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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Sharpness dwelling in haze ~Canon L 35mmf1.5~

さて今回のご紹介は、予告通り、CanonL35mmf1.5で街撮りした結果をレポートしたいと思います。
そもそも、今の実勢価格が、凡そ5~6年前の8~10倍程度になっていたとは、つゆ知らず、10月初めにたまたま銀座で用が有って、帰りに寄った、某宗教法人のビル最上階の黄色い手榴弾が目印のお店で、何か面白げな骨董レンズdもないかと冷やかしで、相変わらず冴えないショーウィンドを覗いてみたら、???!キャノンのライカマウント35mmf1.5が50万円!? 一桁違ってのんちゃうか?とびっくりして、カウンターの店員さんに真偽のほどを問うてみれば、これでもまだ少し安くなったのです、何せ、50mmf0.95同様、キャノンのレンジファインダ用レンズでは相当尖ったスペックだし、50mmみたいに中玉が腐食して曇らないし・・・とのことで、びっくりして家に帰ってきて、確か部品取りようのボロいのと、元の緑の紙管付きで前後キャップオリヂナルで教会の個体よりずっと条件イイのが有ったよな!?と動悸で思わず人事不省に陥りそうになり、何とか気を取り戻し、同じく60万円コ-スのタナー5cmf1.5や、もはや、お値段付けられないグループのフジノン50mmf1.2Lのシリアルナンバー2やクリスター5cmf2のType1とType3の何れも試作品なんかと同じ組に入ってしまったと思い、じゃたまには試写でもすっぺ♪と川越のお城巡りに連れ出した次第。
カメラはSONY7c、条件は全て絞り開放AEのノートリ、データ無調整の撮って出しとなります。

Canon35mmf15_001.jpg
まず一枚目のカットですが、朝10時半過ぎに木場の駅を出発、飯田橋で東武東上線直通の有楽町線に乗り換え、川越の街に着いたのが12時ちょい前、世間はランチタイムですが、朝飯を10時過ぎに食べているので、まだそんな気にはなれず、まず向かったのが喜多院で、江戸城から移築した本丸御殿というか紅葉山に在った大奥書院の一部が現存しているとのことなので、初めて訪問してみたのですが、なんと建物内部では一切撮影禁止、庭や外観は結構とのことだったのでは、外部に当たる渡り廊下の様子を一枚撮ってみたもの。

Canon35mmf15_002.jpg
二枚目のカットですが、同じく喜多院の書院遺構と、県指定有形文化財という本堂とを結ぶ、オープンエアの渡り廊下からは庭や、書院造りの建物の外観の一部が見てとれるのですが、手を伸ばせば届きそうなところに、おそらくは江戸末期くらいの焼成とおぼしき、平瓦の端部、即ち、丸い巴瓦と細長い唐草瓦が冬の午後の陽光を浴びて鈍い光を跳ね返していたので、最短距離で撮ろうと、いつものライカマウントレンズの感覚で寄ろうとしたら、全然寄れない、なんと、最短距離が3.5ftまでしかない、という広角では絶望的な特徴に気付いてしまった貴重なカット。

Canon35mmf15_003.jpg
三枚目のカットですが、結局、お楽しみの喜多院書院部分、本堂内部は、フラッシュ焚かなくとも撮影禁止だったので、見るだけじっくり見て、古墳の出土品のところに、どう見ても埴輪とは似つかない縄文土器復元品が置いてあったので
受付係員である初老の男性に、多少の嫌味も込めて、写真撮影も許されないような重要な展示品であれば、もう少々、専門家の意見を伺ってから展示した方が良いですね、とか言い残して、表に出て、拝観料の中に含まれている500羅漢に移動する途上に至近距離に弱い広角ならば、と行き掛けの駄賃に、これも県指定文化財の多宝塔の全景図を撮ってみたもの。

Canon35mmf15_004.jpg
四枚目のカットですが、無人の入り口で、貼紙の指示通り、拝観料レシートに残った「五百羅漢」の部分をミシン目から切り離して、雑然と半券が置かれている紙箱の中に放り込み、今まで、一回か二回、しかも喜多院書院とは別料金で100円か200円の拝観料だった、10数年も前のことで、今回は完全に主従逆転、喜多院書院がメインだったものの、レンズの試写という観点では全くの役立たずだったので、日陰で陰気な場所につき、あまり気乗りはしなかったものの、モデルさんは多数揃えているこちらで、適当な陽当り加減の石像さんを何枚か撮ったうちの一枚。

Canon35mmf15_005.jpg
五枚目のカットですが、喜多院書院でかなり本気出して、江戸期の建造物の検分を行ったため、なんと1時間以上も中で過ごしてしまい、下手こくと、この万年オーバーツーリズムの地方都市では有りがちな、選り好みと当て外れによる昼食難民化の虞れがトラウマのようになっていたので、次なる目的地、川越城本丸御殿遺構に移動する途上で、しっかり食べておこうと、喜多院の北側出口から出て、成田山建つ交差点から交通量の多い県道を西に向かってすぐの店舗前に置かれていた、何故か優しくて懐かしい色合いの三輪車の様子を一枚撮ってみたもの。

Canon35mmf15_006.jpg
六枚目のカットですが、目当てのお店は、何れも蔵造りの通り、しかもそのランドマークタワーとも呼ばれる時の鐘の周辺に在るので、県道が川越街道と交差する蔵造りの街並みの手前、ちょうど東側の側道に当たるような道のりを辿って北上し、その側道が、時の鐘の建つ歩行者天国の石畳の道に交わるところからアプローチする道のりを辿って歩いたのですが、その手前に、やはり、木造に漆喰厚塗りの蔵造りの街並みとは対称的な、重厚な煉瓦造りの古めかしい教会が建っており、さすがに全景は仰角撮影で激しくパースが付いて歪むので、上部ガラスのアーチ窓も綺麗な、季節感たっぷりの木の扉周辺を撮ってみたもの。

Canon35mmf15_007.jpg
七枚目のカットですが、定点観測スポットである教会での撮影も完了し、いよいよ、お楽しみのランチ、今回は、いつもの「幸すし」よりも、久々に時の鐘の真下に位置する「居食屋鳥せい」にて、合鴨のつくね定食を食べてみたいキブンだったので、石畳の通りへの目印であるDPE兼業のクラカメ店の角を目指して歩いていたら、これもメインストリートである川越街道からは一本東の側道なれど、きちんとメンテナンスを受けた伝統建築の店舗兼住宅の店頭にひっそりと朱色に塗られた古風な鋳鉄製の郵便ポストが佇んでおり、昭和、いや大正の香りすら漂う素晴らしい光景を目にすることになったので、空腹には目を瞑り、足を止めて、ポストを主役に店先の様子を一枚撮ってみたもの。

Canon35mmf15_008.jpg
八枚目のカットですが、曲がり角目印のカメラ屋のショーウインドーには3万円ちょいのそこそこきれいでゾナー5cmf1.5のクロム鏡胴のレンズが付いたコンタックスIIaが気になったのですが、心を貝のように閉ざしスルーし、鐘の塔が何にも遮られることなく見える石畳の通りに出て、お店は、まさに鐘の塔の建つ、ちょっとした広場へのアプローチ路の真ん前付近にあるので、鐘の塔を目指して歩けば良いのですが、陽の加減もちょうど良く、時間的なためか、浅草以上にオーバーツーリズム気味のこの街の中心部で、珍しくそれほど混み合っていなかったので、足を止めて塔を中心に通りの様子を一枚撮ってみたもの。

Canon35mmf15_009.jpg
九枚目のカットですが、結局、時の鐘のところまで行って、さぁ、「鳥せい」の座敷でゆったりとお食事を!とかかなり期待して、店頭に行ってみたら、無情の貼り紙「都合により12/10までお休みを頂きます」、ということでアテが大きく外れ、仕方なくというか、まぁ大いに許容範囲内の「幸すし」に移動、ここで難なく、シーフードと野菜のヘルシーで美味しいランチを頂き、ここから徒歩10分ちょいの川越城本丸御殿に徒歩で移動、ちょうど目の前をいかにも冬支度の観光客といった風情の小姐二名組が通り過ぎようとしていたので、有難く一枚頂いてみたもの。

Canon35mmf15_010.jpg
十枚目のカットですが、ここ川越城本丸御殿は、同じ江戸時代の遺構にも関わらず、先の喜多院書院とは異なり、かなり鷹揚に全エリア撮影可能で、唯一、三脚立てたり、商業撮影、或いはコスプレ撮影みたいな、他の見学客の妨げにならないように撮るべし、とだけ注意書が張り出されていたので、スマホン、α7cをフル稼働で、あちこち、それこそ縁側の木戸の和釘の頭から、奥の厠のオール木製の小便器まで撮影してきたのですが、外周りのみならず、建物に囲まれた中庭のようなところでも、小さな枯山水のような渦巻紋の砂目の上に紅葉が黄色く色づいていたので、窓から一枚撮ってみたもの。

Canon35mmf15_011.jpg
十一枚目のカットですが、ここ川越城本丸御殿の建物は、現存しているとはいえ、元は1000坪以上あった建物のごく一部が残っているのみで、とても往年の栄華は知る由もないのですが、それでも藩の威光を示す、壮大な唐破風造りの正面玄関、そして奥に繋がっている、再移築の家老詰所も、表向きと比べると、檜や欅などの上質な木材こそ使われてはいませんが、高位の武士の住まいとして、質素ながら丹念な造りが見てとれ、ちょうど陽当り具合いの佳かった縁側の様子を一枚撮ってみたもの。

Canon35mmf15_012.jpg
十二枚目のカットですが、御殿の建物内部を隅々まで検分し、この後、富士見櫓跡を見てから、陽のあるうちに駄菓子屋横丁、そして蔵造りの街並みを撮ってから、川越名物「あかり屋」の「粟ぜんざい」など頂いてから、江戸に戻ろうと思っていたので、建物を出て、最短距離に次の目的地である富士見櫓跡に向かおうとした時、ふと、来る時は、完全に逆光で撮影不可能だった、銅板葺き唐破風の下に裳腰という飾り屋根を設けた特徴的な玄関周りの様子が撮れることが判ったので、足を止めて一枚撮ってみたもの。

Canon35mmf15_013.jpg
十三枚目のカットですが、富士見櫓跡下の道を西に進むこと約15分、再び時の鐘の下の石畳の道経由、蔵造りの街並みこと川越街道に出て、ここを再び北上し、札ノ辻という交差点を西に約200mほどのところに駄菓子屋横丁の北側のアプローチ路があるのですが、その途上、札ノ辻手前のガラス張りの店舗の屋根付き通路のようなところに、予備機と思しき、セラミック製の焼き芋壺が並べられており、更に奥のベンチに腰掛けて芋を頬張る観光客も併せて面白いと思い、一枚撮ってみたもの。

Canon35mmf15_014.jpg
十四枚目のカットですが、駄菓子屋横丁に辿り着いた頃は、もう冬の太陽はすっかり西へと傾き、店の中はもちろんのこと、とある店頭の屋号の入った看板代わりの乳白色のガラス玉の火屋まで灯が点り出してきて、昼は老若男女、観光客で賑わってきたこのレトロ感満載の横丁にも、店じまいの時刻が近づいて来ているのを知らせてくれるのですが、この夜行性動物の如き大口径広角はまさにこの黄昏時一歩手前の太陽光と人工光の役目交代の時期が活躍時で、昼間は眠い写真連発したのに、店先に並ぶ着物の小姐各位の着物のテクスチャ、髪の毛の一本一本まできれいに解像しています。

Canon35mmf15_015.jpg
十五枚目のカットですが、先ほどの着物の二人組小姐が並ぶ人気店のお隣りのお店は、この横丁にあって、甘いものではなく、漬物などのしょっぱい系をメインにおせんべいなども扱う、この通りではかなり間口の広い造りになっており、空いていたからなのか、冬支度の小姐二名が職場にばら撒くお土産でも探そうと思ったのか、中に足を踏み入れるでなし、軒先から半身を乗り出して、灯火が暖かく点る店内を覗いていたので、灯が点り、ほんのり光り出した店頭の白い火屋共々に一枚撮ってみたもの。
今回の感想ですが、新品の性能そのままかと言われれば自身はないのですが、内面反射、そして最後面のガラスと撮像素子表面と「合わせ鏡」効果に起因するコントラスト低下でもって、陽光が燦燦と降り注ぐ昼の時間での開放撮影は良いとこなしですが、ひとたび日陰、屋内、そして夕暮れが近づく時刻になってくると、途端にコントラストも上がり、持ち前のシャープさが活かされてくる、まさに夜勤レンズなのですが、更には最短距離が1m以上もあり、結構、近場の被写体では樽型の歪みも認められるという使いにくさもあるので、見た目は地味ですが、やはり尖ったクセ玉であることは疑いようもないようです。

さて次回は、GW明けに2泊3日で大阪での出張後にお城巡りした様子をレポート致します、乞うご期待!!
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  1. 2023/12/10(日) 18:54:18|
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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