深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

意外的強力描写鏡玉~Topcor-S5cmf2~

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【撮影データ】カメラ:ニッカ3F フィルム:スーパーセンチュリア100オリジナル 露出 全コマ開放
さて、沖縄の興奮も醒めやらぬうちに、無常な時は過ぎ、また更新の週末がやってきてしまいました。
工房の主は、好き勝手にアップしているようで、実は小心者、リアクションを想像して、前の週の水曜あたりから、ネタはまだあったっけ?受けそうなネタだったっけ、前回の更新からどう"チェンジ"するか・・・などと仕事もそっちのけで考え込んでしまいます。

しかしながら、探せばあるもので、紹介しているようで、紹介し忘れていた銘玉、珍玉が結構うようよと防湿庫に転がっていたりします。

今回のトプコールSも3~4年前の世界の中古カメラ市で意味もなく徘徊している時に、オリジナル前後キャップ付きのキレイなのがたまたま目に留まって、値段を見てみたら、心臓が口から飛び出すほど安かったので、有無をも言わさず速攻で衝動買いしたものです。たしか東急だったような気もするし、松屋だったような気も・・・

このレンズは、東京光学がレオタックス用として、1956年に世に問うたレンズで、元々はトプコン35Sに付いていた44mmf2を新種ガラスもふんだんに投入し、改良したものだそうです。

構成は4群6枚ということで、後群に貼り合わせを導入し、前期型の空気レンズをやめた一般的?な変型Wガウス型に構成になっています。

実は今回の作例は買って暫くしてから撮ったもので、有ることは覚えていましたが、どんな写りかは全く忘れていたので、どーせ古いレンズだから、それなりに・・・と思い、フォトCDを開けてびっくり!

先般買った白鏡胴とは似ても似つかない、強烈なシャープネス、程好いコントラストの画のオンパレードだったのです。

では、能書きはこれくらいにして、早速、作例を見ていきます。
この撮影はレンズを買ってすぐの週末に工房近くの富岡八幡宮で月二回の日曜日に行われている、骨董市で撮ったものです。

まず一枚目。これは、本殿横の不動尊に通じる通路の木陰のお店前で山高帽におしゃれなジャケットをダンディに着こなした紳士が愉しげに語らい合っていたところを、一枚戴き。
合焦したところは、驚くほどシャープで、後ろはややぐるぐる系になっていますが、それほど不快なデフォルメでもなく、人物を浮かび上がらせることに成功しています。

そして二枚目。これは参道脇の清め処の水で嗽する地元の老人を撮ったものです。
完全にシャドーになり、背後には日の照った屋根や石灯篭が有るのに、老人のひょうきんな表情から作業服の皺までくっきり捉えています。

それから、3枚目。今度は石段を登り、本殿に登る途中で、バックのボケを見るため、人物の後姿を一枚戴き。その結果は、黒い服のお父さんが浮かび上がるが如き描写で、シネレンズ並みの立体感を作り出してくれました。また、前ボケも崩れず視覚的に邪魔をしません。

そして最後の4枚目。これは参道にところ狭しと並べられた露天の骨董商のコマ割りで物色、商談している、いかにもアート系という少女の姿を一枚戴いたものです。
この画も画面中央付近の合焦した主人公と相手役はぴしっと際立って見えますが、遠景の人物、映画で言う?通行人達は、どうでもなれとばかりに画面中央を軸にぐるぐる回りだしそうなボケになってしまいました。

こうやって見ていくと、買ったまま、一回試写して仕舞ったままになっているレンズの中にも、結構面白いものはずいぶんあるようです。

新しいものを買うことに血道を上げず、自分の防湿庫を棚卸した方が、買いに行くための、炭酸ガスの排出量も減らせるし、自分の財布も痛まないので、まさに地球と自分に優しい中古鏡玉道ではないかと思った今宵でした。めでたしめでたし。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2009/02/01(日) 23:59:01|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:12
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コメント

私も、うちにある
父親が使っていたニッカ3F ニコン50mmF2付を
久しぶりに使ってみようかなぁ~~~~

なにせ
RFをはじめて使ったのは
このニッカで、
最初に入れたフィルムが
リバーサルで、
黄色みが強かったけど
シャープだったという印象が強かったです。

あの頃の
フィルムが現像から上がってくる時の
どきどき感・・・・・・

あれが忘れられないから
今だにフィルムから抜け出せないのかも知れませんね・・・(^_^;)
  1. 2009/02/02(月) 21:19:39 |
  2. URL |
  3. 山形 #-
  4. [ 編集]

山形さん
久々のコメント有難うございます。
なに、ニッカIIIFが初体験のお相手!?
棺おけに片足突っ込んだ、キャノネットQL17がお相手だった小生に較べれば、格段の違いです・・・う~ん、ウラヤマシいいぞ。

ぢゃ、今度のICS巡回の際は、そのIIIFを白い悪魔とか、帽子をかぶった合成樹脂毛髪ギワクの男の甘言からのお守りに致しましょう(笑)
  1. 2009/02/02(月) 22:40:15 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

これ、怪造される予定だったレンズでないですか?木漏れ日キラキラの、少し硬めのボケがすてきじゃないですか!キヤノンよりしゃきしゃきしていそうで、数もすくなそうだし・・・。後日、変心してないように願います。
  1. 2009/02/03(火) 21:43:19 |
  2. URL |
  3. Treizieme Ordre #-
  4. [ 編集]

Treizieme Ordre さん
コメント有難うございます。
風邪?の方はもうすっかり良くなりましたか?

さて、本題、このレンズは先般、新宿の屯所にて、「なんだ、普通の写りぢゃねぇか・・・」と貴兄をはじめ、同席の面々に酷評されたオール白の凡庸レンズとは、全くの別物で、トプコール5cmf2シリーズでは唯一、キャノン、ニコン、フジノンの同一クラスは勿論、シチュエーションによっては、国産最強の呼び名も高い、Lスーパーロッコール5cmf1.8にも拮抗し得る、まさに銘玉中の銘玉です。
初め、ネガを整理していて、あれ、113万台のズミだっかかいな???と首を傾げたほどです。

従って、気が触れることがあっても、このレンズをバラすなどということは有り得ませんので、どうかご安心を。
  1. 2009/02/03(火) 22:37:47 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

失礼しました。同じものかと・・・。国産も深いと、関心しました。(関係ないですが、「国発行の紙幣」ウワサ。エンテンみたいで、さらに頭痛が・・・。)
  1. 2009/02/05(木) 21:14:35 |
  2. URL |
  3. Treizieme Ordre #-
  4. [ 編集]

Treizieme Ordre さん
コメント深謝。
な~に、瓜二つってことばもありますからね。

それにしても、先週末送られてきた"As is"のはずのSummarit50mmf1.5がどう見ても全く使用された痕跡のない個体で、至福感とともに磨いたり(勿論、鏡胴だけ!)してるんですが、ニコン、キャノンの初期の50mmクラスのクロム外装が似てるとは言われながら、ライツ製品の方が数段、細かいところに手間隙かけてて、まさに一人悦に入るモノですね。
  1. 2009/02/05(木) 22:55:41 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
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このトプコールのボケは凄いですね。特に4枚目はなんとか収差というレベルではなく、後ボケが完全にパステル画と化しているようです。さすがにcharleyさんは発掘の名人だけありますね。
  1. 2009/02/07(土) 18:18:55 |
  2. URL |
  3. kinoplasmat #lpavF/Xw
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kinoplasmatさん
コメント有難うございました。
まぁ、モノの程度を見て、買える値段だったから買って、たまたま写りが好みの範疇にあったので、叩き売らずに残っていたというのが真相です(汗)

ヘタな鉄砲も数打ちゃ当るっていうのが偽らざる心境です。

因みに今日は、ノンライツRF友の会/新宿西口写真修錬会という知る人ぞ知る秘密結社の例会で、貴兄の話も出て、皆、いっぺんロンドンに行きたいねってなことでした。
  1. 2009/02/08(日) 00:24:28 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

修練会で触れていただくとは非常に光栄です。なにとぞお手柔らかにお願いいたします。もしメンバーの方のロンドンご来訪が実現すれば、大歓迎させていただきます。その場合はぜひぜひお知らせください。また私自身が帰国の際はぜひ一度ご一緒させていただければ幸いです。
  1. 2009/02/08(日) 11:29:40 |
  2. URL |
  3. kinoplasmat #lpavF/Xw
  4. [ 編集]

kinoplasmatさん
再びレス有難うございます。
私ども友の会/修錬会にも、貴兄の熱烈なファンがあまた居りまして、是非、ご帰国の際は薫陶を受けたいと申しており、その節は、市川元編集長殿とWゲストで、大いに盛り上がりたいなどと企んでおります。
また今後ともひとつ宜しくお願いいたします。
  1. 2009/02/08(日) 11:53:01 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

こんにちは。忘れたころの投稿を陳謝します。
さて、これはものすごいレンズですね。
全体にすっきりした写りの印象ですが、解像力が高いせいでしょうか、ピントがあった部分を見るとかなり濃密にしっかり表現されています。
前後のボケが圧倒的です。
ときどき暴れていますが、これだけ魅力的にボケるレンズはなかなかないと思います。
レンズの銘板部分がかつこ悪いなあと思ったのですが、"TOPCOR"という不思議なレンズっぽくない名称とは一致していて"POP"な外観にしています。
クラシックレンズの異端児というところでしょうか。
  1. 2009/02/11(水) 13:01:50 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

中将姫光学さん
コメント有難うございます。

このレンズは、昔、何かの本で萩谷剛さんだったかの、「だまされたと思って買うべき銘玉」とかいうフレーズがついていて、半ば忘れかけていた頃、トプコール5cmf2スリーズの中の突然変異というか、異端のモデル、黒帯を格安価格で見つけて買ってしまったのです。
もう、イメージムラムラの衝動買いを絵に描いたようなものでした。

テスト撮影して、デジタルプリントした結果を見た限りでは、前評判のわりには、まぁまぁかな、値段も手頃だったからまぁ、いいや・・・で終わっていたのですが、今回、ふと思いついてフォトCDの画像を見たら、マイクロニッコールとも、ノクチルックスとも、ましてやシネレンズ群ともまた違う、異端の写りに心を奪われ、ご紹介しておくべきと思い立った次第です。

しかし、この異端の銘玉にも本家ドイツからの刺客が用意してあります。さぁ、その結果は2月末をお楽しみに。
  1. 2009/02/11(水) 20:16:50 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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