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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Economy but useful gear ~Tamron Telewide70mm-28mmf3.5~4.5


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さて、暑さ全開のさ中、皆様は如何お過ごしでしょうか。今週は、やっと、空手形切りまくりの果て、デッドストックの国産オールドズームの試写結果を発表出来る運びとなりました。
モノ自体は、今を去ること30年ほど前、名古屋支店から本社に戻って来てすぐに、昔、欲しくても高くて買えなかった、キャノンの高級機シリーズ、即ち、EF、F1がお手頃な値段で手が届くようになってきたので、気軽に使い倒そうと思い、その時点ではメーカーからの新品販売はとうに終了、どのお店にもデッドストックなどない状態で、有象無象の中古レンズから選ぶのも当時はちょっとためらいがあったので、まだ新品のアダプトールマウント版が潤沢に供給されていたタムロン製のズームから選ぶこととし、中野の某量販店に行ってみたら、コシナの輸出用の単焦点共々新品が安く売られていたので、喜び勇んで買い込んだまま、次第に中古レンズの沼にはまり、特に毒性の強い赤鉢巻を超広角から中望遠まで揃えてしまったので、出番を逸し、そのまま防湿庫の隅で永遠の眠りについていたということです。
モノとしては、タムロン59Aという品番で、1988年発売、1991年終売という極めて短命なモデルでしたが、それでも8群9枚、プラスチックを多用したコンパクトなボディは約290gと軽量、更にマクロ機能付きで70mmサイドでは1:3倍率でのマクロ撮影が出来る機能も付いているとのことでした。
では、さっそく本日、撮りたてホヤホヤの浅草での試写結果を逐次眺めて参りましょう。
カメラはSONYα7RⅡ、全コマ絞り開放、JPEGデータはもちろんノートリム、露出とガンマのみ調整のほぼ撮って出し状態です。

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まず一枚目のカットですが、今回、思い立って、インバウンドが爆発状態の浅草に試写に出掛け、手始めに28mm端で歩道ギリギリで雷門の全景が収まるかと思い試しましたが、両端が極わずかに切れてしまい建築写真としては失格ですが、それでも普及レンズということを念頭に置けば、ピンを合わせた巨大赤提灯もシャープに描写していますし、前ボケとなった人物の後姿もマイルドなイメージで、観光の記念撮影用としては、悪くないと思った次第。また、空が半分弱入っていますが、巷間で言われている光量落ちは殆ど認められません。

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二枚目のカットですが、おそらく台湾人とおぼしき、浴衣に身を固めた一家が喧しく、雷門内の赤提灯下で、何やら、様々なポーズ、アングルで貸し切り記念撮影モードで、周囲を顧みるゆとりも、心配りも皆無のようだったので、お上りさんが赤提灯を下から見上げるアングルで撮る恰好して、28mmの広角端を利用して、色々注文付けてくる、やる気満々のオヤジに辟易して、暑いのにもうやってらんね、とばかり明後日の方向を向いている童子達の表情まで写し撮ることに成功したもの。ここでも、周辺の解像感は悪くなく、画面中心の赤提灯表面の質感再現は目を見張るものがあると思いました。

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三枚目のカットですが、せっかく付いているので、マクロ機能を使わない手はないので、手っ取り早いところで、赤提灯底部の金メッキされた銅製金物に付けられている、赤提灯固定用のヒモを固定するリングを咥える恰好のおそらくは龍の頭部(浅草寺の正式名称は「金龍山浅草寺」であるため)を70mm端で最短距離から、わざとコントラスト低下の原因となる空を画面下1/3程度入れて撮ってみたもの。
いつも、逆光に最大限の注意を払って使っているクラシックレンズとは大違いで、御年34歳と言えど、シアープにしかも逆光によるフレア、ゴーストも皆無で、見事描写したのには驚かされました。

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四枚目のカットですが、浅草での定点観測スポット筆頭である、美人茶屋あづまさん(注、このところ、パパラッチ対策なのか、店頭の製造販売は全部、兄ちゃん店員!なので、美人茶屋ではない・・・)の裏の仲見世側道の北西角の扇子屋さん店頭の大和絵団扇展示柱に掲げられた幾つかの団扇のうち、いつもの馴染みだったひょっとこがかなり高い位置に掲げられていて仰角になってしまうため、ちょうど手頃な位置の河童に代役をお願いしてピンを合わせて撮ってみたもの。
意外にも、こんなf3.5jかそこらのズームにも関わらず、背景がかなり魅力的なボケと化していて、いっぽう、団扇はエッジが浮き立ち、結構魅力的なスナップの画面構成となっているように見えます。

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五枚目のカットですが、仲見世通りに戻って、目の前の宝蔵門を目指して歩いていると、もはや、新型コロナ禍以前の人出を取り戻し、しかも、インバウンド客の割合については、記録的な円安と相対的な物価安により、これまで以上に増えているような印象だったのですが、いつも着物を来たお客で賑わう、舟和経営のメロンパン屋さん前で、純国産小姐二名がフレッシュジュース片手に、映えを追求していたので、通りがかりに有難くその様子を一枚頂いてみたもの。
ここでも、四隅の画質低下は認められず、コントラストは低めながら、ピンを合わせた青色着物の小姐頭部の髪飾りや首筋の産毛の一本一本まで解像しているのが確認出来ました。

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六枚目のカットですが、再び仲見世通りを宝蔵門に向かって歩き出し、試写テスト用の丁度いい被写体は無いか、鵜の目鷹の目、辺りを見回しながら歩いていたら、ちょうど、仲見世通りに面した店舗と店舗の間、東の側道への連絡通路となっているような場所に黒人の父子が佇み、暑さしのぎなのでしょうか、スイカジュースなんか吞んでいて、眺めていたら、極小姐と目が合って、こちらを見つめてくるので、意を決し、ヲヤヂさんに撮っても良いかと聞いたら、もちろんどうぞ、とのことで、快くご主演頂けたもの。
ここでも、肌の質感の再現はいうまでもなく、明るい背景がフレアを引き起こし、父子の輪郭を滲ませるようなことも引き起こさなかったので、とても魅力的なポートレになったのではないかと思いました。

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七枚目のカットですが、まもなく仲見世通りと伝法院通りの交差する、ちょっとした広場のようなところまで到達し、そこには、嬉しいことに夏の風物詩というか、スナップ的には季節のアイコンのようなラムネ売りの屋台というか露店が出されており、ちょうど、位置的に、無限遠の被写体に当たるスカイツリーが背景に入るので恰好の被写体だったので、店主が留守中に至近距離の28mm端で一枚頂いてみたもの。
ここでも、ピンはラムネの最後列の文字に合わせましたが、スカイツリーはなだらかにボケ、これからにわか雨をもたらす積乱雲の表情も大まかながら捉えています。

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八枚目のカットですが、仲見世通りと伝法院通り交差点から、宝蔵門方向に歩き出した時、かなりユニークな恰好をした韓国人の小姐というか、アガシ二名が工房主の前を歩いていて、五重塔の花やしきのフリーフォール塔の競演を撮ろうとしたら、ちょうどその前に入り込んできたので、有難く被写体交代、その特徴的な燃えるが如き赤黒ツートンの毛髪にピンを合わせて、有難く一枚頂いてみたもの。
ここでも、画面四隅の光量落ちはもちろん、解像力の低下、或いは像面湾曲による崩れは全くといって認められません。

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九枚目のカットですが、宝蔵門を過ぎて浅草寺境内に入ってすぐの定点観測スポットである「手漕ぎポンプ」は、これまで季節的なものに加え、珍しく思って、試してみようとする、主に海外からのゲストも僅少だったので、ここ2~3年は稼働しているのを目にしたことがなかったのですが、物は試しにと足を運んでみれば、いたいけな童子がオモニのために額に汗して水を汲んであげる、という、猛暑ならではの感動のシーンが撮れたということ。

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十枚目のカットですが、宝蔵門の方に再び視線を走らせてみれば、なんと、伊藤園プレゼンツの水冷式ターボブロアがうなりを上げてフル稼働、ちょうど、そこに手を繋いでいた親御さんを振り切って、暑さにたまりかねたのか、或いは本能的に生命の危機を感じたか、なのか、白人のいたいけな小姐が、背中を向けて、一心に水滴交じりの強風を浴び始めたので、その様子を横から一枚頂いてみたもの。
ここでも、意外にピンが立つため、EVFでのクロップ拡大なしでも、シャッターチャンスを逃さずに確実にシーンをものに出来る使い前の良さに気付かされました。
もちろん、画面の隅々まで破綻はないように見受けられます。

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十一枚目のカットですが、改めて宝蔵門の下を潜り、浅草寺境内に足を踏み入れようとしたら、日本人と見まがうばかりにお揃いでもないですが浴衣と甚平を着こなした台湾人とおぼしき若いカポーがこの炎天下、宝蔵門の下で束の間の涼をとりながら、暑い亜熱帯の島、台湾から温帯であるはずの日本にまでやってきてまで、暑さに祟られているなんて、どっちかか両方の日頃の行いが悪いんじゃなーぃ?なんてカンジで爽やかに談笑していたので、本堂をバックに有難く一枚頂いてみたもの。
ここでも、はじめは兄ちゃんの頭部にピンを合わせ、小姐が顔を見せた瞬間に反射的にシャッター切ったのですが、境内の参詣者はきれいにボケているにも関わらず、本堂のチタン瓦は意外にくっきりと写っています。

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十二枚目のカットですが、境内入っての定点観測スポットである御籤売り場で被写体を探していたら、原宿系ファッションに身を包んだ韓国からの小姐二名が、読んで意味が判ったのか否か、知る由もなかったですが、広げた御籤を手に記念撮影して、ゲラゲラ笑ったあと、周囲の参詣客に倣って、御籤柵に仲良く笑顔で結び付け始めたので、ここぞとばかり、一枚頂いてみたもの。
ここでも、露出はかなりオーバー気味だったので、後修正で直しましたが、それでも、ゴーストも皆無で小姐達の白い肌や装束に薄っすらとフレアを纏いなかなか趣き深い画になったのではないかと思いました。

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十三枚目のカットですが、本堂下の手水場で手と口を清め、本堂にお参りしてから、旧奥山方面を抜けると、西参道入口(浅草寺側からは出口?)の常盤堂プレゼンツの「風車の弥七モニュメント」こと季節ごとに無数のセルロイド製風車を壁面に植え付けた場所で、再びマクロモードの威力を試すべく、ウクライナ支援の想いからなのでしょうか、薄い青と濃いめの黄色の風車が所せましと並ぶ真横から壁面に沿って最短70cmの位置付近にある個体の赤い軸留にピンを合わせて撮ってみたもの。
撮っている時はかなり不自然な姿勢ななので、あまり気にはならなかったのですが、やはり50mm端で壁面のエッジのような鉛直を撮ろうとすると、古いズームの宿命、糸巻タイプの歪曲収差が極僅かに発出しているのが認められます。

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十四枚目のカットですが、西参道の通路を挟んで反対側のビルの壁面にも観光客のためのインスタスポットを想定してのことなのでしょうか、こちらは風車ほど頻繁にお色直しはしていないようですが、それでも、結構凝った造作の折紙製の金魚のオブジェが数十個も壁面に吊り下げられており、しかも凝ったことに手作り感満載の木製の格子枠がかぶせられており、かなり、和のテイストを放っており、工房主が最短距離から精緻にピンを合わせて撮影していたら、記念撮影したい米国人一家がじっと前で待っていたほどでした。
さすがにこの距離で前後のボケをなだらかに、とはいかず、手前はちょっと重めのボケになってしまいましたが、それでも中心部はシャープなのはいうまでもなく、画面四隅までほぼ均質の描写というのは見事だと思いました。

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十五枚目のカットですが、浅草地区最後の定点観測スポットは、仲見世と並行する比較的広い商店街である観音通りアーケード内の老舗のおせんべい屋さんの店頭に飾られている、ガラスの広口瓶にぎっしりと詰められた様々な手焼きのおせんべいが行き交う観光客各位には結構な人気で、このお店は通り沿いに実際に営業を行っている店舗を含め、三軒出していますが、そのいずれかの前で記念撮影をしている家族連れもこの日、二組見ましたが、その合間に至近距離で斜めから撮ってみたもの。
実際には、ガラスは反射率は極めて高いですし、スポットライトで上から煌々と照らしているので、内面反射が大きいクラシックレンズではゴーストが出たり、著しくコントラストが低下したりしがちですが、程よいフレアこそ纏ってはいますが、ピンを合わせた文字はくっきり読めますし、最後の最後まで、行儀の良い、実用的なレンズであることが判った次第。

今回の感想ですが、いやはや、御年32歳で外観はマウント金物とフィルタ枠以外は全て黒色のエンプラ製、お値段も、確か当時で20000円もしなかった、エコノミーレンズの典型のようなこのモデルも、やはり、老舗であり、今でも第一線で新製品を送り出し、巷間の噂によれば、S社の*スターレンズをOEMで製造していたとの話もあるくらいの実力ですから、その名に恥じず、きっちりと仕事をしてくれた、ということなのでしょう。

さて、来週はお盆で帰省のため一週間か二週間お休み、上手くいけば、お盆休み前後に、今温めている、新レンズを田舎のお祭りで試写した結果をレポートしたいと思います、乞うご期待!!
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  1. 2023/08/06(日) 19:26:08|
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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