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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Revival from a long absence~Ernst Leitz Elmarit21mmf2.8~

さて今回のご紹介は、正真正銘先々週の古河桃祭り撮影ツアーの主役で、修理を終えたばかりのElmarit21mmf2.8の試写をした結果をアップしたいと思います。
まず、当工房のElmarit21mmf2.8が、或る時期からばたっと登場しなくなり、その代わりに、不要に明るく、無駄に重い、中華製レンズTTArtisan21mmf1.4がその代役を引き受けていたのですが、そもそも、なぜ、長期の休みに入ってしまったかというと、これはカナダ製ライツレンズの宿痾というか、アキレス腱にも近い弱点だと気付いたのですが、要は、フォーカシングノブのピントリングへの固定法が、耐久性と信頼性を考えたら、まず有り得ない構造になっていて、それは、おそらくはABS製とおぼしきフォーカシングノブの中が空洞になっていて、その中央付近に一か所のみ、ピントリングから伸びる1mm程度の鉄製ビスを受け止めるネジ穴付きボスが建てられており、そのプラスチック製ボスの肉厚が2mmもないので、ノブが何かにぶつかったり、、押されたりすると、ボスが砕けてネジをビスを開放し、その結果、ノブがもげる、という現象が起きるような構造なのです。しかも、この修理、部品がないとのことdえ、銀座のライカサービス部門で断られ、川崎のKカメラでも、真鍮製の別部品への交換なら治せるかも知れない・・・との回答で諦め、暫く放っておいた、ということだったのです。
ところが、或る日、ふと閃くものがあり、まず、砕けた中央部のボスの残骸を、歯医者さんの虫歯治療よろしく精密リューターで完全に削りとり、ヘリコイドを分解してのネジ取り出し、ネジ山再生は不可能なので、空洞のノブの内部を最新型の弾性有りの接着剤にチタン合金の微粉末を添加したものを充することで剛性を与え、ネジはチタンの超細径パイプをピントリングの穴に挿し込むことで接着剤からカバーし、ノブ内部の接着剤が固まったところで、同じ接着剤のチタン合金無しを使ってはみ出さないようにくっ付けたという大胆な修理を行った次第。
では、さっそく、二年以上のブランクを挟み、弱点を克服し、新しい治療法確立にも寄与したいたいけなElmarit21mmf2.8の再デビューを逐一眺めて参りましょう。カメラはSONY7c、全コマ開放AEの露出レベル調整のみの撮って出しとなります。

Elmarit21mmf28_324_001.jpg
まず一枚目のカットですが、古河桃まつりの華であり、まさにCOVID19禍からの回復の象徴とも云える、ミス「桃むすめ」の小姐達を探し求めて会場を徘徊していたら、築山麓の本部テント前で、善男善女各位の求めに応じて、一緒に記念撮影など行っていたので、人の列が途切れ、手隙になった時に、珍しいレンズのテスト中につき、モデルさんになって頂きたい、大胆な申し入れを行い、先の7Artisan21mmf6.3Ⅱともども試写の実験台になって頂いたというもの。

Elmarit21mmf28_324_002.jpg
二枚目のカットですが、変わったレンズで撮ります、という触れ込みでお願いしていたので、一応、二台のカメラでの撮影結果を四名の小姐にご確認頂き、過疎ブログのネタにさせて貰いますよと宣言ののち、本部テント前をあとにし、すぐ目の前の地面には油菜こと菜の花が咲き、その上の桃の木もぽつぽつと咲き出していたので、しゃがみこんで、満開?の菜の花越しの桃の林という構図で試してみたもの。

Elmarit21mmf28_324_003.jpg
三枚目のカットですが、会場内をざっと眺めると、結構、桃と菜の花の競演している場所が多かったようなので、あちこちで撮ってみようと公方公園内を徘徊していたのは前回書いた通りなのですが、北側の湖沼地帯の手前というか、東に位置する神社に隣接するエリアもかなり広い菜の花畑になっていて、その周囲に桃の木が植えられている、というロケーションだったので、中央付近から今度は横構図で撮ろうとしていたら、画面内にいたいけな旅人風の小姐二名組が闖入してきたので、太っ腹にも、そのまま一枚撮ってみたもの。

Elmarit21mmf28_324_004.jpg

四枚目のカットですが、以前から、こちらに訪問するたびに撮っていた、木立の下を縫うせせらぎが陽光を跳ね返すポイントの前を通りがかったら、時間的に丁度良い陽の射し加減になってきていたので、前はいたいけな童子達が意図せずとも走り込んできてくれて、おじさん何撮ってるの?とか好奇心剥き出しで背面モニタを覗きに集まったりしたのですが、あいにく、この日はそういった人出は殆どなく、仕方なく、寂しいシチュエーションで一枚撮ってみたもの。

Elmarit21mmf28_324_005.jpg
五枚目のカットですが、ちょっと日陰で暗い色の被写体だったので、f6.3もの暗い開放値しかない7Artisan19mmはEVFによる精緻なピント合わせが困難であるため、断念せざるを得なかったのですが、せせらぎの傍らの木立の中には、アフリカとかアマゾンのジャングルから運んで来たの!?と首を傾げざるを得ないような奇妙にねじれ、恐竜の肌もかくやあらんばかりのテクスチャの幹や枝の外観だったので、この広角レンズの低照度域でのコントラストや解像感、そして画面内の画質の均質性を検証すべく一枚撮ってみたもの。

Elmarit21mmf28_324_006.jpg

六枚目のカットですが、駅からのバスが着いた会場北側には、ここ古河公方公園の名前の由来となった古河公方・足利氏の館跡を取り囲む御所沼とは別の湖沼地帯があり、御所沼の周りには何故か桃の木が植えられていないのに対し、こちらには古木と思しき、かなり大きめの桃の木が岸辺に植えられていて、それが青空が顔を覗かせるようになって、花々を美しく水面に映し出していたので、これは広角の試写に最適、と閃き、足を運び、先の7Artisan19mmともどもテストをしてみたもの。

Elmarit21mmf28_324_007.jpg
七枚目のカットですが、伴走機の7Artisan18mmf6.3Ⅱ同様、距離計連動ではあるものの、このElmarit21mmf2.8もライカのレンズ群の中では比較的至近距離での撮影を得意としているので、最短距離で青空をバックに咲き誇る桃の花を捉えてみようとカメラを上に向けたところにいたいけな極小姐連れのカメらパパがやってきたので、有難く、エキストラ出演願ったもの。

Elmarit21mmf28_324_008.jpg
八枚目のカットですが、せっかく桃まつりを撮りに来たので、一番それらしい雰囲気を捉えたカットとして、花のトンネルっぽいものでも撮ろうと、足利氏の墓所址の東側辺りの桃林を散策し、さすがに大阪造幣局などの桜のトンネルみたいにゲップが出るほどの天空を覆い尽くすほどの桃の花は見つからなかったですが、そこそこの密度のところで足を止め、中年カポーが通り過ぎるところを二台のカメラで交互に撮ってみたもの。

Elmarit21mmf28_324_009.jpg
九枚目のカットですが、先に7Artisan18mmf6.3Ⅱの記事で書いた通り、完全に没入感100%モードのオーラを周囲に放ちながら相互撮影などしていた、だんだら模様の羽織を纏った新選組と、黒執事の二人組が目に留まったのですが、声を掛けて不愉快な顔を向けられても、せっかくの気分良い撮影日和りを台無しにしてしまいかねないので、桃の花を至近距離から撮る際のバックの通行人くらいの役割で入ってもらうこととし、一枚撮ってみたもの。

Elmarit21mmf28_324_010.jpg
十枚目のカットですが、公園の中に何故か存在する「足利義氏公墓所」の碑が建つこんもりとした森を一礼して通り過ぎた直後に遭遇した、公園北側の湖沼地帯としては比較的小型な水面でしたが、岸辺には比較的高い密度で桃などの樹木が植えられ、それが、雲を押しのけて顔を出し始めた青空をバックに水面にきれいに映し出されていたので、二本の広角のお味見には最適と思い交互に一枚ずつ撮ってみたもの。

Elmarit21mmf28_324_011.jpg
十一枚目のカットですが、帰りのバスの時間を考慮すると、最後のバスは混むし、万が一乗り遅れでもしたら、駅まで2
km以上の道のりをてくてく歩くか、或いは高い迎車料金払って、駅前からタクシーを呼ばなければならないので、一本前のバスに乗る前提で、公園内の移築古民家まで全て見学するつもりで、桃まつり会場から、御所沼にかかる鋼製橋を渡り、古民家の建つ、御所址の舌状台地に移動する前に沼の北部にかかる、洒落たデザインの鋼製橋の佇まいを一枚撮ってみたもの。

Elmarit21mmf28_324_012.jpg
十二枚目のカットですが、そういえば、前回来た時から、この公方公園成立時の治水に大いに貢献したという巨大な鋼製蝸牛のような排水ポンプが今は役目を終え、沼の北西端にちょっとしたコンクリート土台の展示場を作って貰い、その雄姿をジブリの中の機械みたいに展示してあったので、敬意を込めて、その佇まいを色々なアングルから捉えてみたうちの一枚。

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十三枚目のカットですが、十一枚目のカットの画面中央やや右寄りに写っていた、時代がかった鉄道橋のようなデザインの人道橋を渡り、御所沼に三方を囲まれた舌状台地の根元付近に二軒並んで移設されている江戸時代の茅葺屋根も見事な茨城県指定重要文化財の民家の前に到着し、まずは、比較的大型な左側の「中山家住宅」の内部を拝見する前に向かって左側から画面一杯に入る距離まで前進し、一枚撮ってみたもの。

Elmarit21mmf28_324_014.jpg
十四枚目のカットですが、懼れ多いことにこれだけ良好に移築・保存され、しかも毎日、庭の枯山水的な白砂の模様まで掃き目を整えるほどの丁寧な管理まで行っているのに、入場料は無料、寸志の募金箱すら見当たらない志の高さに感心し、内部を拝見、特に最低限の加工で自然木の曲がりを上手に使って、梁や柱を構築した、戦国時代からの城郭の櫓にも通じる潔い建築美に目を奪われ、足を止めて一枚頂いてみたもの。

Elmarit21mmf28_324_015.jpg
十五枚目のカットですが、もうそろそろ公園の南端から北端までの距離を徒歩で移動し、確実にシャトルバス最終便の一本前のものに乗らないと大変な末路が待っていることは明々白々だったので、時計と睨めっこ、一軒目を入念に検分したが故、そのお隣りの古民家は中に入ってじっくりと検分する時間的、もとい精神的余裕すらなく、外観だけ撮って、再会を期して、その場を後にしたもの。

今回の感想ですが、いやはや、やはりライツの21mmは良いですね、特に無理のないf2.8という開放値がいっけん、感度などあまり関係なさそうなデジタル機器で撮るにしても、日中で安心して開放で撮れますし、相当、光線状況の悪い夜間でもない限り、夜景などでも手振れに注意してさえやれば、素晴らしくシャープでヌケの良いカットをモノに出来ますし、大きさも、先端部が膨れていることに目を瞑れば、当工房の四番打者Elmarit28mmf2.8と大きさはそれほど変わらないので、操作系が同じ21mmと28mmを二本持って行って、シーン毎に使い分ける、という芸当もまた出来るようになりました。

さて、次回のご紹介はまたしても関東で行ったことの無かったお城、正確にはお城址にLeitz Vario-Elmar21-35mf3.5-4.5と旅して来た記録をご紹介致します、乞うご期待!!
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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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