


さぁて今宵のご紹介は下総の国佐原にて撮りだめた作例を使用しての、工房の伊達レンズ、Componon50mmf4改CXです。
今回のレンズは珍しく、CX規格で改造しています。
とは言っても、f値がせいぜい4.0なんで開放でも十分、被写界深度に入るため、CX、或いはSマウントのどっちで拵えても同じことなのですが。
このレンズはCarl Zeiss社製のContaxIIaにあたかも誂えたかのごとく、良く似合っていますが、その正体は、50年近く前のドイツScneider Kreuznach社製の引伸ばしレンズなのです。
ライバル同士のこの仲睦まじいショット、まさに禁じられた愛といったところでしょうか。
実はこのレンズの兄弟、もう少し後に発売されたという50mmf3.5の方は、ヘリコイドとマウントと合体させられて、L39マウントとなっており、先般、新宿で開催された仲間内の写真展でも活躍しましたが、ネガで撮影して、街頭スナップくらいなら半紙程度まで軽々引伸ばせる実力を持っています。
構成は3群4枚の貼り合せが前に来た逆テッサー型らしいですが、重厚な真鍮無垢削り出しに厚手のクロムメッキをかけた佇まいは、まさに精密機械の国ドイツから、第二の「人生」を送るため、成層圏を飛び、海を超えてやってきたという気迫を漂わせていました。
そこで、今回は遊び心を発揮し、ルックス重視でCX/Sマウント改造としたワケです。勿論、WollensakのVelostigmatの成功に気を良くしたことも忘れてはならないでしょう。
しかし、今回の改造は気合い入れてやったワリには、やや失敗しました。
あまりに暗いので、ピント基準機のピント面での合焦如何があまり明確に見えないのです。
そのせいか、一回目の組み上げで実地に持ち出した写真の個体は、かなりオーバーインフ気味になっており、10m弱で∞になってしまいます。
RD-1Sなら何枚か撮って、結果見て、その加減でピント調整しながら撮れば良かったのですが、あいにく、こいつは旧態然としたCX/Sマウント、本番当日にはS→Mアダプタも持ってはいったのですが、やはりテストの正確性を期すため、そのアダプタは同行者のT氏に秘蔵レンズもろとも貸し出しして、本人は潔くNikon SPにて一発勝負で一本撮りました。
その結果が下の2枚、まず一枚目は数十年前の乙女船頭さんには申し訳ありませんが、もとより撮る気はさらさらなく、その頭越しに木橋を撮るつもりだったのですが、よ~く見てみると、その橋も通り過ぎて、遥か彼方のブルーシートの掛かった停留船に合ってしまっています。
そして二枚目は、被写界深度で上手くごまかされては居ますが、オートバイの機関部を狙って撮って、かろうじて合焦範囲には入っていますが、実はタクシーの1mほど手前のアスフェルトの路面がピントの山になっています。
何事も初心忘るるべからずってことで、このプリント結果をもとに、翌週、直ちにレンズは分解され、再計測の上、ピント基準機、レーザー光パターン投影の併用にてきっちり調整が完了しています。
しかし、再試写は、久々の超大物レンズの改造に今回の3連休をほぼ丸々使ってしまったので、行く時間が無かったのです。
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テーマ:CONTAX - ジャンル:写真
- 2008/11/03(月) 21:34:57|
- CXマウント改造レンズ
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| コメント:6
程よく船頭さんの顔がボケていて
美人さんの顔が台無しですね~~~~~マテw
ところで
久々の超大物レンズの改造ってのが
非常に気になります。
明日当たり
凄いのがアップされるんでしょうね~~~~(^_^;)
- 2008/11/03(月) 22:02:50 |
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- 山形 #-
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山形さん
コメント有難うございます。
へへへへ、その超大物レンズってのが登場するのが、再来週の週末です。
たぶん、深大寺で実際のその猛威を目にされる方が早いと思います。
尤も、同じ型のレンズをT姫光学で船橋のマニアック親切ご老人が改造されているようですが・・・ヒントはイギリス製の「青い鳥」、で産まれがキリギリスではない方です。(何のこっちゃ!?)
- 2008/11/03(月) 22:54:12 |
- URL |
- charley944 #SFo5/nok
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こんばんは。
レンズの外観イメージにふさわしい、線の細い細密画のような描写をするレンズに思えます。
ただ、発色はかなり地味ではないでしょうか。
シアン寄り?
ローデンシュトックのアポ・ロダゴンと比べるとアポクロマートの差を割り引いても、この2大名門メーカーの思想の違いも浮き彫りになっているようです。
引伸ばしレンズは、自身の個性を出さないような努力が払われているように想像していましたが、むしろキャラクターが前面に押し出されていることに気付かせてくれたのも、チャーリーさんのマウント改造の副産物のひとつですね。
- 2008/11/05(水) 21:22:46 |
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- 中将姫光学 #sKWz4NQw
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中将姫光学さん
こんばんは。コメント有難うございます。
ご指摘の通り、引伸レンズというものは、撮影レンズの個性を最大限尊重するため、焼付の段階では極力個性を押し殺し、ひたすらシャープ画面の隅々まで映し出すようしつけられています。
ところが、50年代後半以降の引伸レンズは時には比較的解像度が低くても事足りる英字用のマイクロフィルム撮影用や、産業センサー用の撮像レンズにも用いられることを設計に取り込んでいますので、やはり攻守逆転の際にはメーカーカラーが出るのです。
暖色系のツァイス、ローデン、寒色系のシュナイダー、ここでもDNAはきっちり発揮されています。
- 2008/11/06(木) 01:25:15 |
- URL |
- charley944 #SFo5/nok
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こんばんは。
じつは、たまたま友人から同タイプレンズを(nr,6977118)友人から預かっています。
開放絞りでもかなりの絞り羽がでていて、全開になるとどうなるのか、興味をそそられます。古めかしさを感じさせない赤紫のコーティングが美しいものの、曇りを気にして未使用です。すでに返却した同80mmはNewEL-NIKKOR80mmよりも好ましく、友人への返却を早めてしまいました。
もちろん、以上は引き伸ばし用途です。 C/Y60mmf2,8が一般用途としてある現在、この様なタイプのlensを撮影用途にもちいるのはさほど抵抗感がナイものの、INF相当の倍率と言うことで、どの様な事態が画面再生に発生しているのか?
色合いもそうですが、コントラストが高いのも、不思議です。
- 2008/11/06(木) 20:23:12 |
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- Treizieme Ordre #-
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Treizieme Ordre さん
コメント有難うございます。
まず、絞りが半開きみたいになっているのは、新しいタイプのレンズで、チョークリングみたいな円板に孔を開けたものを絞りユニット直前に入れ、開放値を制限しているケースが引伸用レンズでは広く見られますが、このレンズでは絞り羽根を半開きにすることで代用しているようです。
うちの苑長センセも、改造して全部開き切るようにしちゃったら面白そうとか言ってましたが・・・
予想としては、周辺部が入ることにより、球面収差、コマ収差が目立つようになり、使いづらいかなりのクセ玉になることが予想されます。
また、色合いとコントラストですが、条件はいつものオリジナルスーパーセンチュリア100EXとフジCD-Rの組み合わせで、リサイズしただけでそのまま掲載しているので、まさにレンズとフィルムの相性による撮影結果としか論評のしようが無いと思いますが。
- 2008/11/06(木) 23:52:17 |
- URL |
- charley944 #SFo5/nok
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