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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A tiny adventure in Hokkaido presented by red crane in token of her gratitude②

さて、今週は予告通り、マッサンで名高いニッカウヰスキィの余市醸造所へお邪魔した際の、途中の寄り道も含めレポート致します。
まずは簡単な行程の紹介ですが、札幌滞在三日目の朝、即ち有休無しの金曜夜発、日曜夜戻りの二泊三日の弾丸旅行最後の滞在日ですので、20時過ぎの千歳空港からの帰便に合わせた行動をとらねばならず、無謀にも、見学予約の関係上、この日の午後13時10分からのコマしかとれなかったため、かなりヒヤヒヤものの余市行きとなったという次第で、見学前にランチを摂ろうと思い、途中までは路線が同一の小樽行の電車に前日と同じ時間に乗り、その結果、1時間半近く前に現地入り出来たので、駅の観光案内に相談した結果、ニッカウヰスキーから徒歩で15分程度のところにある、福原漁場という、往年のニシン御殿の様子を復元した施設があるというので、見学前に寄ってみたというわけです。
では、さっそく当日の行程に沿って実写結果を眺めて参りましょう。
カメラはSONYα7c、レンズはCarlZeiss Biogon25mmf2.8による絞り開放AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、駅に着いて、まずはニッカウヰスキーの元本社の荘厳なゲート前を過ぎ、地図を頼りに川を超え、漁港の先にあるという福原漁場を目指したのですが、小雨は時折ちらつくし、観光協会の地図でも、スマホンの地図でも、道の起伏が載っていないので、急な勾配ではないにせよ、緩い登り坂や下り坂を幾つか超え、目印であるはずのローカルコンビニの隣に見えてくるはずの漁場はいっこうに見当たらず、諦めかけながら、もう少し歩いたところ、やっとそれらしい看板が見え、目的地の福原漁場に着けたので、記念に一枚撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、駅から歩いてくると、正規の入口は更に先に設けられていて、そこで入場券売場があって、300円を支払い、入場券を買い求めて中に入るのですが、何せ、また歩いて戻る時間を考えたら、ネットの見学時間が30分少々しかないので、係員の女性職員のルート説明を最後まで聞くのももどかしく、場内を歩き出し、まず目に付いた、内地ではなかなか目にすることのない3階建てでしかも漆喰壁の外一面に下見板を張っている立派な土蔵の外観を撮ってみたもの。

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三枚目のカットですが、母屋の中も自由に入って見学出来るということで、前日の「北海道開拓の村」で見た「青山家漁場」との違いにも興味あったので、さっそく、戸を引いて土間に足を踏み入れ、陽光から、薄ぼんやり裸電球型LEDで照らされた建物内部に目を凝らして見ると、やはり、この時代のこの職種の住居の標準仕様なのか、比較的高い位置に板の間が設けられていて、その中央に囲炉裏、その周囲に物を吊るして乾かしたり、燻したりする目的の枠状の木枠がしつらえてあり、そこに往時の生活を偲ばせる草鞋や軍手などが架かっていたので、床面の茶碗越しに超ローアングルで撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、同じく母屋の中の親方一家の暮らすゾーンも実際に上がって、中の様子を眺めて、写真も撮れるようになっていたので、土間に靴を脱いで、先ほどの囲炉裏付の高台の板の間と土間を挟み反対側の廊下に式台経由上がって、案内板に従って、時折シャッター切りながら進んで行ったら、北の果てで荒くれ男の上に君臨するニシン漁の親方とは似つかわないような、達筆な毛筆の漢詩が書かれた屏風が立ち並ぶ部屋に足を踏み入れたので、驚きを込めて一枚撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、なかなか興味深かった、幕末から昭和初期にかけての最盛期のニシン漁の漁場と云われる建造物群の中の住居兼事務所の内部を仔細に検分したのち、次なる見学場所である書庫を目指すべく、裏口から陽光が燦々と降り注ぐ戸外に出て、受付で貰った場内見取り図を頼りに書庫を探すと、右手に見える先ほど入って来るときに見えた三階建ての下見板張りの土蔵がそれであることが判ったので、母屋の軒越しに側面を撮ってみたもの。

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六枚目のカットですが、さすがに最盛期は資金的にも余裕が有ったからなのでしょうか、札幌をはじめ道内各地で競うように建造された木骨造建築、明治期ではまだ鉄骨が国内では製造出来ず、また輸入したところでクレーンも溶接も、締結ボルトを締める工具もないない尽くしだったので、それらを木製の構造材で再設計したまさに和魂洋才の建造物がこの漁場内にも存在しており、漁船の展示場に使われていましたが、何となく、武骨でメカメカしい佇まいが国際救助隊サンダーバードなどの秘密基地っぽい雰囲気だったので、これもローアングルから目一杯の仰角で全体を入れて一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、この漁場と云われる建造物群の位置する緩い丘陵の最上部に位置する米味噌蔵で、不思議なことに「北海道開拓の村」の「青山家漁場」の同じ目的の建物では、それこそ奈良の正倉院よろしく、鼠などの小動物による貴重な食料への食害を防ぐべく鼠返しのような仕掛けが支柱や入口扉周りにも施されていたのですが、ここではぱっと見、見当たらないので不思議に思いましたが、それでも、下見板張りの外壁には殺菌効果もある石灰を塗りこめた形跡が見てとれるので、別の方法で、鼠も虫もシャットアウトしていたのかもしれないとか思いつつ、正面から撮ったもの。

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八枚目のカットですが、予想以上に見どころがあったため、予定の30分をかなり超過してしまい、慌てて、駅方面、イコール、ニッカウヰスキー余市蒸留所の方向に元来た道をかなりの早足で取って返し、観光案内お勧めの駅前の海鮮丼屋で食べるのも時間的にはリスクあるし、せっかくの工場見学ということで、見学開始時間前でしたが、構内を通って反対側のフリースペースにある食堂で食べるべく受付で交渉し、快諾して貰ったので、通りがてら、メインの大麦の燻蒸工程を担う第一乾燥塔の外観を撮ってみたもの。

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九枚目のカットですが、のちほど内部は見学させて貰うことになるのですが、石炭をガンガン燃やしてその熱で、発酵してる醪を銅製鶴首のスティルポットという巨大な容器中で加熱し、アルコールの沸点付近を保持していると、アルコール濃度の高い蒸気がポット内部に立ち上りそれが鶴首から繋がる配管経由、リービッヒコンデンサの化け物みたいならせん管の熱交換器を通って、液体として回収されるのですが、その回収工程のある建物の外観を撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、敷地中央部分に建つ、それこそ、一般的な建物の規模感で云えば、チェーン店系のファミレスの標準的な店舗からすればだいぶ小型で、ちょっとした田舎町にありがちな個人経営のカフェとか、小洒落たイタリアンレストランとかそんな可愛らしいながらも欧風で瀟洒た趣きの建物が目に留まり、案内板に目を向けてみれば、なんと、ここがニッカウヰスキーの一丁目一番地、「大日本果汁」の創業時の建物で、マッサンの手により、日本のウヰスキーが産声を上げた場所だと知って、嬉しくなって一枚撮ってみたもの。

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十一枚目のカットですが、これも敷地内を通って、エントランスとは反対側の駐車場に面したレストランに行く途中に見つけた「リタ・ハウス」というマッサンの愛妻、スコットランド産まれのリタさんが寝起きした建物ということで、竹鶴夫妻が亡くなったのちは、同社の研究所として暫く使われていたということで、今は耐震基準に満たないとして外観展示だけですが、テレビで見ていただけに感慨ひとしお、足を止めて一枚撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、ここもマッサンこと竹鶴夫妻の暮らした竹鶴邸をこの工場内に移設したものということで、リタ夫人の利便を考え、建物の基本構造、そして外観はまさに洋館そのものになっていましたが、それでも細部に目を凝らすと、洋窓の内側には木枠の障子、そして玄関脇には、和の象徴そのものの石灯篭、そして案内板によれば、和室も備えており、洋式キッチンでは、リタ夫人が梅干しも漬けていたとのことで、そんな国も人種も超えた愛の巣を目の当たりにし、心を打たれ一枚撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、ここも敷地内の重要見学ポイント、一号貯蔵庫、蒸留工程が完了した原酒をエイジング、即ち樽の中で数年から数十年寝かせて、樽の成分を緩やかに移しつつ、アルコール分を飛ばして、マイルドな味わいへと仕上げる最終工程を担う建屋なのですが、特にこの一号貯蔵庫が面白いのは、これ以降の建屋が鉄筋モルタル造なのに対し、ここは、他の建築当時の建屋同様、道産の凝灰岩で、そして、他の貯蔵庫も同様ですが、洋酒を保管しているにもかかわらず、注連縄を入口に巡らしているのは、竹鶴正孝の出自が広島県の日本酒の造り酒屋だからか、との思いを馳せて一枚撮ってみたもの。

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十四枚目のカットですが、城内の見学を先行しながら着いたレストランで、リタ夫人の手料理に範を採ったとのスコッチブロスという子羊肉を蒸したオーツ麦とともに岩塩で味付けしたスープで煮込んだものと道産の魚介のオードブルからなる珍しいランチを戴き、いったん、また元来た道を早足で戻って、集合時間ギリギリに受付に戻って手続きを行い、正規の工場見学開始、正規の見学本番でしか見られない、蒸留用ポットスチル底部を加熱する炉への石炭くべを至近距離で撮らせて戴いたもの。
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十五枚目のカットですが、ガイドの小姐の案内で構内をぐるっと巡り、先ほど食事したレストランの二階まで案内され、そこで二種のウイスキーとアップルブランデ-を試飲して終了、ホントは売店で、ここでしか買えないボトルやら、お土産を買い求め、ウィスキー資料館で有料試飲などもして、係の専門家の方々とお酒について語り合いたかったのですが、何せ、フライトがその日の夜で、札幌駅に荷物預けていたので、それを取ってから空港で晩飯を食べてから搭乗しなければならなかったので、後ろ髪を引かれる思いで正門から目の前に駅に歩く途中、振り返って、歓待してくれたニッカウヰスキー正門を撮ってみたもの。

今回の感想ですが、いはやは、北海道は奥が深い、本土では太平洋戦争後の高度成長期、そしてバブル崩壊という経済の生成流転で痕跡さえも消えつつある、明治期からの日本の経済成長の歩みがしっかりと遺されている。前回は五稜郭、松前城に目がくらみ、札幌は一泊だけでしかも移動日の午前中が小樽行きで市内も周辺も十分に見て回りませんでしたが、こんなに日本の歩みを、そして日本人の誇りと情熱を呼び覚まさせられるとは。また機会があれば是非勉強さっせて貰いたいと思いました。

さて次回は久々の工房作新レンズの試写結果行きます、乞うご期待!!
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  1. 2022/08/28(日) 23:57:43|
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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