深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A restored perpetual eye~Leitz Summicron 50mmf2.0coll.~

Summicron50col.jpg
さて今宵のご紹介は前回というか昨晩の予告通り、先々週、浅草にて、修理上がりのLeitz Summicron50mmf2.0沈胴の試写を行って参りましたので、その結果をアップ致します。
実は、何のかんの言いながら、ひとつの銘柄、焦点距離でバリエーション違いが多いのは、アリフレックス用Xenon50mmf2.0に次いで、このSummicron50mmf2.0が多く、一番最初にクラカメ始めた時に銀座の黄色い手榴弾マークのお店で買った、第三世代の二番目の型、1979年からカナダで製造された黒の固定鏡胴の4群6枚タイプのものから始まって、次いで何時買ったのかさえ覚えていないものの、修理上がりで素晴らしい性能を叩き出した第二世代の逆ローレットでバヨネットの個体、そして欧州出張時にニュルンベルクの市電の停留所横に有った個人経営の小さなお店に寄った時、前玉にこまかい傷が多いのでおまけしておくよ、ということでかなり安く買い求めてきたこの初期の沈胴型の計三本となります。
この個体、前玉の細かい磨き傷だけであれば、それこそ白色のペンライトででも透かしてみない限りは気にもならず、写りにも殆ど影響はないと考えていたのですが、そのうち、一番肝心の絞り直後の凹レンズの内側にキャノンの50mmf1.8ほどは酷くないものの、軽フリントガラスの経年劣化としてはかなり一般的な白い曇りが出て来てしまったので、その研磨+再コートも含めレストアに出したもの。
ではさっそく、その修理後の実力を当日の行程に沿って逐次見て参りましょう。
カメラはX-Pro2、全コマ開放による絞り優先AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、五重塔の写真を撮る必要があったため、それを済ませて宝蔵門周辺でモデルさんになってくれそうな人達を探していたら、来ました来ました、ブータン風の和装の着こなしをしたインド人一家が楽しそうに歩いてやってきて、門の下で記念撮影なんか始めたので、シャッター押して上げましょうねとか甘い囁きで勧誘し、記念撮影して上げたのち、一家勢揃いでモデルさんになって貰ったもの。

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二枚目のカットですが、宝蔵門をくぐり抜けて次なる撮影スポットである手漕ぎ井戸方面を目指していたら、中国からの小姐他ゲストご一行さまが、本堂方向を眺め透かしながらどうやって記念撮影とか撮ったら良い?みたいな雰囲気でお揃いの和装(但し男性は除く)で合議していたので、その様子をちゃっかり横から一枚戴いてみたもの。

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三枚目のカットですが、今回は手漕ぎ井戸周辺には、フォトヂェニックな雰囲気の大人も子供も居なかったので、仕方なく、次の定点観測スポットであるお御籤売場に向かい、そこで暫し物色していたら、清楚な雰囲気の白人女性がガイドブック片手にお御籤を買い求めようと、例の竹串入れの缶みたいなのを良く振って、抽いたは良いが、そもそも出て来た竹串に書いてある文字が読めないので、従って指定されたお御籤の入っている抽斗がどれか判んないぢゃん・・・という一連の悲しい出来事の発端を撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、せっかく浅草寺に一人で来たので、たまには真摯にお参りでもしてみようとか思い、まずは手水場で手を洗い、口を漱ごうと思って足を踏み入れたのですが、やはり罪深きスナップシューターは邪念に屈してしまい、お清めもそこそこに、まじめに手を洗い、口を漱ごうとしている善男善女の中から被写体を選び出して、いつの間にかシャッターなど押してしまっていたのでした。

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五枚目のカットですが、そうこうして無事本堂でお参りを済ませてのち、同じ方向から出るのも芸がなく、シャッターチャンスに巡り合う確率も減りますから、奥山方向、即ちご本尊サマに向かって左手方向の出口から退出し、階段を下り、奥山方面を眺めてみれば、いつも通りの露店の列に天気が良かったこともあり、各国の浴衣姿の小姐、アガシがたむろし、まさに多国籍軍の様相を呈していたので、歩きながら一枚戴いたもの。

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六枚目のカットですが、本堂西側を通り、再び本堂下の真っ正面、巨大な香炉が置かれている辺りに戻ってみれば、中国人親子がまたしてもスマホンの自撮り棒で家族写真撮ろうとしているのですが、みんなが使っているのでBluetoothが干渉でもするのでしょうか、なかなか上手くシャッター切れず、首を傾げて、みんなでお困りのようなので、ハーィお助けタァーイム!とばかりにシャッター押して上げましょうか勧誘を行い、そのお礼としてモデルさんになって貰ったもの。

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七枚目のカットですが、宝蔵門とお御籤売り場の間のちょっとした広場みたいな辺りを歩いていた和装姿の小姐二名がタイからやって来たと云う夫妻に呼び止められ、一緒に記念撮影したり、相互にたどたどしい英語で国際交流を試みるという微笑ましいシーンを展開してくれちゃたりしていたものだから、つい嬉しくてその様子を一枚戴いてみたもの。

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八枚目のカットですが、宝蔵門下まで来たら、いかにも日本のヲタク文化に憧れて、一生けん命貯金して、憧れのニホンにやってキマシタァみたいな雰囲気の東欧の小姐二名が、よりによって大阪のヲバちゃんみたいなのに呼び止められて、そのご自慢の一眼レフで下から見上げる格好で一枚撮られようとしているところを斜め上からお裾分け頂いたもの。

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九枚目のカットですが、宝蔵門を出てすぐ、仲見世と境内のつなぎ目の辺りにある揚げ饅頭屋さんお店頭で、おそらくはマレーシア辺りからと思しき小姐三人組が、なんと珍しいことにアクションカメラとして名高いGoProに自撮り棒つけて持ち歩いていて、それをひっくり返して仲間内の記念撮影しようというスゴイことやっていたので、その様子を面白半分に一枚戴いてみたもの。

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十枚目のカットですが、マレーシア三人組を撮ったあと、いきなり斜め後ろから英語で呼び止められたので、げ!他に仲間が居て、何のために撮った?とか詰問か?と恐る恐る振り返ってみれば、美形の白人小姐が、スマホンのシャッター押して、この立派な門の前でアタシを美人に撮って!とかいう信じ難いようなリクだったので、ハィハィそういうことでしたらと喜んで、色々注文付けて何カットか撮って上げて、グレート!!ということだったので、ぢゃ、こちらのお願いも聞いてね♪ということでモデルさんになって貰ったもの。

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十一枚目のカットですが、仲見世を雷門方向に戻りながら被写体を探すことにし、キョロキョロと辺りを眺めながら歩いていたら、人形焼の実演販売をやってるお店の店頭で、これまた好奇心旺盛なお年頃のいたいけな中国人小々姐が、親の点呼も振り切り、一心不乱に焼き方さんの手元を睥睨していたので、その鬼気迫る様子を一枚戴いてみたもの。

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十二枚目のカットですが、仲見世をそぞろ歩きしながらシャッターチャンスを探していたら、程なく伝法院通りと交差する辺りまでやって来て、そこではスカイツリーが比較的良くその全貌が見渡せるポイントなので、国内外の観光客とも、一生懸命、腕を伸ばして、スカイツリーをバックに自撮りを試みるのですがなかなか上手く行かないようで、白人のカポー二人組もしまいには交代で撮る有様だったので、声かけて二人纏めてスマホンで撮って上げたお礼にモデルさんになって貰ったもの。

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十三枚目のカットですが、某ハヤタカメラのある伝法院通りの途中のお豆腐屋さんの店頭で、閉ざされたシャッター上に大きく漢字で書かれた屋号をバックとして、七五三みたいな和装着こなしの中国人小姐二名が記念撮影ごっこしていたので、声かけるまでもなくその様子を一枚戴いてみたもの。

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十四枚目のカットですが、ここも伝法院通り上のとあるラーメン屋さん店頭に行列しながら、他で買い求めたと思しきヂェラートなんざ美味しそうに食べているという不可解な小姐、しかもどう耳を澄ませても国産としか考えようがない小姐二人組が居たので、その謎の挙動を一枚撮ってみたもの。

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十五枚目のカットですが、また仲見世に戻って、雷門方向に歩き出して程なく、日曜日が休日と云うのも、観光地の商店街に連なる店舗としては不可解な挙動というか営業方針ですが、とにかくその閉ざされた小奇麗なペイント付きのシャッターの前で、初詣客が半年タイムスリップしてきたみたいなカッコの中国産小姐が嬉々として記念撮影なんかしていたので、その様子を横から一枚戴いてみたもの。

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十六枚目のカットですが、仲見世も宝蔵門からスタートすればどんづまり、雷門まで10メーターも無いいつもの撮影スポット「美人茶屋 あづま」さんの店頭は甘酒やら桃太郎の家来ぢゃあるまいし黍団子を求める国内外の観光客でごった返して、仄かな殺気さえ漂う有様だったので方針変更、店頭で、食べ歩きの自粛を呼びかける役の小姐に一枚撮らして貰うよとか声かけても全然気にもしていない様子だったので、至近距離から横顔を一枚戴いてみたもの。

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十七枚目のカットですが、遂に仲見世の出発点である雷門前まで辿り着き、最後のもうひと踏ん張りでモデルさんになってくれそうな善男善女を物色していたら、居ました居ました、トルコからやって来たと云う親子連れがヲヤヂさんを俄かカメラマンに仕立て上げて雷門の偉容をバックに記念撮影なんかしていたので、数枚撮り終えたところで、卒爾ながら拙者も、とお願いして妻子をモデルさんに差し出して貰ったもの。

今回の感想ですが、同じSummicrom50mmf2.0でも三本とも描写傾向が全く異なるような印象を受けました。やはり当たり前ですが、新しいものほど、コントラスト高めで解像感も高いカンジなのです。
でも、この初代はそういった性能とはまた別のところで、様々な人たちの今の生きざまを、そしてそういった見ず知らずの人たちとの邂逅をとても優しく生き生きと写し取ってくれるところにとても魅力を感じました。

さて次回ですが、法事の帰省で一週お休み、翌々週にGWの香港戦線で大活躍した久々の新調レンズの魅力をお伝えしたいと思います。乞うご期待!!
  1. 2017/06/04(日) 19:58:41|
  2. 旅写真
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コメント

いまでは所有のない、なつかしいズミクロンの初期タイプという事で興味を持ちました。

直射日光下では、開放(?)だとさすがに大口径風のコントラストが低下するような雰囲気ですが、おおかたの撮影は日影でのようなので、とても安定した再現に頼もしさを感じました。

このモデルの面白さは沈胴式ということもさることながら、周辺の収差がズミクロン50㎜にしては派手という事が特筆されると思いました。

ガラスの劣化が心配という個体はキャノンにもままありますが、最近のデジカメではclearモードというのがあるので、本来の性能ではありませんが、そうしたモードを援用してガラスの代替えも無く修理不能なレンズ(canon50mmf1.5など・・・)を使うという方法もありますし、現代の装置が白濁の収差変動をどのように補正しているのかを探るのも一興です。


(今回は特に、表紙ではフルサイズライカが登場しながら、何故か作例がAPS-Cサイズというのが非常に疑問でした。フイルムからの転写でも構いませんが、周辺収差がフルで確認できる35㎜フルサイズでの掲載を期待してやみません!)


  1. 2017/06/05(月) 12:43:07 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

そういえば、冒頭でシネ・クセノンとの比較がありました。

同郷でf2という同じスペックを持ちながら、スチルとシネ用との違いから、なかなか比較対象にはなっていなかったその二種が、貴方の主要コレクションになっているという事に興味を持ちました。

距離計用ズミクロン50㎜は、その後シネ・クセノン50㎜f2のような変形ダブルガウスへと移行していますが、それでもダブルガウス・タイプ伝統的なcookeとは異なった若干の変化を持っています。対して、シネ・クセノンは大方はcookeタイプで進展していたかと思いました(残念ながら資料がそれほどありません…)。

zeissとは違った風合いがシネ・クセノンにはありますが、ライツとはどことなく比較できそうなところが、シネ・クセノンのAPS-Cというフォーマットという同じ土壌で比較する興味として感じます。

そこから今回の画像を比較する…。
ライツズミクロン・レンズ構成の変化とシネ・クセノンが持った万能性とは、意外と似通ったところを持っていたのではないのかと、、APS-C画像の初期・ズミクロン画像を見ながら、いにしえのフイルム時代・二つのレンズへの興味深い一面を垣間見る思いでした。
  1. 2017/06/06(火) 14:46:00 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
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treizieme ordre さん
度重なるコメント有難うございます。
二つ分、まとめてレスさせて戴きます。
まず、ボディの件ですが、とにかく、ここではレンズが主役、ボディはリアキャップくらいの立ち位置でしかないので、そのレンズを引き立てるものなら何でも良いと考えております。
また、周辺の収差が云々の件ですが、基本的に、癖玉は全く好みでありませんし、 周辺の結像の甘さなど、固有の欠陥でこそあれ、味などとは全く考えていないので、そんな余計なものを映し出すために高いお金かけてフィルムでなど撮ろうとは努々思いません。(今月のイベントに参加されればお貸ししますので、どうぞご自分でお試し下さい)
それからシネクセノン、手元には一号機と六号機しか残っていませんが、六号機は云われる通り、4群6枚のプラナーそのものでありますし、今回の初代ズミクロンは6群7枚でダブルガウスとは到底言えない、前後非対称構成のユニークな構成ですが、同じ構成同志と云うことで、以前、フィルムとR-D1sですがシネプラナーの後期型と三世代二番目の黒鏡胴ズミクロンとを比べたことがありましたが、ズミクロンの実力を以てしても、後期型のシネプラナーには解像感、ボケのナチュナルさいずれにおいても僅かに及ばなかったという記憶があります。
http://pwfukagawa.blog98.fc2.com/blog-entry-100.html
  1. 2017/06/06(火) 23:33:17 |
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  3. charely944 #yjwl.vYI
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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