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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Wonderful legacy of lost optics factory~Rikenon43mmf1.7~

Rikenon43mmf17_000.jpg
さて、今宵のご紹介ですが、先週は週末が雨続きかつ、これまでの難加工レンズの加工法が閃いて、一気に旋盤に向かい合って加工を行った結果、堪え難きを堪え、忍び難きを忍び、スキップせざるを得なかったのですが、今週は土日とお天気も宜しかったため、既にセイコーSVのドンガラを利用した汎用レンズテストマウントのショートバックフォーカス化加工も完了し、公称焦点距離45mm以下でも無限も取れるようになったので、満を持して、先々週にジャンク機から回収し、クリーニングとコバ塗り等が完了した前後群を捻じ込んで、テストを行うこととした次第。
そこで肝心の今回のドナーはというと、リコー製のスーパーショットという1965年発売のレンズ固定式レンジファインダ機のレンズでRikenon43mmf1.7、4群6枚のオーソドックスなWガウスタイプ。これはリコーの自社サイトの過去製品紹介でも、富岡光学製と明らかにしています。
そもそも、リコーは自社で殆どレンズを作らなかったので、高性能モデルは富岡光学、その他、コシナや日東光学などからOEM供給を受けていたようです。
実は、今回、大チョンボをしでかしていて、汎用テストマウントの中核はSVシャッターのドンガラを使っているのですが、このスーパーショットは同じセイコー製でもES600という型番の違うシャッターを使っていたのが原因なのか、後群を奥まで捻じ込むと絞り羽根駆動機構と干渉してしまい、それを気付かずに無理に絞りを回そうとして二回ほど羽根がバラけて、絞り羽根機構の組み立て練習を二回も行うはめになったということで、奥まで捻じ込んで、どうせ開放でしか撮らないので、そのまま持ち出したら、クリアランスが近すぎたためか、像面湾曲と外コマ収差がかなりのカットで観察され、X-Pro1の背面液晶モニタでは中央部のシャープさだけに気を取られ、周辺が結構、大海(おおあまの)皇子状態になっていたので、戻ってから工房のPCで画像チェックし、アッチャ~!!となった次第。
もういっぺん、ESシャッターユニットの装着クリアランスを確認し、機会あれば、スペーサリング作って再チャレンジしようかと思います(→面倒だからたぶん、翌週には忘れてるwww)
では、さっそく、本日、出来立てほやほやの試写結果を逐次眺めて参りましょう。ロケ地は久々の浅草、カメラはX-Pro1、全コマ開放により絞り優先AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、今回は昼飯も兼ねて久々の浅草に出て来たこともあり、まずは腹ごしらえとばかり、松屋銀座に直結した東京メトロ銀座線の出口から地上に上がって、そのまま馬道通りを待父山というか今戸方面に向かって200mほど歩いた伝法院通りとの交差点に建つ「ラーメン凪」さんで煮干しコッテコテのラーメンなど戴いてから、伝法院通りを西に進み、ハヤタカメラ西側の仲見世側道から浅草寺境内を目指す途中、元「暮六つ」の敷地内の咲いていた紫陽花を最短距離で撮影してみたもの。

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二枚目のカットですが、仲見世側道から宝蔵門前広場に出てはみたもの、着物を着込んで、気前良く二つ返事で写真を撮らせてくれるような海外からのゲストは皆無で、人はそれなりに出ていても声かけ撮影は不可能なシチュエーションと判断したので、仕方なく後ろからブスっ!と方式で、あくまで個人特定不可の景観の一部としてご参加戴くモードで御籤売り場の横で結わえ柵に用済み神籤を結んでいた、原宿系カポーの仲睦まじい後ろ姿を戴いてみたもの。

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三枚目のカットですが、境内の撮影スポットNo.1である、手漕ぎ井戸に誰か集わないかな、と思い直し、再び足を運ぼうとしたら、その手前の植栽の周囲を囲んだ石垣の上に、今時では希少、絶滅危惧種と化しつつある、ストレートの黒髪に白いフレアマキシマムスカートにたすき掛けのポシェットという80年台のオリーブ少女みたいなうら若い小姐の姿が目に留まったので、後ろから一枚戴いてみたもの。

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四枚目のカットですが、手漕ぎ井戸の周辺も被写体皆無で仕方なく、奥山方面から花やしきに面した通りを抜けて、ひさご通り方面へ移動しながら適当に被写体を探そうと本堂へお参りしてすぐに歩き出したら、影向堂付近のストーパとか屋根付きのお地蔵さんなどが建ち並ぶ辺りの、境内を流れる小川に架かる橋の上で、今にも身を投じそうなオーラを発して、水面を眺めながら言葉少ななカポーを発見したので、通りすがりにその後ろ姿を一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですが奥山方面から境内を西方面に抜けようとすると、西参道のアーケードとそのゲートのようなアーチが目に留まりますが、その西参道の入り口付近にここ2~3年の間に作られた、いわゆるインスタスポットで、無数の風車の弥七が壁面一杯を埋め尽くした場所があり、いつも、ここの前で、いたいけな二人連れの小姐各位が自撮りを楽しんでいるのですが、本日も、どう考えても撮影オーケーしてくれそうにない先客の小姐二名組を横目で見ながら、風車を斜め撮りしてみたもの。

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六枚目のカットですが、アーケードの中に入ってしまうと、撮影は難度を極めますので、西参道の通りには入らず、予定撮り、花やしき沿いの通りからひさご通り方面へと歩きながら、被写体を探しますが、外国人が皆無の今、なかなかモデルさんになってくれそうな人どころか、浅草もこの辺りでは地元民各位しか通っていないので、普段着のヲヂチャン、ヲバチャンに声掛けても、断られるどことか怪しまれて、バケツの水でも掛けられかねないお土地柄なので、おとなしく、一本手前の通称ホッピー通りに向かうこととし、その一本手前の路地で塀に向かって自撮りする不思議な人達が居たので、その様子を一枚戴いてみたもの。

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七枚目のカットですが、花やしき沿いの通りからホッピー通り方面へ抜けようとすると、休日ともなると、真昼間から、耳に赤鉛筆挟んで、灰色の新聞を丸めて手に持ち、どことなく目が千葉真一気味で殺気立った雰囲気の老若男女が徘徊するWINSなる場外馬券売場ビルの横を通るのですが、当日は不可思議なことにそういった退廃的な人種とは対極に位置して居そうな、牧歌的な親子連れが紛れ込んできたので、追尾して背後から一枚戴いてみたもの。

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八枚目のカットですが、ホッピー通りに足を踏み入れると、まだ陽も高い15時台だと云うのに、店の前では、若い女性の従業員迄が、声を張り上げて、はい!そこ行くイケてる兄さん、姉さん、イイ席空いてるよ!てなカンジで往来を通る冷やかし客まで己が店に呼び込んで、幾ばくかの売り上げに換えようと、コロナ開けの営業リカバリーに熱気むんむんではありましたが、工房主は全身から撮影中は邪魔すんなオラオラオーラが全身から放射されているとの下馬評も有るくらいだし、そもそも一人客は呼び込み対象外なのか、ガン無視状態だったので、路地裏の店の前の提灯だけ撮らせて貰って、そそくさと後にしたもの。

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九枚目のカットですが、ホッピー通りの終わりは伝法院通りに接続しており、右に歩けば、六区映画街、左に歩けば、伝法院通りの小屋店の街並みを抜けて仲見世に戻るコースとなるのですが、映画街もこのご時世、人通りがどうか判らないし、ましてや、演芸場やら大衆演劇の役者さん達が外で呼び込みやってて、気軽に撮影に応じているような日常に戻っているとは到底考え難いので伝法院通りに足を踏み入れてすぐに威勢の良い人力車がいたいけな小姐二名を乗せて通り過ぎようとしたので、とっさに小姐の近い方を撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、そろそろ、お茶もしたい頃合いになったし、仲見世の撮影スポットである、美人茶屋あづまさんやら、その裏の扇屋さんの大和絵団扇も忘れてはいけないので、伝法院通りから仲見世を南下し、雷門方面へ歩こうとしたら、昼の浅草にはちっとばかし似合わないカンジの六本木とか西麻布辺りのクラブから彷徨い出て来たような雰囲気の小姐二名組がオクターブ高いとハイテンションで存在感を誇示しながら通り過ぎていったので、その自己顕示欲に免じて、後ろから一枚戴いてみたもの。

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十一枚目のカットですが、今回は伝法院通りの東端から大通りを挟んだ向かいに位置するラーメン屋さんでのランチとなったため、いつもと巡回ルートが180度正反対になりましたが、やっと終盤で、浅草での定点観測スポット登場回数、堂々の一位、美人茶屋あづまさん裏の扇屋さんの店頭の陳列用の木枠に留められた竹骨の大和絵団扇で、今回は新登場の釣り帰りの河童の目に合わせて撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、扇子屋さんからは大規模なデモなどなければ、徒歩10秒もかからない距離にある
泣く子も黙る観光ランドマーク、松下電器産業様のご厚志により、念願のリニュアルが叶った雷門への更なるプレゼント、大提灯の仕立て直しで、底部の金色金物も、顔が映るくらい磨き上げられ、その上に厚手の金張りを施され、数か月経っても、窒化チタンのイオンプレーティング並みに美麗な状態を保っていたので、敵ながらあっぱれ、やるなぁと至近距離で一枚戴いてみたもの。

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十三枚目のカットですが、さてお茶は何処で戴こうかな、ティーパックでポットもないデニーズはちょっと遠慮したいなとか思っていたら、田原町の手前にジョナサンやらロイホが在ったことを思い出し、ではそちらへ向かいながら撮りませうと思い直し、雷門通りを田原町方面に歩いていたら、ふと、確かミチェリンのビブグルマンに列せられた餃子屋が在ったことを思い出し、ちょうど目に留まったので歩いて行く途中に雰囲気のイイ江戸前寿司のお店が在ったので、全景を一枚撮ってみたもの。

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十四枚目のカットですが、くだんの餃子屋の前まで行って、佇まいは平凡な町中華で餃子も一種類しか無いのに、なんで「餃子の王様」なんだろう、もしかして「王将」への意趣返しか何か?とか腑に落ちない思いを抱えたまま雷門通りに戻ろうとしたら、かつて、釜山の富平市場の路地から、釜山タワーが見えた時とほぼ同じシチュエーションででスカイツリーが路地奥に鎮座ましましていたので、嬉しくなって一枚撮ってみたもの。

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十五枚目のカットですが、雷門通り経由、田原町交差点まで戻ると、またジョナサンの在るホテルの建物には北上しなければならないので、雷門通りから一本北を並走する裏通りを歩いていたら、ちょうど西に傾き出した午後の遅い陽光を浴びて、いたいけな若いカポーが足取りも軽く追い越していったので、有難く、後ろから一枚戴いてみたもの。

今回の感想ですが、いやはや、やはり富岡光学製のクラシックレンズは良く写りますねぇ・・・ましてや、裕福なリコーが自社の高級機向けにOEMで製造を委託した製品となると、X-Pro2やらα7RIIのEVFに比べれば、クロップ拡大モードと標準倍率での元の視野との合焦位置が僅かにずれるX-Pro1でもこのキレですから、前後のクリアランスを厳密に取って、これをX-Pro2で再チャレンジすれば、現在の標準レンズもたじたじの高性能ぶりを発揮してくれるのでは?という気がしました。

さて、次回はやっと、都府県間の移動が解禁になったので、帰省のため、一週お休み、何が出るかはお楽しみということで、乞うご期待!!

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  1. 2020/06/21(日) 19:06:35|
  2. X-mount改造レンズ
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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