さて、今週は予告通り、宮城県白石市に建つ、伊達家の名臣片倉小十郎の居城、白石城と、その翌日訪問した、戦後の天守閣木造復元の嚆矢となった白河小峰城を訪問したレポートをお送り致します。
まずは、当日の簡単な行程ですが、盛岡城撮影の翌日は、朝食を摂ったら即、在来線で宮城県白石市に移動する予定だったのが、前日からの荒天で在来線は運航再開未定、ラッキーなことにかろうじて運航していた新幹線に乗って、白石蔵王まで移動し、在来線駅の駅前に建つホテルまで1キロ強の道を荷物持って移動し、当然、チェッキン時間前だったので、荷物だけ預かって貰って、カメラバッグを抱えて、工事中とは承知の上で、白石城址に向かって、仮設とシートに覆われた木造復元天守閣の外周りだけ見て、仕方ないから、他の江戸時代の遺構でも見ようと案内板を頼りに近場の武家屋敷に行ってみれば、あいにくここも耐震補強中で閉鎖、あとは、お城から移設された門が二件別々に残っているというので、途中、雨宿りしながら、両方見終えた時にはすっかり夜のとばりが降りていた、というのがその日の結末、翌日は、またしても慣れない早起きをし、宿の前の在来線経由、白河の駅に移動すべく9時台の電車に乗り、約2時間半かけて白河の駅につき、目的のお城自体は駅のホームから、それこそ石を投げれば届くくらいの位置にあるのですが、時間もお昼時だったため、お城側に出てしまうと、飲食店などが皆無なので、まずは反対側に点在する、名物料理「白河ラーメン」などを堪能し、しかるのち、ホームの下を潜る横断通路経由、お城側に抜けて、そこから2時間以上もみっちりとお城検分を堪能し、15時台の在来線でお江戸に戻った、というのが今回の長旅のあらましです。
では、さっそく、二日間の行程に沿って、実写結果を逐次眺めて参りましょう。

まず一枚目のカットですが、宿で貰った地図を頼りに地上の道からではなかなか存在が見えてこない天守閣を目指して歩いていたら、市役所の駐車場を抜けた辺りで全身ネットを被った、巨大な構築物のようなものが山の頂きというか小高い丘の上の開けた辺りの隅っこに佇んでおり、あらまぁ、お城ってこんな風に修理を行うんだ、とか遥か彼方の遠い記憶の中の、故郷ではずば抜けて大きな木造建築だった実家を補修した時の木の足場やネットをかけられた様を思い出し、本丸に足を踏み入れた直後にその痛々しい姿を一枚撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはElmarit28mmf2.8による絞り開放AE撮影となります。

二枚目のカットですが、本丸から下る途中に来た道を振り返ってみれば、石垣の上の漆喰塀は一足先に修復を終えたのか、夏のやや雲が多めの空の下、目立つシミや汚れもなく、その凛とした白く美しい姿を見せ、襲い来る敵兵を狙い撃つために一定間隔で開けられた、銃眼、城郭用語でえいえば狭間が無機的な造形を見せており、本瓦で葺かれた塀の上の屋根軒下の桟の波打ったような様子もとても美しく感じられ、足を留めて、仰ぎ見る角度から一枚撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはElmarit28mmf2.8による絞り開放AE撮影となります。

三枚目のカットですが、お城見学の後、武士は食わねど爪楊枝とはいかないため、次なる目的地である、保存された武家屋敷に向かう前、本丸下の「歴史探訪ミュージアム」内の食堂で「にゅうめん」なる不可思議な麺類をランチに頂き、しかるのち、降ったりやんだりの天気を気に病みながら武家屋敷に向かう途中の石段に咲いていた紫陽花の花を撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはElmarit28mmf2.8による絞り開放AE撮影となります。

四枚目のカットですが、お城の廓を降りて、武家屋敷までの道は、さすが蔵王の麓だけあって、水が豊富な街だと見えて、澄んだ水が豊富に流れる用水路がいたるところに張り巡らされており、武家屋敷までは数100メートルという辺りまで来たら道路と反対側の石垣の上には黒い下見張り壁のセミレトロな雰囲気の建屋があり、道路側の岸に咲く黄色い野の花とのコントラストが美しかったので、一枚撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはElmarit28mmf2.8による絞り開放AE撮影となります。

五枚目のカットですが、先ほどの用水路伝いに歩くこと5分強、勢いのあるせせらぎの先に鬱蒼とした森が見え、目を凝らすと、その木々の緑の間に下半分が下見板張り、上半分が土壁造りの、如何にも質素を旨とした中級武士の住まいを彷彿とさせる武家屋敷が見えてきたので、足を早めたのですが、門の前まで辿り着いてがっくし・・・ここも天守修復と合わせて、耐震補強等の保存修理を行っているということで閉鎖されていたので、手前で見つけた時の写真を載せてみました。

六枚目のカットですが、心弾ませ到達した武家屋敷の門にはでかでかと、保存修理工事のため、11月までお休みですという旨の張り紙と、不愛想な赤い三角コーンが置かれていたため、正面アングルからは到底撮影する気にはなれなかったため、門横の土塀の上の木の屋根がイイ案配に苔むしており、その下を通る速いせせらぎが空を映し、水面を光らせていたので、そのコントラストを面白いと思い、最短距離から一枚撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはElmarit28mmf2.8による絞り開放AE撮影となります。

七枚目のカットですが、踵を返し、次なる目的地である、移設された白石城の門達を訪ねようかと思った矢先、門の横に奥の民家へと続く私道のような小径があり、特に「立入禁止」といった立札なども見当たらなかったので恐る恐る、進んでみれば、どうやら、この武家屋敷の持ち主と思しき一家がさすがに修理どころか火の使用すらままならない重要文化財で暮らすのは不便と感じたのか、裏に現代的な木造住宅を建てて住んでいたようなので引き返す途中に生垣の隙間から、武家屋敷の手入れの行き届いた庭の様子を撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはElmarit28mmf2.8による絞り開放AE撮影となります。

八枚目のカットですが、翌日は駅横のホテルでは朝食を頼んでおらず、窓から観察していた、頼りの駅前カフェも店を8時過ぎても店を開ける気配も無く、モーニングを頂けそうもなかったのでシャワー浴びて、髭剃って、早々に宿をチェッカウトし、駅の出入口をはさんで反対の位置に建つコンビニでサンドイッチと飲み物を買って、電車の中で食べ、お昼過ぎに白河駅に到着した時にはすっかりおなかも空いてきたので、白河ラーメンで腹ごしらえをしてからお城に向かい、廓入り口で天守代用の三階櫓の雄姿をバックに城の名前を刻んだ石碑を撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはHeliar75mmf1.8による絞り開放AE撮影となります。

九枚目のカットですが、前の訪問地、木造復元の代用天守である白石城三階櫓が修復中で、その雄姿を見られなかったこともあり、青空の下、広々とした南東北の緑地公園の中心に高石垣を従え聳え立つ、白亜の御三階櫓の雄姿は、日本全国、北は五稜郭、松前城から南は熊本城、首里城、海外では紫禁城、安保土塁から、ノイシュバンシュタイン城、スフォルツェスコ城、ハイデルベルク城に至るまで幾多の城郭を踏破、検分した工房主ですら、心躍るものがあり、大手門を潜る前にその雄姿を一枚撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはUltron35mmf1.7による絞り開放AE撮影となります。

十枚目のカットですが、石段を登り詰め、大手門に相当する前御門を潜り、本丸の中庭に出てから、一刻も早く中に入ってみたいと逸る心を抑え、先ほどとはちょうど正反対の位置から、総石垣の台座の上に聳え立つ三層三階層塔型の御三階櫓の雄姿をやや雲が多めの真夏の南東北の空をバックに一枚撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはUltron35mmf1.7による絞り開放AE撮影となります。

十一枚目のカットですが、この日は入場無料とのことで、せめて維持のための寄付でもと思ったのですが、寄付金箱すら置かれていなかったので、では、その分、しっかりと勉強させて貰って、このお城のみならず、現存の木造天守、櫓、或いは復元、これから木造による復元が予定されている城郭建築が100年、いや1000年にも亘る寿命を与えられるよう、永遠の金属チタンを使った耐久性向上の方策を研究することとして、見学を始めてまもなく内部の様子を撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはUltron35mmf1.7による絞り開放AE撮影となります。

十二枚目のカットですが、御三階櫓の内部を順繰りに検分しながら歩き、最上階の三階に到達した時、天井裏に当たる和式木造建築の構造である小屋組に目を向けてみれば、他の城郭建築でも一般的な、竣工記念の木札が中央の柱束(はしらづか)の側面、建物の長辺に向けて打ち付けられていたので、まだ白木の面影が残る小屋組も入れて一枚撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはUltron35mmf1.7による絞り開放AE撮影となります。

十三枚目のカットですが、最上階まで登ってから、また元来た階段を辿って一階に降り、感想を述べて、直ちに外へ出て、石垣でも仔細に検分してから、お土産買って、駅前でお茶して帰ろうかと思っていたら、たまたま、受付の係員の初老の女性が、なかなか話好きで、昨日、城郭協会の小和田先生と妙齢の女性がやってきて、見学した後、市の職員の接待を受けた、とか同様に木造復元の掛川城、大洲城と比べてどうだったか、とか話が弾み、15分近くも長居してしまい、大慌てで外に出て、前御門と御三階櫓の連なる雄姿をツーショットで撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはUltron35mmf1.7による絞り開放AE撮影となります。

十四枚目のカットですが、本丸広場からは前御門とは反対方向の石段を下って、本丸周囲の石垣の造作でもよく観察しようと思いながら歩いていたら、ハイキングの恰好をしたいたいけな小々姐が小走りに追い越していって、その無邪気な後姿が、石垣に囲まれた通路の重苦しい往年の要塞のいかめしさを和らげたので、一枚頂いてみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはUltron35mmf1.7による絞り開放AE撮影となります。

十五枚目のカットですが、本丸周囲を一周し、かつて、廓への入口に設けられていたという清水門の跡地に向かって歩いている時に、重苦しい石垣と、夏が短く、なかなか青空の恵みに与れない東北地方の初夏のすっきりしない晴天と、青々とした芝生との対比が面白く、親子連れが本丸からの道を下ってきた頃合いを狙って一枚撮ってみたもの。
カメラはLeica M(TIPO240)、レンズはUltron35mmf1.7による絞り開放AE撮影となります。
今回の旅の感想ですが、お城といえば、だいたい中部地方から西を想像してしまい、実際、現存天守の数でいえば、弘前城を除けば、松本以西に偏在しており、総石垣のお城も、東北では、ここ白河小峰城と会津若松城、そして何も建造物の残っていない盛岡城の三つしかありませんが、それでも、西日本のお城達と同様に、たとえ復元であっても、お城は地域の誇りであり、住民、或いはその地方出身者にとっての貴重な精神的財産であることが判り、羨ましくも思えました。
さて、次週は北陸方面に仕事なのか休みなのか、良く判らない旅行に木曜から日曜の夕刻まで出かけますので、一週スキップ、その次の周は、今週末に製造した久々の新作レンズのレポートでもしたいと思います、乞うご期待!!
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- 2022/10/30(日) 19:54:05|
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