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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A new horizon of modified optics~Projector Cinor 50mmf1.5 mod. X~

Cinor50mm.jpg
さて、今週は先週の予告通り、久々の工房作品、Projector Cinor 50mmf1.5mod.Xのレポートをお送り致します。
実は、このレンズ、工房初が三つあって、一つ目はもちろん、初のプロジェクター用レンズの改造だったということ、二つ目は初のFuji Xマウント専用レンズ製造であったこと、三つ目は非常にフランジバックの短い加工かつ、ライカマウントやFマウント、EOSマウントのように光学的なピント基準機が存在しないため、X-E1をテストベッドとし、従来の600m先の高層ビルの上層部の模様を使って精度を追い込む方法では所定性能出ないので、これまでは補助的に使用してきた当工房製コリメータをピント調整に初めて使用したということです。
では、このプロジェクター用のCinor50mmf1.5とは何物なのか。
1950年代くらいにフランスはSom Bertiot社が製造した投影用光学系で、構成は3群4枚の前1群貼合わせ、後2枚独立のいわゆるペッツバールタイプのレンズで、写真撮影用としては大変珍しいタイプで、135判全盛期以前の大中判の時代のレンズでしたから、50mm以下の焦点距離の物は殆ど作られておらず、当工房では、DallmeyerのKinematograph2'f1.9があるくらいです。
このレンズ中はスカスカで絞りすらないですが、上から下までのストレートな寸胴型で、太さもかなりありましたから、いつものライカマウント、ないしM42のヘリコイドユニットでは到底収まりきらず、別の比較的設計の新しい一眼レフ用のレンズのヘリコイドを移植して加工したものです。
では、その驚異の描写の世界、大胆にも北京でシェイクダウンテストを行った際の実写結果を逐次見て参りましょう。
カメラはX-Pro2、もちろん開放F1.5での絞り優先AE撮影です。

Cinor_001.jpg
まず一枚目のカットですが、先の北京ツアーで滞在三日目の故宮博物館見物から次なる目的地である王府井への移動途上、故宮のお濠端の歩道を北から東に移動しながら撮影したことは本編でも書いた通りですが、その北東角の辺りで結婚写真の借景撮影やってたグループの本番の合間、M8で何枚か撮らせて貰っていたら、スタッフも花婿もカメラやレンズが相当好きだったようで、英語で話しているうちに、面白いレンズ持ってきているので、試し撮りさせて貰ってイイか、勿論どうぞ、という話になって、本番で花嫁・花婿がポーズ付けてる横から撮らせて貰ったもの。

Cinor_002.jpg
二枚目のカットですが、そのお濠端で借景写真を大々的にやってるグループの周囲に集まってた見物人の中に、きっといつかは自分も、とか橋の欄干にもたれかかりながら妄想を膨らませているであろういたいけな小々姐の姿が目に付いたので、主役の花嫁、花婿の殆ど逆光に近い条件よりはだいぶマシな光線状態だったので、そっと近寄り一枚撮ってみたもの。

Cinor_003.jpg
三枚目のカットですが、幸先の良いテストに気を良くして、お濠端の道から王府井へ向かい、石造りの家々が建ち並ぶ、故宮と並行に南北を走る比較的大きな通りを歩いていたら、まてしても借景撮影グループに遭遇、この手のグループは相乗り撮影の申し入れをしてもまず断ることはないので、大胆にもスタッフが準備中なのをイイことに新郎に声をかけて、花嫁さんにポーズをとって貰ったもの。

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四枚目のカットですが、同じく故宮博物館の東側を南北に走る大きめの通りをM8メインで撮影しながら歩いて、同時にこのエキセントリックな描写を売り物とするレンズの実験台も探していたのですが、借景撮影に向いているエリアは限られているらしく、南に下るに従い、結婚写真のグループも目に付かなくなり、また石造りの家の付近には際立ったオブジェも無かったのですが、或る民家を利用したミニ博物館みたいな建物の門の脇に狛犬ならぬ、龍か何かの彫刻入りの狛太鼓が目に付いたので、これ幸いにと一枚撮ってみたもの。

Cinor_005.jpg
五枚目のカットですが、故宮博物館を後にして撮りながらてくてく歩くこと30分強、やっと王府井の目抜き通りに出て、さて誰かに声かけて、背景が開けたこの通りで思い切り、ぐるぐるボケのワイルド描写を開放しようかなときょろきょろよそ見しながら歩いていたら、いかにも気の強そうな黒人の小姐がスマートホン片手に小走りに近寄って来て、アタシの写真撮ってくれない?話し掛けようとしてもみんな逃げちゃうの・・・ということだったので、何枚かアイホンで撮って上げた代わりにファンキーな写りのレンズのモデルになって、と頼んで撮らせて貰ったもの。

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六枚目のカットですが、王府井小吃街の入り口の日本でも餃子で有名なお店で大外れの北京ダックを食べたあと、来たついでに老若男女の人混みでごった返すこの屋外型フードコートでスナップを敢行することとし、このワイルドなレンズも使って撮っていたら、人垣越しにイカかなんかの串焼きをいたいけな極小姐に分け与える若いオモニの姿が見えたので、とっさにシャッター切ったもの。

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七枚目のカットですが、北京の庶民は上海ともまた違い、どちらかというと素朴な人たちが多いので、大人も子供も日本から来たカメラマンだ写真撮らせてくれ、と声かけるとまず「不是」とは云わないので、親子連れで西安風の羊肉のスパイス焼きの串なんか食べてたのが目に留まったので、ヲヤヂさんに写真撮ってもイイかと聞いたら、だれでも好きなのをどうぞということで、聞いて聞かないフリしていたいたいけな小姐のかぶりつくさまを至近距離で一枚戴いてみたもの。

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八枚目のカットですが、娘さんを人身御供に差し出す気前の良さに感服し、というか味をしめ、次なる獲物をと、この人混みの屋外型フードコートを徘徊していたら、居ました居ました中学生くらいの弟と高校生くらいの兄の兄弟が美式熱狗(アメリカンホットドッグ)なんか頬張っていたので、一枚撮らせてねと兄に声かけて、手のひらで弟を指したので、では遠慮なく、と一枚戴いてみたもの。

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九枚めのカットですが、この屋外型フードコートでは至近距離での撮影が続いたので、次は背景が開けたところで、もうちょい被写体との距離を撮った撮影を試みるべく、フードコートの奥まった辺りで店舗が切れていて、奥の東西を走る通りと繋がる通路のような辺りで買ったものを賞味している人々を餌食にすべく足を向けたら、居ました居ました、ランドセルしょって、新橋のガード下の焼鳥屋辺りにたむろしてそうな会社帰りのヲッサンを彷彿とさせるような豪快な食べっぷりで串焼きなんか頬張っていたいたいけな極小姐の姿が目に付いたので、これ幸いにと一枚戴いてみたもの。

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十枚目のカットですが、同じく王府井小吃街の奥の通路のような辺りで、店舗で買い求めた飴細工?みたいな魚のカッコしたお菓子を片手にニィーとご満悦の様子で記念撮影なんかしている親子連れが居たので、斜め横から、そのチャイナドレスみたいなデザインのピンクの防寒着を纏ったいたいけな極小姐の嬉しそうな笑顔を一枚戴いてみたもの。

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十一枚目のカットですが、王府井エリアでは思う存分撮ったので、地下鉄に乗って、次なる目的地である北京八大胡同と云われるエリアに移動すべく、最寄りの虎坊橋で降りて通りを奥へ奥へとM8メインに辺りの様子を抜け目なく撮りながら歩いていったのですが、ちょうど陝西巷へ曲がる手前辺りで、昔、子供の頃、田舎で飼っていたポインタとコッカスパニエルの雑種のとても利口な雌犬にそっくりの白黒中型犬と目が合ったので、一瞬意識が飛びそうになったのですが、これも何かの縁と思い、おとなしいのを良いことに至近距離で一枚戴いてみたもの。

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十二枚目のカットですが、陝西巷の奥まで入ってまた戻って来て、とにかく元来た通りのどん詰まりまで歩いてみようと思い、背中に午後遅くの斜めの陽光を浴びながら自分の長い影を踏むように歩いていたら、古民家の前で、濃いピンクのバラが、この時分の薄ら寒い北京の気候もものかわ、健気に咲いていたので、その姿を残すべく、街並みを背景に一枚撮ってみたもの。

Cinor_013.jpg
十三枚目のカットですが、そのあとに寄って見物したいところがあったので、八大胡同探検はまた次回に残すとして、また最寄りの和平門から地下鉄に乗って、その目的地たる「人民軍地博物館」に着いたはイイものの、何故か閉まっていて、中に入れる様子もなかったので、仕方なくその日は、いったん宿に戻り、一休みしてから、晩飯がてら、持ってきたレンズの中では一番明るいこのレンズで駅周辺の夜景を撮ることとし、20時前に宿から駅前広場に向かっていた際にスマホンに没頭していた小姐のセミシルエットを一枚撮ってみたもの。

今回の感想ですが、うーん、こういう中央が相当シャープでコントラストもそこそこ高く、カラーバランスも悪くはないレンズ、背景のぐるぐるボケさえ上手く使いこなせれば、ポートレート写真では面白いのでは?と思いました。で、さっそく、弐号機を製造すべく、より焦点距離の短いレンズヘッドを入手し、マウント周りのパーツの到着待ちというところです。

さて、次回は12/2の週末はまたショートトリップに出るため一週スキップ、12/9の週にその結果でもレポートしましょう、乞うご期待!!

  1. 2017/11/25(土) 16:19:57|
  2. X-mount改造レンズ
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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