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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Incredible product due to tremendous effort~Dallmeyer Oscillograph51mmf1.9mod.M by F.G.W.G.~

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さて、今宵のご紹介ですが、一週遅れのお盆休みを挟み、今月最後の更新となりますが、満を持しての発表、おそらくは工房作品史上、最も難度が高く、工期も掛かった、殆どゼロから新レンズを作り上げるのに等しい製品をアップ致します。
その名も「Dallmeyer Oscillograph51mmf1.9」。海外の売主から工房に届けられた時、コパルプレスという裕に500~600グラムはあろうかという巨大な中版用シャッターに前後群が捻じ込まれた状態で、これが本来の用途での正しい使い方だったとは思ったのですが、そんな巨大なものにライカ用のせいぜい40~50φのヘリコイドを介してMマウント化するなどということが構造上、そして意匠上からも許容されるはずがなく、ライカ判で使おうと思った途端、前後群を使って、真ん中部分は新たにゼロから作らねばならないことになるので、なかなか手が出ず、おおよそ、一年は防湿庫で眠りに就いていたワケです。
ところが、昨今の新型コロナ症候群ことCOVID19のパンデミックのおかげで、海外遠征は云うに及ばず、近所への外出ですら思うに任せなかったので、自粛で蟄居していてもやることがないので、在庫のレンズで何かしようといじくっているうちにムクムクと頭の中で内鏡胴の構造イメージが沸き起こり、予め採寸しておいた前後玉のネジ部の直径、コパルシャタ-を介しての前後群間のクリアランスを元に、手元のパーツで使えるものは使い、足りないものは新たに真鍮インゴットから削り出し、レンズレッドまでは何とか作り上げることが出来ました。
ただ、ここまででも道半ばで、ヘリコイドを付けて、ライカのフランジバック27.8mmに合わせ、無限出るよう、バックフォーカスを取らねばならないので、このレンズヘッドを固定するヘリコイドの素材探しから始めねばならず、手元のものを色々試した結果、同じくオシログラフ用レンスのOscillo-Raptar51mmf1.5の改造パーツとして初めて採用し、つい先日も、同じく産業用レンズであるGeneral Scientific社製の50mmf2.0の改造に成功しているため、Olympus OM Zuiko50mmf1.8のヘリコイド&マウントユニットを採用することとした次第。
然しながら、ヘリコイドの内側の薄いアルミ製の筒状のパーツに0.5mmピッチのネジを切って、それで固定すべくレンズヘッドとの内外径差を埋めるべく、両面0.5mmピッチのネジを切ったスペーサをアルミ丸インゴット削り出しで作らねばならず、これが薄いアルミの壁を僅かに変形させヘリコイドの回転トルクに影響を与えてしまうので、結局Zuikoレンズを2本お釈迦様にして、3本目で成功、OMマウントを削り落とし、全周スクリューを介してMマウント金物を固定しました。しかし、43mmの対角線カバーのイメージサークルとしては、後玉の金物もレンズの開口部自体もかなり大きく、それが故、既存のマウント改造用パーツでは追いÞつかず、結局、元のパーツは前後群2点のみで、あとは他のレンズのものを加工したり、新たに削り出して作ったりで凡そ通常の改造の10本分は手間暇かかったという次第。

これでもはや撮影は出来る仕様にはなりましたが、せっかく絞りユニットを組み込んだ内鏡胴を拵えたので、絞り羽根をリングと連動させなくては面白くないので、これも手持ちのパーツから適当なものを探し出し、内径を削って調整し、連動機構も苦心惨憺付加したもの。
ここまでやって、やっと距離計非連動のMマウントレンズの出来上がり!です。
で、話は前後しますが、このレンズの構成はオーソドックスな4群6枚ダブルガウスタイプ、用途はオシログラフのスコープ画面を間接撮影するためのマクロレンズのような使い方で、だいたい1950年から60年くらいに作られたもののようです。

では、さっそく、実写結果をもとにその実力の程を眺めて参りましょう。カメラはすっかり試験機からスナップのお供に昇格したSONY α7RII、全コマ絞り開放による絞り優先AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、この日は、まだランチを食べていなかったので、上野駅で降り、駅構内にある、フレンチの名店「ブラッスリーレカン」のランチを戴いてから、周辺を撮って、しかるのち浅草に移動して撮ろうと考えたのですが、珠玉のランチを戴いてお店を出てすぐに目が合ってしまったのが、このコスプレパンダファミリーの群像だったので、手っ取り早く一枚戴いてみたもの。

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二枚目のカットですが、アメ横方面で撮ろうと思い、そのまま上野駅の広小路口から出て、目の前の広小路通りを渡って、アメ横センタービル方面を目指して歩いていたら、ちょうど前に手頃なカポーが歩いていたので、ちょいと失礼、とばかりに小走りに距離を詰め、後ろから一枚戴いてみたもの。

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三枚目のカットですが、ご存知アメ横はjRの山手、京浜東北、そして近年は東京駅経由の高崎・宇都宮の両湘南ライナーの高架沿いに上野から御徒町の駅までの区間に続く、戦後の闇市の残滓のような佇まいの種々雑多の小さな商店、飲食店の連なるエリアなのですが、その中間辺りの高架を横断する道路沿いに位置する居酒屋がまだ陽も高いのに活況だったので、その様子を一枚戴いてみたもの。

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四枚目のカットですが、アメ横随一のランドマーク、アメ横センタービルの手前の三角地の上野駅寄りに小高い台座の上から周囲を睥睨するバイキンマンのような不可思議なキャラクターの黒御影石で出来た像があるので、1m程度の距離から、この石像をモチーフに背後に建つアメ横の一本西の通り名を示す派手なゲートを入れて撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、このバイキンマンもどきの石像が建つ分岐点をどちらかと云えば人通りも多く賑わっている印象のアメ横方面へ歩を進め、何か適当な被写体はないか鵜の目鷹の目で歩いていると、店頭でお互いに中国語で話しながら、達者な日本語で店員さんに値切りのハードネゴやってるしたたかな様子を横から一枚戴いてみたもの。

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六枚目のカットですが、御徒町駅の手前まで来たので、そろそろ恩賜公園経由、上野方面へ戻って地下鉄銀座線で浅草へ移動しようかと思い、広小路通りに出たら、陽気なフィリピーナのグループが近くのチェーン店系カフェで買い求めた紙カップを片手に大声で語らい合っていたので、恐る恐る近寄って、声掛けて、一枚撮らして、と頼んだら、一番可愛いこ!とグループから推挙され押し出された小姐に、後で写真を送る約束でモデルさんになって貰ったもの。

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七枚目のカットですが、国立博物館前の広場付近で撮りたかったので広小路通りを西側に渡ってそのまま北に進み、恩賜公園に続く階段を登っていったら、ちょうど中段辺りにある噴水に妙にカラフルなTシャツ着込んだホームレス氏が頭と云わず肩と云わず突っ込んで、それこそ水浸しになって力づくで涼をとっていたので、人間ってホント逞しいなぁとか感心しながら通りざまに一枚撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、今回の不可思議なレンズの性能評価でどうしてもやりたかった、広大な広場を使っての被写界のクオリティチェックです。無限で中央の国立博物館を撮れば、画面周辺の光量落ちや歪み、或いは片ボケなど、コリメータに匹敵する性能評価が実戦で確認出来るのですが、今回のα7RIIの裏面照射のCMOSによる描写では想定したほど周囲の乱れもなく、少々拍子抜けしたくらいです。

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九枚目のカットですが、国立博物館前の広場を動物園方向、即ち左手に折れ、ちょっとした森の中の小径を辿ると、瀟洒な煉瓦造りの箱物が見えてきて、そこが都立美術館なのですが、その中庭に一点の曇りもなく磨き上げられたスレンレスの球体が有るので、それが敷地内の建物、そして空に浮かぶ雲をデフォルメし映している様子を撮ろうと思い立ち寄ってみたもの。

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十枚目のカットですが、都立美術館は結局お休みで庭の中に入っての撮影は出来なかったものの、何とか思い通りのカットは撮れたので、再び国立博物館前の広場に戻り、さて、何か良い試写用被写体は無いものかと物色してみたら、噴水池の周囲に色とりどりの花々が丹精されプランタに植わっていたので、その様子を一枚戴いてみたもの。

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十一枚目のカットですが、そろそろ浅草に移動する頃合いになってきたので、西洋美術館の入場無料エリアの秀逸な銅像を撮ってから移動しようと、立ち寄ってみれば、こんなコロナ禍でも、こういうところはそこそこ人出が在って、一番人気の「考える人」は記念撮影する一般人各位が行列していて、とてもそこに並んで、独りで銅像を撮ろうと云う気も起きなかったので、てっとり早く、遠藤周作の「沈黙」の如き重厚な佇まいの群像ものを下から一枚戴いてみたもの。

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十二枚目のカットですが、上野駅から地下鉄銀座線に乗れば5分と経たずに終点浅草に着きますが、今回も深川からのダイレクトルート同様、まずは雷門周辺で撮ろうと思い、たまたま人出が無かったので、雷門のアイデンティティである巨大赤提灯の下に潜り込み、殆ど定点観測スポットと化している、底部の逆ハーケンクロイツの金メッキ金物を至近距離で撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、雷門の周辺は目ぼしいモデル候補、特に浴衣の類いに身を包んだ海外からのゲストなど、それこそ唱歌"宵待草"の歌詞ではないですが、待てど暮らせど来ぬ人を云々となってしまい、お楽しみのお茶の時間を過ぎてしまいますから、ちゃっちゃっと気持ちを入れ替えて、仲見世通りを宝蔵門を目指して歩き出すこととし、このご時世ならでは閑散とした昼過ぎの佇まいを捉えてみたもの。

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十四枚目のカットですが、仲見世を少し歩いていたら、お揃いの浴衣に身を包んだいたいけな極小姐姉妹を連れた黒人パパ、日本人ママの一家が浅草寺の方向からやってきたので、まさに天の恵みと思い、ダメ元で声を掛けてみれば、横田基地の軍属の方とのことで、面白そうだから撮ってくれ、良かったら撮った写真を記念に送ってくれ、とのことでノリの良いヲヤヂさんのご厚意に甘えて、お二方ともマスク外して貰っての撮影に応じて貰ったもの。

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十五枚目のカットですが、雷門まで到達し、さて目の前の黄色い看板のファミレスでお茶とスィーツでも楽しもうかいな、とか思った刹那、そういえば早田カメラ本体に暫く顔出してないなと思い、面白そうなレンズヘッド物色も兼ねて早田カメラに寄った帰りに隣の洋食店横の手書き看板が良き味を出していたので、スカイツリーモ背景に収めるべく、ローアングルから一枚戴いてみたもの。

今回の感想ですが、なかなかレアな玉で、実写結果もそれほど上がっていないため、精密計測・加工により、オリヂナルのコパルシャッター装着時のクリアランス通りに前後群を固定したレンズヘッドが、果たして本来の描写性能を発揮、或いは味を再現しているのか、知る由もないですが、これはこれでそこそこ良く写るように出来たので、実用性を兼ね備えた高級骨董品としては有り、ではないのかなぁと。

さて次回ですが、次はぐっと庶民的な玉ですが、深川でレストア行った個体は描写が一味も二味も違う・・・が、何せオリジナルの描写を良く知らないので、何とも言えないですが、まぁそこそこ良く撮れるレンズが出来たので、結果報告します、乞う、ご期待!!
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  1. 2020/08/30(日) 13:07:42|
  2. Mマウント改造レンズ
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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