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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Challenge to impossbility in restoration~Jupitar8L39~

Jupitar8_L39.jpg
さて、今宵のご紹介ですが、先週水曜くらいまでは、従来のレンズ改造10本分の手間をかけて実写可能にした超希少レンズのレポートをお送りしようと思っていたのですが、実は先週の金曜日に四谷三丁目の良心的なジャンク屋さんから破格値で買い受けてきたロシアレンズのレストアが予想以上に上手くいったので、これを放っておくわけにも行かず、急遽デビューさせることとしたものです。
どんな状態だったかと云うと、レジから店内に向き直って、真っ先に目に留まる箱の中に一本だけ銀色の小さなライカマウントレンズと思しきものが転がっていたので、手に取ってみると、かたかたと僅かに音がして、店主曰く、たぶん直らないと思いますので、部品取り用でしょうね・・・と。
半信半疑、もう一台の獲物である某マミヤの独自バヨネットマウントの不可思議一眼レフと一緒に持ち帰ってから、状態を確かめると、確かに内部で固定されていないエレメントがあるらしく、振ってみるとかたかた音がする。
で、早速分解してみると、このゾナー型の三群のうち、前から二つ目の三枚貼り合わせ、即ち凸凸凹の二枚目が無いらしく薄いため、G2を固定する全周ネジのアルミリングを奥まで締めても、すきまが残るため、かたかたと音がする、という状態でした。
また、ずっとこんな状態でかたかたと内鏡胴の金物にガラスがぶつかっていたたけ、周囲には数か所貝殻割れの小さなものがあちこちに見られ、工房の診断では、すり傷とコーティング傷みが目立つ、前玉とセットで交換、ということになりました。奇跡的に後玉は擦り傷もなければ、Jupitar8系統には持病の如きバル剥がれもなく健全な状態だったので、このまま使うこととしました。
早速、工房にストックしてある、数十本分にも及ぶJupitar8系列のスペアパーツから、まず傷が少ない前玉を選び、USSRレンズ固有の赤いコーティングの関係上、透過光が青色がかることを確認し、第二群では比較的透過光がアンバーがかり、ガラスの状態の健全なものをルーペでチェックし選び出し、組み合わせを選び出しました。
前のものとは硝材とカーブが少し異なるので実焦点距離は誤差の範囲内でも、内鏡胴の固定位置は少なからず変わってくるので、まず光学系を組んで、ヘリコイドに仮固定してから、コリメータで根気よく無限位置を割り出し、しかるのち、絞り指標を距離計指標の基準点に合わせました。
やっと出来た臓器移植2/3の重症患者はコリメータとテストパタンで見る限りでは、オリジナルゾナーにも負けない解像力、画像の均質性が得られていたようだったので、、昨日、浅草に至高のランチを食べに行くついでに試写を行ってみたもの。
ではさっそく、当日の行程に沿って、実写結果を眺めて参りましょう。
カメラはSONYα7RIIでの全コマ開放絞り優先AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、今回の試写も深川から江戸表の浅草まで試写だけのために出てくるのも何なので、前々から限界にチャレンジしようと思っていた浅草観音裏の豚肉料理専門の名店「グロワグロワ」さんで至極の四元豚ローストポークランチなどを戴いて、幸福に浸りお店を出てから、さて、何から撮り始めようかなと我に返ってすぐに目に留まった並びの提灯屋さん店頭の赤提灯を撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、実は田原町で降りて、お店に移動する途中でも、撮影スポットの見当を付けながら歩いていたわけで、すき焼き今半さんの一本南の裏通りが路地裏の焼肉タウンみたいになってて、なかなかイイ雰囲気だったので、足早にそちらに向かい、白提灯をターゲットに路地全景を撮ろうと構えたら、いたいけな極小姐二名が出て来て遊び始めたので、有難くエキストラ出演願ったもの。

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三枚目のカットですが、「グロワグロワ」さんの位置するひさご通りから、まずは定点観測スポットが数多く存在する浅草寺境内へ向かうべく、奥山経由、本堂へ最短ルートである、花やしき通りを通るべく、ゲートの手前まで辿り着いたら、如何にも雨の日のお出かけ然とした長靴履いて傘を握りしめたいたいけな極小姐がオモニに手を引かれて横切ろうとしていたので、とっさに一枚撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、花やしき通りに入ってすぐ、細い路地から、人の気配と話声が聞こえてきたので、目を向けてみたら、どうやら、正真正銘の路地裏の人気店がその奥にあるらしく、大勢の老若男女がおとなしく列をなしていたので、列最後尾の小姐のいかにも夏らしい麻のアッパッパの風合いを捉えるべく、通りざまに一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですが、花やしき通りを奥山方面に向かいながら、途中にも何か面白い被写体はないものかきょろきょろと物色していたら、観音裏の初音通りの一角の涼をとるべく設けられた藤棚の手前に新しく出来たたこ焼き居酒屋の赤地白く擬人化したタコの図を染め抜いた幟が面白かったのでお店の出入口手前から一枚戴いてみたもの。

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六枚目のカットですが、花やしき通りをどん詰まりまで歩き通すと西参道のゲートに辿り着きますが、このところの新しい定点観測スポットとなった常盤堂プレゼンツの風車の弥七メモリアルモニュメントともいえる千成風車の壁面でも撮ろうと思い、足を運んでみたら、嬉しいことに先週とは全て取り換えられて、青一色の基調となっており、さっそく有難く斜め横から一枚戴いてみたもの。

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七枚目のカットですが、壁面を斜めから撮って、背面LCDモニタで確認していたら、済みません、スマホで一枚撮って貰えませんか、いちおう拭いてお渡ししますので、とかいう今風のお申し入れをしてきた小姐二名組が居たので、イイよ♪と二つ返事で撮って上げたあと、ではモデルさんになってよ、と申し入れたら、えーセンパイ、顔出しはマズイすよ!ということで特徴的なツインテを撮らせてもらうことで妥結したもの。

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八枚目のカットですが、奥山を経て本堂方面へ向かうべく影向堂前まで歩いてきたら、一心不乱にスマホンの画面なんざ二人で覗き込みながら、関西弁で西方面に抜けたら仲見世へ戻るのが大回りになるし、昼間から酔っ払いが歩き回る西成みたいなところ通らなあかんで、とかけちょんけちょんに浅草をコケにしまくってくれていたお登りさんにつき、通りざまに一枚戴いてみたもの。

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九枚目のカットですが、そうこうするうちにあっという間に目の前の本堂まで辿り着いたら、珍しいことにこの時期、絶滅危惧種に等しい、海外からのゲストの集団が、青息吐息の観光産業の典型、レンタル着物を一個小隊借りてのコスプレ撮影に勤しんでいたので、いちばん、器量の良さげな小姐の番になった時、リーダーと思しき平服の兄ちゃんにタイ語で話し掛けたら英語でオーケー貰って撮らせて貰ったもの。

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十枚目のカットですが、今回も従前の第一の定点観測スポットである扇屋さん店頭の大和絵団扇が展示枠ごと店内に仕舞われていて、撮影どころではないし、「美人茶屋あづま」さんも小姐がビニールシート越しにフェイスシールド+マスクということで、到底撮影しようという気など起きない状況だったのでスルーし、前回、結構イイ感じだった、雷門横、三定裏の土産物屋店頭のギヤマン風鈴群を撮ってみたもの。

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十一枚目のカットですが、ここもいつもながらちょい安直ではありますが、レンズのシャープスやら逆光耐性を見るのにはちょうどいい、仲見世のどん詰まりに位置する雷門直下、パナソニックプレゼンツの大赤提灯の底部金具のメッキしたての金物の叩き出し逆ハーケンクロイツ文様の輝きを今回も最短距離で撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、次なる目的地、ジョナサン田原町店に向かおうといったん北へ向かうべく、仲見世の東側側道を歩いていたら、たまに試写に利用させて貰っている製造直販のお煎餅屋さんの店頭のガラス開口瓶に入った各種あられ類が、表面に塗られた醤油とみりんの混合液の焼きあがったイイ照りを見せていたので、比較的好みな「げんこつ」の札にピンを合わせて撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、仲見世側道と仲見世を東西に貫き、東端が東武浅草駅に繋がる新仲見世通りとの交差点に位置する「美人茶屋あづま」さん母体の「味処あづま」の店頭で、如何にも昼から飲酒しそうな人種が徘徊する浅草ならでは集客方法と感心しましたが、氷水の張られた透明なボウルに「貉祭」だのスーパードライだのが漬けられて汗をかいていたので、その涼し気な様子を一枚戴いてみたもの。

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十四枚目のカットですが、その交差点に付近で果たしてどのルートで田原町まで歩こうか、いや、せっかく上野・浅草まで出て来たのに、近所にもあるようなファミレスで時間潰すのが時間の使い方として妥当なのか、或いはインスタ映えする写真撮れるのか、自問自答している傍らを浴衣に身を固めたいたいけな小姐二名組が通り過ぎていったので、とっさに後姿を一枚戴いてみたもの。

Jupitar8_L39_15.jpg
十五枚目のカットですが、結局、先週、豪奢なランチを戴いたレカンでスィーツを戴きながらティータイムを楽しめることを思い出し、ファミレスで小さなパフェとドリンクバーで800円以上もすることから、寧ろ割安感すら感じられることから、いつもとは違う、本願寺の裏の道を上野駅まで歩くこととし、偶然、和風旅館を改装したゲストハウスの格子窓に咲いていた昼顔を至近距離で一枚撮ってみたもの。

今回の感想ですが、いやはや、やっぱり、四谷三丁目の写真機商親子のカメラ、写真に賭ける思いの熱さをまた感じさせられる結果となりました。
たぶん、パーツと測定器具無いとここまで復活させることは出来なかったでしょうが、直せないものを直せないとお金を払う前にビジネスライクに言い放つ。売らんかなという意欲が溢れるのもいけないですが、それ以上に商品に対し良しあしを正確に見極めた上でそれに見合った値札をつけ、買おうとする人間には正直にその値段の理由を告げる・・・まだまだ長い付き合いになりそうです。
さて、次回は旅行に出掛けたら一週スキップ、行ってなければ同日に別のお店にて買い求めたもう一本のレンズの実力をお披露目しましょう、乞うご期待!!
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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