も仰ぎ、また機材選択の妙も有った、嫁入船のハイライトシーンも合わせお送りしたいと思います、乞うご期待!!
  1. 2016/06/05(日) 20:11:07|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

油絵の様な、エクターやラプターっぽい温かみのある色付とほんのり柔らかい風合いが、少し硬めのボケと相まって、とても良い感じです。

なんといっても、レンズ構成が50㎜という短焦点レンズにしては面白いです。

初期ゲルツのセロールや、後年ならローデンの(アポ)ロナーや、もしかしたらゲルツのアポ・ア―ターも同じ構成だったかもしれません。

そうなると、もともとは製版向きの端正なレンズが、一時の新種ガラスのお蔭でf2まで拡張できたものの、良像画面範囲が狭かったので廃品になったのか、あるいは小さいフイルム用の等倍プリンティングになってしまったとか…。

久し振りに、面白いレンズに出会えました。
  1. 2016/06/06(月) 00:36:46 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
ありがとうございます。
そうですね、このコマフレアのフワっとした雰囲気と暖色系のまどろむが如き発色、これが米国はニューヨーク州ロチェスター生まれのレンズの共通するDNAなのかも知れません。
また、この特異な構成はサイトはもちろん、文献もないので、推定せざるを得ないのですが、このレンズはシネ用ということで、おそらくは16mmのBolex辺りの交換レンズとして企画・製造されたとすれば、200mm程度の望遠になると考えられますので、画面構成の都合上、遠方を撮ることが多くなるので、必然的に光束の平行度は有利になりますから、この4群4枚のf2.0でも全く問題なく活躍出来たのではないかと思います。
  1. 2016/06/06(月) 23:12:38 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

中目黒もたまに行くと面白いですね。

charley944さん
お疲れです。
いつもの商店街がこのレンズで撮影すると雰囲気ガラッと変わりますね。
こうやって見ると、ふわっとした写りのレンズがこの町にあっていたということかもしれませんね。

ポートレート向きではありますけど、14枚目の様な被写体なら木目がきれいに出て良い雰囲気だなと思いました。

来週の潮来あやめ祭りの写真も楽しみです。
  1. 2016/06/08(水) 22:50:08 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:中目黒もたまに行くと面白いですね。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
そうですね、この緩い雰囲気のレンズでちょいとうらぶれたカンジの商店街なんか、あてどなく彷徨いながら撮り歩いていると、日ごろの会社勤めのカリカリしたキブンなんか何処へやら、とても牧歌的なキブンになってしまうから不思議です。
でも、ホントは万国の旅人が集う浅草界隈で、五色の人種を撮ってみたかった気もします(笑)
  1. 2016/06/14(火) 23:34:51 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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