さて、今週は予告通り深大寺で大口径レンズで曼殊沙華の描写テストを行ってきた結果をレポート致します。
お江戸近傍ですと、曼殊沙華と云えば、埼玉県は日高市の「巾着田」があまりにも有名で、この新型コロナの世界的流行の前は、シーズンになると、それこそ、何台もバスを仕立てて、関東中から見物客が押し寄せてきて、果たして曼殊沙華畑を見に行ったのか、人の頭を見に行ったのか判らないという惨憺たる有様でしたが、それが禍いして、密を作り出す元凶として、管理者により花が咲く前に刈り取られてしまうと、悲しい状態が続いていたらしいのですが、反対に、ここ深大寺の曼殊沙華はそれほど咲いている本数も密度も大したことがなかったため、この新型コロナ禍においても、平常通り、咲き誇り、知る人のみを迎え入れてきたという状態で、今年は9月に出張だら、中部日本縦断のお城巡りだの飛び回っていて、やっと最終週にこの可憐な妖精達が待つ古刹の森に出掛けたという次第。
今回も、毎年恒例の複数のクセ玉で曼殊沙華を撮って、その背景の暴れ具合を愉しむという、やや常軌を逸したお遊びをやってきました。
では、さっそく実写結果を逐次眺めて参りましょう。
カメラはテスト機として縦横無尽に活躍するSONYα7RII、条件は全コマ開放による絞り優先AE撮影となります。

まず一枚目のカットですが、トップバッターとして、和製ノクチルックスの呼び名も高い?キャノンの誇る銘玉FL58mmf1.2による深大寺城址公園西土塁裏の曼殊沙華畑に幾つか咲き残っていた、赤い曼殊沙華を至近距離で撮ったものです。
近くの雑草はさすがに緑のゴワゴワした芯が残って見えますが、背景の林は完全に蕩けていて、イイカンジに見えます。

二枚目のカットですが、プリモプラン58mmf1.9による撮影で、キャノンFL58mmf1.2が拍子抜けするほど、ナチュラルな描写を示したのに対し、全体的に背景が緑の火炎樹の如くもわぁ~と下から上に巻き込んで立ち昇るカンジのダイナミックな非点収差のいたずらが見てとれて、主体のシャープさと発色の良さは甲乙つけ難く、これはこれで面白い描写表現ではないかと思いました。

三枚目のカットですが、再び攻守変わって、キャノンFL58mmf1.2でもって、深大寺城址の下の湿原、即ち、神代植物公園附属水生植物園の小川の畔の土手の斜面に可憐に咲く、一本の白い曼殊沙華、即ち、希少なアルビノ種の花をメインに背景の土手に咲く他の曼殊沙華を入れて撮ってみたものです
先ほどよりは背景が詰まっているためか、さすがグルグルとはいかないまでも、心なしか芯が残ってザワザワとした後ボケを見せています。

四枚目のカットですが、再びプリモプラン58mmf1.9に付け替えての白いアルビノ種の曼殊沙華を撮影したものですが、ここでも主体のシャープさは甲乙つけ難いものの、背景のボケ方は、一般的に暴れ玉とか、グルグル玉云われるこちらの方がマイルドで、全体的に中央から膨らむように見えるなだらかな波動のようなボケは予想外の美しさではないかと思いました。

五枚目のカットですが、またキャノンFL58mmf1.2での撮影ですが、これも附属水生植物園の水辺の土手のなだらかな斜面に群生していた赤い曼殊沙華の最前列二本のめしべにピンを合わせて精密射撃的に撮ってみたものですが、撮った後に思わず撮影順序を間違えたのかと思うほど、芯の残った背景がグルグル傾向を示し、普段はマイルドなこのレンズもこんな挙動を示すことがあるのかと驚いた一枚。

六枚目のカットですが、プリモプラン58mmf1.9の出番に戻り、同じ土手の上の群生の最前列二本のめしべを狙って撮ったものですが、こちらもグルグルしていることには変わりませんが、EVFではなかなか区別がつきづらかったですが、PCの画面で見れば一目瞭然、こちらの方が芯が残り、更にグルグルの力強さも5割増しくらいの印象です。

七枚目のカットですが、ここで撮影開始からポツポツと来ていた雨粒が、シトシト、やがてザアザアとなってきて、この状態で屋外でレンズ交換しての撮り比べはボディ内への雨滴侵入のリスクが極めて高いため、撮り比べは三本勝負で断念、後は比較的防滴性の高そうなキャノン58mmf1.2のみで撮影することとし、傘をさしながら、雨宿りに入った水辺の東屋の下の曼殊沙華の群生を撮ってみたもの。
ここでは、背景の葉や茎とおぼしき緑の物体がザワついてはいますが、渦巻現象は認められません。

八枚目のカットですが、東屋で空模様とスマホンの雨雲レーダーとにらめっこし、雨が一瞬小降りになった頃合いを見計らって、傘をさしながら、先ほど城址公園から降りて来る時に通った木製の渡橋をその先の湿原に続く木製デッキをバックに一枚撮ってみたもの。
さすが、元々優秀なレンズだけあって、このFL58mmf1.2の描く質感と距離感の描写には目を見張るものがあると思いました。

九枚目のカットですが、よく目を凝らすと画面に雨滴が写っているのが見て取れると思いますが、かなり雨足が強まってきて、遠雷まで聞こえるような状態になってきたので、こんな避雷針もない東屋で落雷受けたら、機材もろともお陀仏になってしまうのも悲しすぎるので、折角の年に一回の霞網をかぶせた稲田と手前の曼殊沙華の群生を撮って、当日の手仕舞いとしたもの。
背景に林の木々の頂点などに若干のザワつきは認められますが、全体的にはなだらかなボケでいかにも絵画的な描写になったのではないかと思いました。
今回の感想ですが、いやはや、構成もF値も全然違う、たまたま表示焦点距離が58mmということと、何となく、背景が大暴れしそう、という思惑で持ち出した全く異質な二枚でしたが、こうしてほぼイーコールコンディションで撮り比べてみると、概ねマイルドながら、比較的近いバックは芯が残った描写をするキャノンFL58mmf1.2とどんな時もグルグルを演じ切ろうと一本筋の通ったプリモプラン58mmf1.9、要は良し悪しではなく、被写体とキブンで使い分けたら面白い二本、ということが改めて確認できたという結論。
さて、今週末も急な帰省で一週スキップ、その翌週は前回ご紹介した高島城日帰りツアーの翌週にも敢行した日帰りツアーの様子をレポート致します、乞うご期待!!
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- 2022/10/10(月) 23:26:21|
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