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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A duel before rain~Comparison of eccentric optics, Cinor40mmf1.5mod.M & Miranda50mmf1.4

さて、今宵のご紹介ですが、まずはお詫びと訂正。荒天のため、希少なクラシックレンズの試写には忍びなく、急遽、研究用に撮影しておいた、f1.5クラスのワイルドレンズの比較をご紹介したいと思います。
今を遡ること9/26の土曜日、毎年、この時期には可憐な秋の赤い妖精達、深大寺の彼岸花を愛でに出掛けていたのですが、今年はちょうどそのスィートスポットには金沢ツアーに出てしまっていて、何故か出遅れた昨年同様、待ちきれなかった赤い妖精達は、穴場である深大寺城址の彼岸花畑には数本しか残っておらず、水棲植物園の畔に辛うじて咲き残っていたまばらな花々を撮影したのと同じ轍を踏むのかと思いきや、今年は関東地方は雨が多い上、朝夕の冷え込む時期が遅れたため、その日、電車とバスを乗り継いで、遥々、妖精達との再会に胸膨らませて、霧雨がパラつく城跡への坂道を速足で登って行ったら、何と、今年は早めに開花したという、これまた可憐な白い妖精の如き、蕎麦の花が出迎えてくれて、望外の邂逅に気を良くして、深大寺城址公園のランドマークである「この樹なんの樹、気になる樹」のずっと手前の蕎麦畑で、地元民各位の丹精に感謝しながら、何枚か撮らせて戴いてから、この樹なんの樹の奥、敷地西端の土塁の間の雨樋状の狭い場所に設けられた秘密の彼岸花畑まで足を運び、心おきなく妖精達との1年ぶりの再会を喜び、有難く撮らせて貰ってから、再び、坂道を降り、水棲植物園のミニ湿地帯の土手に咲く赤いや白色の彼岸花達とも再開を祝し、雨が本降りになるぎりぎりまで撮ってから、また、バスと電車を乗り継いで、江戸表に戻ってきたもの。
では、さっそく、そのワイルドレンズ達と秋の妖精達のセッションを逐一眺めて参りましょう。

Kinor_001.jpg
Miranda_001.jpg
まず第一シーンですが、上がCinor40mmf1.5でカメラがX-Pro2、下がAuto-Miranda50mmf1.4でカメラがα7RIIの何れも開放(以下、同じ条件)で、水棲植物園のゲートから深大寺城址に上がっていって、木立の間の曲がりくねった坂道を通り抜け、視界が開けたところに二面設けられた蕎麦畑ではちょうど白い可憐な花々が盛りを迎えていたので、至近距離でそれぞれ撮ってみたもの。
やはり、ペツバール型のCinorno非点収差によるグルグル、周囲の像面湾曲、そしてそれらに反比例するかの如き、中心部のシャープさはかなり印象的で、それに引き換え、Milandaは遠方の木漏れ日に口径食は見られますが、それほど背景は暴れてはくれませんでした。

Kinor_002.jpg
Miranda_002.jpg
第二シーンですが、何れも、ほぼ最短距離で撮ったのですが、APS-C機でX-Pro2だと60mm相当になってしまい、50mmそのままのMirandaに対して、同じ距離で撮ると単純計算でも2割増しになってしまうのですが、このシーンでは何故か、Cinorでも背景が野分が来たか、或いは映画ファイナルカウントダウンの時空の渦が開いたシーンかと思えるような激しいグルグルも像面湾曲も認められず、むしろ、背景の溶け方はMirandaより滑らかにさえ見えてしまうという不可思議な結果となりました。

Kinor_003.jpg
Miranda_003.jpg
第三シーンですが、これは厳密に云えば、同一の被写体ではありますが、同じ大きさに入れようと、狭い彼岸花畑でクリアランス稼ぐべく、角度少々変えて撮ったもので、背景の流れ具合をストレートには比較できないとは思いますが、ここではCinorの方は、その荒々しい本性を思い出したかの如く、非点収差と像面湾曲を遺憾なく発揮し、中央の主役を引き立てることに成功していますが、片やMrandaの方も背景や周囲は若干二線ボケは認められるものの、それほどうるさいものではなく、中心部のシャープさとコントラストの高さによる質感表現では一歩もひけをとっていないように思えます。

Kinor_004.jpg
Miranda_004.jpg
第四シーンですが、これも深大寺での試写では浅草寺での仲見世側道の扇子屋さん店頭の大和絵団扇並みの定点観測スポットなのですが、深大寺城址公園芝生に聳え立つこの樹なんの樹の南西に伸びる、深大寺城址の館跡を示す、発掘調査に基づいた礎柱の位置を記した黒御影石のオブジェなのですが、これも、出来るだけ同じ大きさで撮ろうと位置変えて撮ってみたもので、いずれも手前の石の一番近いエッジにピンを合わせて撮っていますが、Cinorが非点収差と像面湾曲を思う存分発揮し、おどろろおどろしくも印象的なカットに撮れているのに対し、Mirandaの方はその場の静謐さを写りで表現しているかの如く、フルサイズ機でも画面の隅々まで破綻なく、素直でクセのない優等生的な写りを見せてくれました。

Kinor_005.jpg
Miranda_005.jpg
第五シーンですが、深大寺城址公園の高台から、麓に広がる水棲植物園の湿地帯へ別のルートで降りようと思い、白い花々が満開の蕎麦畑の南側を通った時、この角度からの方が、先ほどの北側からのアプローチに比べ、密なイメージで撮影出来るのではないかと思い、足を止め、下はぬかっていたのですが、ひざを着くすれすれまでしゃがみ込んで、一番手前の花を狙ってみたもので、やはり狙いは成功、Cinorではシャープに映し出された主人公の花を中心に背景の花々が野分のごとく渦巻いてダイナミックな印象を前面に押し出していますが、Mirandaの方は云えば、ここでは背景のボケにザワつくような芯は認められず、静謐な中にも主人公の白い花を描き出すことに成功しています。

Kinor_006.jpg
Miranda_006.jpg
第六シーンですが、実はクラシックレンズにとっては、大敵中の大敵、大輪の白い花の撮影、ここ、深大寺以外ではなかなか目にすることが少ない、アルビノ種の白い彼岸花が水棲植物園東側の土手沿いの何か所かに群生していたので、相変わらず霧雨が降り続く中、逆にピーカンでないことが幸いして、Fuji、SONY、どちらの機種もEVFで覗く画面一面が白い照り返しによるフレアに塗りつぶされることもなく、彼岸花の花弁特有の繊細な造形を余すことなく描き切るのに成功したものですが、それでもCinorは背景と周囲が非点収差と像面湾曲により大暴れ、もう一方のMirandaの方は画面の隅々まで破綻の無い描写ですが、背景の木々の濡れた葉からの照り返しがややザワついて見えます。

Kinor_007.jpg
Miranda_007.jpg
第七シーンですが、深大寺水棲植物園には、高台の深大寺城址公園の蕎麦畑と並び、湿地帯の一部が水田となっており、そこで水稲の栽培が行われているのですが、お腹を空かせた渡り鳥やら、近所の雀、烏、椋鳥、或いは目の細かさからすれば、イナゴ、バッタの類いをシャットアウトすべく、この時期になるとオレンジ色の霞網が山脈の如く、何本もの支柱により張り巡らされ、それが角度によっては、オレンジの波が空間を畝っているかの如く見えるので、アマチュア写真家各位の恰好の被写体となっているのですが、丁度良いところに彼岸花が一輪咲いていたので、霞網を背景に撮ってみたものですが、Cinorの方は背景のオレンジの網と云わず稲の波と云わず、盛大な非点収差、像面湾曲攻撃で大暴れですが、Mirandaの方は。あたかも印象派画家が水彩画で描いたかの如く、静謐な秋の一コマの如く捉えています。

今回の感想ですが、Cinorはこれまで何本か改造したペツバールタイプのものの中でも、殆ど、コンスタントに大暴れしてくれて、レジャーやらお仕事の記録には到底使い物にならないキワ物ではありますが、まさに芸術は爆発だ!を辞世の句にされた某著名芸術家の先生の意思を具現化したかの如きキュービズムの絵筆であって、一方のMirandaはNikon、Canon、Minolta、そしてPetriと比べても、ワイルドな玉だとは思いましたが、今回は相手が悪かった・・・借りてきたネコの如く大人しい挙動を示しただけにとどまってしまったような気がします。

さて次回は予定通り、いにしえの魔道士の作った,お人形のガラスの蒼い目玉のような、東欧の魔都からやってきたレンズの実力のほどを試してみましょう、乞うご期待!!
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  1. 2020/10/18(日) 23:52:31|
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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