深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

忘れ去られていたエース~Cooke Speedpanchro32mmT2.3~

Speedpanchro32_1.jpg
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さて、今日は久々の遠出の記憶ということで、先週、年1回の大祭とは知らずにのこのこ乗り込んでしまった、佐原でのレポートを兼ね、Cooke Speedpanchro32mmT2.3をご紹介致します。
このタイトルの意味するところは、結構使っているレンズなのに、もうてっきりここで紹介していたと思っていたら、未登場だったというオチなのです。

このレンズは、映画撮影用のカメラシステムとしては、最もポピュラーな独 Arnold&Richter社製Arriflex35向に、この分野では独Carl Zeissと並んで高い評価を受け続けてきた英国Rank Tayler Hobbson社社製が供給してきた交換レンズのうちのひとつです。

実は、お恥ずかしい話、Arriflexという映画のモーションキャプチャカメラシステムのうち、35mmフォーマットを長いこと、ライカ判と同じ24mmx36mmだとばかり思ってきたのですが、実は、この映画カメラの構造上、フィルムを上から下に流すのため、この135版のフィルムを半分使って、2対3の縦横比をとる・・・つまりなんのことはない、銀塩スティルで言うところのハーフ判だったということが判ったのが、改造を始めてから暫くしてからのことなのでした。

そして、経験則上、銀塩スティルの35mmフルカバーするのは、40mmより焦点距離の長いものということが判りました。要は40mmより短いものは、Arri35mmカバーと謳っていても、程度の差はあれ、四隅がブラックアウトしてしまうのです。

従って、この32mmのものも、ご多聞にもれず、BessaR3AやM4ODなどで使用すると、四隅が黒い、丁度額縁に入れたようなプリントが上がり、それはそれで、被写体や構図によっては面白い写真となったので重宝していました。

ところが、RD-1S導入以降、存在価値はぐーんと高まります。
RD-1SはCCDがAPS-Cサイズなので、ほぼハーフ判と同じくらいで、このイメージサークルで十分なのです。

しかも、この小さめの撮像素子のおかげで画角換算が1.53倍となるので、このレンズは49mm相当となって、丁度、銀塩の標準レンズ感覚で使えるのです。

そして、いつもはこの兄貴分の40mmを多用しているのですが、新しい仲間への顔見世興行も兼ね、佐原ツアーへ連れ出したって寸法です。

で、肝心の写りですが、まず一枚目、ピーカンの昼下がりですが、粋な髪形と藍染の法被もばっちり決まった若女衆が屋台のアクセのお店を物色する姿が江戸の風情を思い起こさせてくれたので一枚戴きました。
そして二枚目はやや日が傾きかけてきた頃、小野川にかかる橋を大勢がかりで山車が渡っていく様が勇壮で、飛騨の高山祭りを彷彿とさせたので、ここでも一枚戴き。
最後は日暮れに駅に向かう途中、裏通りの旧家の立派な玄関先にお祭り提灯が煌々と照らされていたので、これも一枚戴き。

とても海外などへは行けませんが、たまには、忘れてたレンズの日光浴も兼ねて、近場の丸一日撮影小旅行に出るのもイイなぁと思いました。
気の合う仲間と一緒であれば尚更です。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/10/19(日) 23:13:08|
  2. Arri改造レンズ群
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:12
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コメント

こんばんは。
これは、素晴らしい。こんな広角にあって立体感がかなり出るレンズですね。
それに周辺はまったく画質の低下は認められません。R-D1のためのレンズです。
1枚目の美少女の顔が、特にオーバー目に撮っている訳ではない筈なのに、透き通る白さで表出されているのが脅威です。
それに3枚目は、提灯の図柄がはっきりしているのに他の光が届いていないものまで、クリアに見分けられるのもすごいです(このカメラ独特の対称位置のゴーストがご愛嬌?)。

偶然の一致か、実はわたしも先日佐原に行きましたので、ブログで紹介しようと思っていたのですが、さすがに先にこんな写真を発表されてしまうと、たいへん出しにくくなります。
何か言い訳文章といっしょに書く形への変更を余儀なくされた感ありです。
  1. 2008/10/20(月) 01:48:11 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

中将姫光学さん
コメント有難うございます。

う~ん、奇遇ですねぇ・・・当方は伍長改め苑長センセと、山形から遥々やって来られた、芭蕉スピリッツが乗り移ったかの如き、みちのくの通人と廻ったつもりだったのですが、まさか同じ日に佐原に居られたとは(笑)

苑長センセが、「あ、中将姫光学さん」みたいな人が居る・・・とうわ言のように呟いていたのが、ドッペルゲンゲルでも、エクトプラズムでもなかったのですね(爆)

さて、冗談はさておき、この32mmT2.3のArri用Speedpanchroは銀塩フィルム兼用で写りも素晴らしい50mmと40mmの陰に隠れてしまい、防湿庫の中で忘れられかけていたのですが、今回、RD-1Sに装着し、一日付き合ってみたら、改めて血は争えないなぁ、と思った次第です。
特に三枚目の玄関先の提灯の画像については、人間の肉眼よりも的確に闇の中身を捉えていたのがとても神秘的だと思いました。
  1. 2008/10/20(月) 10:30:32 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

直射光や、空、電燈なども白とびがぎりぎりまで抑えられていて、粘りのあるレンズですね。一方暗い部分もしっかりと雰囲気を残して描写しており、このラチチュードの広さには感服いたしました。白熱電燈に浮かび上がる畳面は艶っぽい感じすらします。
  1. 2008/10/20(月) 22:05:51 |
  2. URL |
  3. kinoplasmat #lpavF/Xw
  4. [ 編集]

kinoplasmatさん
コメント有難うございます。
フィルムより遥かにラチチュードの狭いCCDでもこのくらい撮れるので、まだやったことはないですが、超微粒子タイプのポジなんか使って撮ったらどんな具合になるのやら・・・
いずれにせよ、もうこの頃は値段がだいぶ上がってきてしまったので、おいそれとは入手できなくなってしまいましたが、Arriflex35用のレンズはどれも銘玉揃いだと思いますね。
機会があれば、是非一本お買い求めになられて、ライカマウントに改造されるのが宜しいかと。
  1. 2008/10/20(月) 22:57:59 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

一枚目のカットですが
私も売り物のアクセサリーのキラメキを
なんとか絵にならないか
チャレンジしましたがダメでした・・・・(^_^;)

3枚目のカットについても
チャレンジしましたが
ベルビアの感度が、マイナス側には
強力に弱いということを忘れて
ほとんど、まっくろくろすけ状態でしたね・・・(^_^;)

ところで
1枚目と2枚目では
全然感じが違いますね。
なかなか
味のあるレンズのような気がしました。
  1. 2008/10/21(火) 00:13:27 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

山形さん
コメント有難うございます。
そーでしたね、貴兄は難しいレンズにマニュアルカメラ、しかもリバーサルを使われていたのでしたね。

それに対し、当方は、お気軽RD-1Sと気心の知れたSセンチュリアにキャノンVIL、Nikon SPで、ホームグランドに等しい佐原ですから、多少難しいモチーフでもそこそこ撮れても、たいしたことはないのですね。

ところで、Arriflex用のレンズは、ほんの2~3年前までは、捨値に近いレベルで叩き売られていたのですが、RD-1S等で使えば、殆どのレンズが予想以上の写りを見せるので、このところ、高くなってしまい、気軽に何本もホィホィ買えなくなってしまいました。
  1. 2008/10/21(火) 09:58:35 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

アポ・ロダゴンのSマウントは
密かに欲しくなりましたよ~~~~

私がフィルムのリバーサルを使う理由は
一発勝負という
競馬のような
スリリング感を味わいたいせいかもしれません。

36枚撮って
気に入るカットなんか
全然無いほうが多いですが
3本とって、1枚、気に入ったカットがあれば
相当嬉しいです♪

今までは、写真を撮って
コンテストに出すとか、
そんなことはしていないのでしたが

ブログとかやりだしたら、
アップする写真は
変な写真は出せないなぁ~~~と
がんばって、いい写真を撮ろうと画策中です~~~笑
  1. 2008/10/21(火) 20:20:56 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

 こんばんは。 日曜の夜のレポート、ご苦労さまです。今回はご自分で組立てられて、しかもムービー用ときたら、生半可には見れません!しかしながら、わたしは今週は火曜日でもうくたびれ・・・。   
 さて、気を取り直して。 一枚目の女性はモニターの角度変えて、適切な濃度を見ながら考えてみました。藍色の皺が見ずらくなるあたり、背景の、朝の光のハイライトがきらめくあたりの濃度が絶妙で、アクセサリーの小物から赤い幕まで色再現が良いです。
 橋の写真。イメージサークルがいっぱいの割には周辺まで画像が安定して崩れてゆきます・・・。暗いながらも、コントラストある前景人物像なので、背景にある家や木のきれいなぼやけ具合に溶け込まない。少々暗めですが、空の青色が灰色の成りそうな、郷愁を誘う(わたしなら、そろそろ家がこいしくなる、そんな不安な時間帯)色合いをしっかり再現しています。
 提灯の、あたりは閑散としていて、映画セットの様にさみしいですが、画像に破綻がありません。
 映画のレンズをいつも思うに、光への対応度が強いと言うことです。ディテール(細部)にこだわる映画作家も多いようで、でも、動く映像で見出す細部というのは写真の世界と違うような・・・。
 (光ににじむ画像が、形が無いまま、光跡をおびて流れるけしきが脳裏に浮かびました。)  

 次回もたのしみにしています。月曜からガンバッテください。
  1. 2008/10/21(火) 23:09:25 |
  2. URL |
  3. Treizieme Ordre #-
  4. [ 編集]

山形さん
再びコメント有難うございます。

>アポ・ロダゴンのSマウントは 密かに欲しくなりましたよ~~~~

このレンズヘッドは今のうちであればまだ電子湾でたまに回遊してきますんで、一個か二個釣り上げておけば、溝の口にある、「おしゃれ工房なかよし苑」にてSマウントでもLマウントでも改造してくれるでしょう。言うこと聞かねば、「なまはげがくるぞぉ」とでも凄めば済むことです(笑)

しかし、ブログを始められて、載せる画像にも凝ってしまったら、あとは逝く道はただひとつ・・・M8もしくは、M8.2を買うこと。これに尽きます。(実は、一昨日、市川編集長と歓談させて戴いていた時、言われたもんで・・・(汗))

貴ブログの渾身の力作、楽しみにしております。
そうそう、双方のブログ、相互リンクしましょうね、その方が楽しさ倍増でしょうし。
では、ごきげんよう。
  1. 2008/10/21(火) 23:28:48 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

Treizieme Ordre さん
作例に関する的確かつ判り易い寸評を有難うございます。
シネ用レンズ、特にArriflex用のものは、産業用としての秘められた底力を抱いたまま、Arriflexのボディから離れてしまえば、全く顧みられないという不遇の時代が続きました。

しかし、出自が超高性能の産業用レンズですから、上手く改造して上げれば、その性能を余すことなく、活用出来るのです。

しかも、40mmより短いものは、135判ハーフ規格という画面サイズ上、イメージサークルが十分ではなく、四隅のブラックアウト、もしくは、楕円形の撮影画面になってしまうという宿命があったのですが、今般のRD-1Sや、M8という135判より小さい画面サイズのMマウント距離計連動式デジタルカメラの登場で、より活躍の場が広がってきたということです。

ところで、面白いもので、このRD-1Sの特性なのか、シネレンズというものの要求特性なのか判りませんが、Bolex用Switar50mmf1.4を改造したレンズをRD-1Sで撮影しても、3枚目の作例のように、光が届いていない筈の暗闇の中までが透視出来るような写りが得られるのです。

シャープネス、発色の飽和度のみならず、やはり貴兄の言われる通り、光のダイナミックレンジが広いというのも、シネ用レンズ共通のDNAなのかも知れませんね。
  1. 2008/10/21(火) 23:44:24 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

M8というかR-D1は欲しいレベル急上昇です・・笑

ブログの相互リンク件、ありがとうございます。
さっそくリンクさせて頂きました。
(なんか、これで、なおさら泥沼に、
どっぷりと漬かりそうな予感が・・・・・(^_^;)
  1. 2008/10/22(水) 13:57:27 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

山形さん
こんにちは♪ コメント有難うございます。
ここだけのハナシ、実は、M8も新同中古品なら、某海外オークションであれば、USD3200程度で買えまっせ♪
勿論、カード支払いOKですよ。
とか言ってる本人が、先週末に市川編集長ドノに唆されて欲しくなっちゃったんで、ちょい調べた結果なんですが(笑)

相互リンクご快諾有難うございます。
これで中将姫光学、深川精密工房、一番にはなれないけれど・・・の三国同盟成立ですね。
まさに大戦前夜の日独伊が泥沼にずぶずぶと嵌っていったパターンのようです(爆)
  1. 2008/10/22(水) 16:07:33 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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