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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Amazing performance of historical optics beyond my expectation in advance ~Tanar5cmf1.5~

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さて、今宵の更新ですが、予告通り、久々の深川秘宝館、国産物故メーカーのゾナータイプの雄、Tanar5cmf1.5、修復上がりの、まさに名刀の切れ味をお送り致します。
まずこのレンズの氏素性ですが、このレンズを産み出した田中光学については、Wikipediaにて、
「元はシネ用レンズやアクセサリー、ライカ用アクセサリーを主に製造する会社であったが1953年(昭和28年)にコピーライカのタナックを発売してカメラメーカーとなったが1959年(昭和34年)に倒産した。」との極めて簡単な説明しかなく、そんな泡沫メ-カーであったにも関わらず、50mmの標準レンズはf3.5から幻のf1.2まで7種類も発売していた、という50mmには思い入れのある?キャノンと同じような布陣が謎とされています。
今回のf1.5は倒産寸前の1957年に発売のパララックス補正付アルバダ式フレーム付、一軸不回転式で最高速1/1000まで備えた高級機のタナックSD用の高級レンズとして発売されたとのことで、3群7枚のゾナータイプ、実は工房に来た経緯も都内某所でボディと一緒に売りに出されていて、ボディもレンズも修理が不可欠ということで、或る好事家の方と共同で買って、レンズを引き受けた、ということでした。
では、早速、この幻の銘玉の修理上がりの実力を逐次眺めて参りましょう。ボディはLeica M(TIPO240)、全コマ絞り開放によるAE4撮影となります。

Tanar5cmf15_001.jpg
まず一枚目のカットですが、実はこの前の週に富士フィルム様からX-pro3とFujino50mmf1.0の広報機を拝借し、試写を行って、ロケハンを行っていたため、このスペシャルなレンズの試写もまだ桜の咲き残る浅草界隈で行おうと思い立ち、ご丁寧にランチまで同じお店で戴いてから、観音裏から三味線堀公園経由、今戸へ抜けようと思い、山谷線堀公園の桜並木の間から顔を出すスカイツリーの雄姿を一枚撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、ここ山谷堀公園は、大正の初期くらいまでは吉原から大川に繋がる水路で、江戸の昔は、大川から猪牙舟でここに漕ぎ入れ、そのまま流れを遡って、吉原大門の近くの船着き場まで繰り出す、というとても優雅なお遊びの舞台だっただけあって、公園内のオブジェも都市の記憶と云えるような示唆に富んだものがしつらえてあり、その中で「雀百まで踊りを忘れず」という格言をアルミの鋳物で具象化したものがなかなか秀逸だったので、足を止めて至近距離で一枚撮ってみたもの。

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三枚目のカットですが、山谷堀のどんづまり、即ち都道314号線こと言問大谷田線との合流点を左手に進んで3分も歩かないうちに沖田総司終焉の地、かつ招き猫発祥の地、女性宮司で有名な今戸神社に到着するのですが、あいにく前週と違い当日はモデルさんになってくれそうな雰囲気の小姐各位が見当たらなかったので、絵馬を眺めるグループ客の後ろ姿を撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、前週はお賽銭も上げずご無礼したので、お賽銭を上げて心ばかりのお参りを済ませ、立ち去る前に何か面白いオブジェでも、と注意深く本殿周りを徘徊してみたら、肝要植物の野生化したみたいな不可思議な植栽の真ん中に赤い耳に前掛け、全身金泥で輝く如何にも金運呼び込みそうな招き猫の人形が目に付いたので、有難く一枚戴いてみたもの。

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五枚目のカットですが、同じく今戸神社の境内で、先ほどグループ客各位が手に取って眺めていた絵馬の奉納スペースを本殿サイドから南の空に向かって眺めてみると、露出は難易度超高しですが、背後にスカイツリーの雄姿が収まり、なかなか構図としては面白いので、EVFを覗き、露出補正とAEロックを駆使して何とか文字・図柄まで辛うじて判読出来る状態で撮ってみたもの。

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六枚目のカットですが、今戸神社の次は、前週はそれなりにきちんとお参りした聖天社は失礼して、浅草寺は境内に入ることなく奥山から西参道方面へと抜け、合羽橋経由、上野に抜けてしまったので、浅草寺から仲見世界隈を撮ろうと思い、速歩きで待乳山の下を通った時、下の公園で、いたいけな童子達の遊ぶ声が聞こえたので、足を止めて、ブランコで遊ぶその姿を一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、浅草寺病院東側の北側の出入り口から本堂に向かって歩いていくとソメイヨシノはもはや盛りを過ぎて、殆ど葉桜となってしまっていましたが、それと入れ替わるように濃いピンクも艶めかしい八重桜が盛りを迎えつつあって、木立の影から、総チタン葺きの黒々とした大屋根の威容も見え隠れしてきたので、適当な辺りで足を止めて一枚撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、手水舎で手と口を清め、本堂にお参りして清々しい気分で階下に降りたとたん、いたいけな小姐二名に呼び止められて、本堂前で二人の記念写真撮って欲しい、出来れば、パナソのミラーレスでも・・・ということだったので、ふたつ返事でお引き受けし、代わりにモデルさんになって貰ったもの。

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九枚目のカットですが、奥山方面に移動しながら、記念撮影している人の多い影向堂近辺で、いたいけな観光客にでも声掛けようかと本堂前を歩き出した途端、本堂西側テラスに着物の一団がたむろして、思い思いの自撮り棒で、大声で何か主張しあいながら記念撮影みたいなことをやっていたのが目に付いたので、下から駆け上り、久々の中国語で話し掛けて、モデルさんになって貰ったもの。

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十枚目のカットですが、上で話し掛けて撮って、背面液晶見せながら、通訳してくれる人経由、撮ったのを後で送って上げるねとか話をして、手を振ってまた下に降りた途端、下から一部始終を見ていたとのことで、バングラデシュから来たというお二方に呼び止められ、我らもお願いしたいとのことだったので撮って上げて、後で送る約束したもの。

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十一枚目のカットですが、今日はずいぶんポートレートを撮ることが多く、ミラノとかバルセロナでのスナップみたいだなぁとか独り言ちて、ふと本堂下の巨大香炉に視線を走らせると、明らかに国産と判る、いたいけな小姐一個分隊が、他人様の上げたお線香の煙で御利益の端くれでも頂こうと、他力本願寺みたいな行動していたので、有難く反対側から一枚戴いてみたもの。

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十二枚目のカットですが、奥山方面へ移動するのをすっかり放念上人し、境内の定点観測スポットの巡回モードに入り、まずはお御籤売り場へ足を運んだところ、お参りの御利益か、いたいけな極小姐が若いヲヤヂさんと一緒にお御籤なんか抽いて、難しい文字なんか読めないはずなのに、一生懸命、籤に書かれた図柄をもとに内容を読み解こうとしていたので、その努力に感じ入って、後から一枚戴いてみたもの。

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十三枚目のカットですが、そろそろ奥山界隈と、例の風車の弥七オブジェなど撮りたいと思い、再び本堂方面へ足を向けたところ、本堂下の寺行事掲示板の下で、自撮り棒が機雷なのか、或いは単に宿に忘れてきたからなのか、腕を精一杯伸ばして、二人の記念撮影をスマホンで撮ろうとしているベトナム人の兄ちゃんが居たので、見るに見かねて声を掛けたら、大喜び、何枚か撮って上げたお礼にモデルさんになって貰ったもの。

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十四枚目のカットですが、奥山方面に歩いて行って、影向堂の手前辺りで、またしても、スマホン片手に道行く人々を目線で追ってる小姐二名組が目に留まったので、記念撮影ですか?良かったら撮って上げましょうか?心臓停まるくらい上手いですよ♪とか適当な自己PRしたら、そんなに上手くなくてもイイですけど、お願いします、ということで、何枚か撮って上げたお礼にモデルさんになって貰ったもの。

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十五枚目のカットですが、美人茶屋あずまさん裏の扇子屋さん店頭の大和絵団扇が定点観測スポットの一番目であるとしたら、本堂を抜けて西参道入り口付近にしつらえられた、常盤堂プレゼンツの壁面一面の風車、通称?風車の弥七オブジェはまさにトリで、今回の試写の締めとして、いつもの通り、壁面ギリギリ斜めからその中の一枚にピンを合わせて撮ってみたもの。

今回の感想ですが、いやはや、物故メーカーの中でも、レンズを自社設計していたズノーこと帝国光学、そしてペトリ、ミランダは作例も多く、また工房でも過去に何回か試写したことがあったので、実力のほどは良く判っていたつもりですが、この田中光学の、しかも、Nikon、Canonですら、開放撮影でのハロや近距離撮影での球面収差、像面湾曲等に悩まされたf1.5のゾナータイプで、まさにオリジナルのオプトン製並みのシャープネスやコントラストを発揮する性能には心底驚かされました。実際には2月の京都旅行で実力のほどは判っていましたが・・・

さて、次回は、再び遠征のため一週スキップ、その翌週はBaltar25mmf2.5で撮った花の季節の小田原城界隈の写真をご紹介、乞うご期待!!

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  1. 2021/06/06(日) 13:54:21|
  2. 深川秘宝館
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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