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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A great masterpiece meets red nymph in a ruin of fort in Jindaiji~Zelss Kinostar5cmf1.8modE~

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さて今回のご紹介は長いこと開発、製造に時間をかけた、工房製新作レンズのシェイクダウンテストのレポートを行います。
その名はレンズはZeiss Kinostar-S 5cmf1.8mod.Eです。、製造元は戦前のツアィスで、元々は真鍮に、磁石が吸い着くくらいぶ厚いニッケルメッキを施された寸胴の鏡頭のみが電子湾から釣り上げられ、入庫した当時はマウント系の小さいフジのミラーレスしかなく、仮にマウント着けても、また75mm相当のものが増えるだけで、それほど面白味もないので、数年間放っておいたのですが、ふと、SONYのEマウントであれば、金物も豊富に揃ってきたし、改造も慣れてきたので、いっちょやってみっか!?と思い、ただヘリコイドと、そのマウント換装だけでは能がないとも考え、新発明の絞り連動機構を盛り込んで、円形絞りデスク内臓のEマウントレンズとしてこの21世紀の世に蘇らせたということです。
なお、今回は時期的に深大寺城址の赤い妖精こと曼殊沙華が満開だろうと見当付け、もう一本、やはりグルグルぼけで名高い銘玉を伴走機として連れ出して、シーンごとの写りの違いを見比べる構成としました。
では、さっそく、当日の行程に沿って、実写結果を逐次眺めて参りましょう。カメラはいずれのSONYα7RⅡによる絞り開放AE撮影となります。

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まず一枚目のカットですが、毎年、9月下旬になると忘れずに訪れる深大寺城址内の秘密の曼殊沙華畑で、今年は昨年より平均気温が高いことも考慮し、一週間ばかり早く訪問してみたら、「やっと来てくれましたね、暑い中、いつ来てくれるか待っていたんです」と云わんばかりに可憐な赤い花々が咲き誇っていたので、ゴメン、ヘンテコな描写の玉の実験で来たんだ・・・とばかり撮ってみた皮切りの一枚。潔いばかりの非点収差と球面収差のオンパレードで、まさに「時をかける曼殊沙華」状態でほくそ笑みたくもなります。
レンズはZeiss Kinostar-S 5cmf1.8mod.Eです。

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二枚目のカットですが、一枚目と同じ被写体を同じ位置から狙ってみたもので、伴走機の焦点距離は5.8cmなので、その分、被写体が画面の中では大きくなってしまいますが、クセ玉と云われるこのHugo Meyer製のオールアルミ鏡胴製レンズも、何故かこのカットでは剣状の葉の上部、光を反射する部位の付近は若干ザワザワ感が漂いますが、全体的にはそれほど大暴れでもなく、普通の部類に入ってしまう気がしました。
レンズはPrimoplan 58mmf1.9mod.M-uncouppledです。

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三枚目のカットですが、ここも深大寺界隈で試写する時は、例の美人茶屋「八起」さん店頭と並ぶくらいの安定した打順の定点観測スポットなのですが、深大寺城址の木造構築物の跡を示す黒御影石製のモノリス群でこれも先頭の石の奥側のエッジにピンを合わせて撮りましたが、EVFを覗いていたら、めまいがするくらい後ボケがグルグルで、これも非点収差と球面収差のなせる業で、タイムスリップして戦国時代初頭に飛んでしまいそうな気になった一枚。
レンズはZeiss Kinostar-S 5cmf1.8mod.Eです。

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四枚目のカットですが、同じ黒御影石のモノリスをちょっと下がって撮ってみたもので、このカットでは、クセ玉の失地挽回と云わんばかりに画面奥、11時から9時30分、そして1時の位置のモノリスが滲みながらも円弧状に流れるように写っており、比較対象が現代のお行儀良いメーカー製レンズであれば、うーん、プリモプランはやっぱりクセ玉だ、という評価は的を得たことになりますが、ツァイスの映写用レンズが相手では形無しのようです。
レンズはPrimoplan 58mmf1.9mod.M-uncouppledです。

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五枚目のカットですが、深大寺城址に咲く可憐な秋の妖精達と、また来年の再会を約して、暇乞いをし、しかるのち、16時半ともなると、そそくさと店じまいを用意を初めてしまうことから、次なる定点観測スポット、美人茶屋「八起」さんの店頭に向かい、店頭で名物の焼き団子を買い求めようと列を成す観光客を相手に黙々と炉前作業を行う、いたいけな小姐の横顔を比較的至近距離から頂いてみたもの。被写体の小姐は無論シャープに描写されていますが、すぐ隣奥の小姐はむかって左半分が回り始めてますし、背景は提灯と云わず、バックオフィスの女性従業員と云わず、渦の中状態に見えます。
レンズはZeiss Kinostar-S 5cmf1.8mod.Eです。

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六枚目のカットですが、同じく営業終了前1時間を切り、慌ただしく店頭に群がる観光客の注文を捌くべく、女性店員総出で、幾つかの売り場を遊撃手的に守っているらしく、レンズ交換しているうちにグレーのTシャツのいたいけな小姐が、ちょうど母親くらいの年回りの女性店員に交代し、さすが、亀の甲より年の功と云わんばかりに凄まじい手際良さで焼いた団子を仕分け皿に並べていたので、有難く一枚頂いてみたもの。ここでも、クセ玉の面目躍如、奥の方は、さすがに非点収差のなせる業の反時計回りの渦巻ボケがうっすらと見てとれます。
レンズはPrimoplan 58mmf1.9mod.M-uncouppledです。

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七枚目のカットですが、美人茶屋「八起」さんに隣接する深大寺窯では素朴な民芸風の陶器を店頭販売するのみならず、店内では、昔「楽焼」といった、低温で釉薬のみ焼き付けた素地の皿に鉱物系絵具で絵付けを行わせる体験コーナーがあるのですが、その作風に似た生地、絵付けの蚊取り豚が並べてあったので、真ん中の仔豚の目の上のエッジにピンを合わせて一枚撮ってみたもの。ここではほぼ最短の45cmに近い辺りの撮影なので、当の仔豚の周囲の焼き豚から流れています。
レンズはZeiss Kinostar-S 5cmf1.8mod.Eです。

Primo_004_2023100123401602b.jpg
八枚目のカットですが、同じく深大寺窯さん店頭の蚊取り豚の二組の親子?のうち、真ん中の仔豚の目の上のエッジにピンを合わせて撮ったものですが、このカットでは珍しく非点収差というより球面収差が優位と思われる、ボワ~とした後ボケで、後知恵ですが、もっとローアングルから撮れば、店内の点光源を入れて、七枚目ともども、バブルボケが発生するか否か確認出来たのではないかと思った次第。
レンズはPrimoplan 58mmf1.9mod.M-uncouppledです。

Kinos_005.jpg
九枚目のカットですが、ここも深大寺での試写にはマストポイントとなっている、境内の井戸に附属した手水場の竹筒とその直下の水盤、そして井戸の石材側面に長い間付着した苔とその上に生えた水草をモチーフに撮るべく、竹筒の斜めにカットされた筒先にピンを合わせて撮ってみたのですが、これは確か1mくらいの距離からですが、背景の地面の砂利から他の2本の竹筒から、合焦部以外は全て非点収差優位のグルグルボケと化して、何かめまいしそうになってきた一枚。
レンズはZeiss Kinostar-S 5cmf1.8mod.Eです。

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十枚目のカットですが、こちらも同じく境内の井戸に附属した手水場でのカットですが、ピンを合わせた手前の竹筒より後ろのボケでは、地面の砂利が、九枚目ほどではないにせよ、非点収差が自己主張し、時計回りの方向にグルグルの渦を巻いているように見え、相手が、グルグル上等!の映写用レンズではなく、現代のメーカー製品相手であれば、凄いクセ玉という評価になってもおかしくはないと思いました。
レンズはPrimoplan 58mmf1.9mod.M-uncouppledです。

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十一枚目のカットですが、既に店じまいを殆ど終えて、店頭には人影すら見えなくなってしまった美人茶屋「八起」さんのところへ舞い戻り、ここも定番スポットである店舗横の小さな庭園の柵際に置かれた蹲(つくばい)の底から水が湧き出て、それが水面を揺らし、木漏れ日を映して何とも優美な景色を作り出していたのですが、残念ながら、営業時間終了とともにポンプも停止し、それこそ明鏡止水の様を現していたので、手前の水面の角にピンを合わせて撮ってみたもの。ここではやはり50cmもない距離からの撮影なので、ピンの合った極狭いエリア以外は非点収差で大暴れ、肉眼で見た、侘び寂びは何処へやら、という結果になってしまいました。
レンズはZeiss Kinostar-S 5cmf1.8mod.Eです。

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十二枚目のカットですが、同じく美人茶屋「八起」さん庭園柵際に置かれた蹲(つくばい)を撮ったもので、ピンも同様に手前の水面角に合わせていますが、若干、こちらの方が、まともに描写している部分が多いためか、一見、端正な描写に見えなくもないですが、それでも画面の上半分、特に庭園内部の地面は非点収差の大暴れこそないものの、二線ボケから崩れるようなボケまで混在し、決してお行儀が良い写りとも言い切れないと思いました。
レンズはPrimoplan 58mmf1.9mod.M-uncouppledです

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十三枚目のカットですが、そろそろ陽も暮れかけて来ましたし、帰宅途中、末広町のココス辺りで季節の果物使ったスウィーツを頂きながら撮影結果を一人レヴューしても良いかなとか思って、また来た道を戻るべく、表参道を通ってバス停に向かおうとしていたら、鬼太郎茶屋というキャラクターショップの類いの店頭にゲゲゲ&ビビビコンビの等身大?フィギュアが置かれて居たので、足を停め、ねずみ男の極めて低い鼻にピンを合わせて撮ってみたもの。やはり画面の中心から左右に渦を巻いたような盛大な非点収差ボケ大会となり、プロジェクションレンズ固有の点光源のバブルボケはどうかな、といったところです。
レンズはZeiss Kinostar-S 5cmf1.8mod.Eです。

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十四枚目のカットですが、同じく鬼太郎茶屋店頭の有名コンビフィギュアの撮り比べすべく、レンズを替えて、フィギュア前で記念撮影すべく入り込んできた異国の家族連れが撮り終えるのを待って、ねずみ男のペッタンコに鼻を狙って一枚撮ってみたもの。
若干もざわつき感は認められますが、プロジェクションレンズに比べればだいぶお行儀よく、なんとなく、油彩のような滲んだ味わいあるボケと言えなくもないと思いました。

今回の感想としては、いやはや、通常の改造の裕に5倍は時間掛かったプロジェクションレンズへの絞り機構新設、しかも針の突っつき傷ひとつ付けずに完全な円形絞りの連動機構を開発、組み込んだのち、殆ど削り代のない大口径ヘリコイドに組み込んで、また1mm厚のEマウント金物を背面からネジ留めする、という難工事の連続で、やっと出来た歴史的レンズのEマウント化はなかなか使い前もよく、面白い作品になったと思いました。

さて、来週はまた海外遠征、その翌週は帰省でスキップ、何が出てくるかはお楽しみ、乞うご期待!!
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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